お金の価値を小学生に伝える3つの方法とは?おこづかいルールをファイナンシャルプランナーが解説

最初の一歩が肝心!1年生のマネー教育

お年玉で大金を手にした年明けや長期休暇は、子どもにお金のことを教えるよい機会です。 お話をうかがった横山先生は、お子さんが今まさに小学1年生。金銭教育を実践中の先生のお話は、リアルなヒントが満載です!

お金の使い方「金銭感覚」は、小さいときから家庭で育てたい

「年収は多いのに浪費体質で、貯金ができずにローンに追われる人は多いです」と9000件以上の家計相談に乗ってきた横山先生は語ります。「お金の使い方は感覚的な部分もあるので大人になってから直すには努力が必要です。やはり小さいうちから家庭で金銭感覚を育てていくことが必要だと思います」と先生。
“収入のなかで生活をまかない、貯金のある生活を送る”という当たり前の金銭感覚を身に付けるには、今のうちからマネー教育をスタートさせるのが肝心なのです。

小学1年生では、 お金の管理はまだ難しい

ご家庭に小学1年生のお子さんがいる先生の言葉はリアルです。「まだ100円玉1個より10円玉10個のほうがお得と思うような時期。お金の管理は難しいでしょう」
お金の管理とは、いつ何を買うか、買わないかの判断基準を持ち、自分を抑制すること。魅力的なものを見れば欲しくなる1年生が、少額でもお金を任せきりにされたら、荷が重いばかりか、思わぬトラブルが起きることもあり得ます。「お金を持たせる以前に、親子で話し合うのがマネー教育のスタート」なのです。

親子で"必要なもの"と "欲しいもの"の基準を一緒に考えていく

買いたいものが「必要なもの」か「欲しいもの」かを分けるのはマネー教育の大事な柱。「必要」はなくては困るもの。「欲しい」はなくても困らないお楽しみのものといえるでしょう。
しかし、どちらに入るかは大人でも価値観によって変わります。「鉛筆は必要として、香りの付いた消しゴムは、どうなんだろう? と親子で話し合ってほしい」と横山先生は強調します。共に考え、区別の基準(価値観)を一緒に育てていくという大きな意味を持つからです。

 

お金の価値を小学1年生に伝える3つの方法

日常の生活のなかで、親が言葉で説明を添えたり話し合ったりしながら、金銭感覚を育てていきましょう。子どもの単独行動が少ない低学年のうちに、意識して伝えたいものですね。

1 会話や買物でものとお金を結びつける

消しゴムに穴をあけて遊んだら、「使えなくなるよ、もったいないね」「100円で買ったよね。使えなくしたら100円がなくなるのと同じよ」など、ものを大切に使うこととお金の関係について話します。普段の買い物でも予算や価格の話をして、子どもが使うものは子ども自身がお店で買う体験をさせてもいいでしょう。
生活のさまざまな事柄にお金がかかること、お金は使ったら減ること、親が働くことでお金が入ることなどを、隠さずに折りに触れて話しましょう。

2 カードは使わず現金で買う

電子マネーはどうしてもお金を実感としてつかめなくなります。コンビニや交通機関の電子マネーを子どもに渡して買い物をなるべくさせないように気をつけましょう。
クレジットカードを含めて、直接現金をやりとりしない買い物は便利ですが、子どもにお金の価値を伝えるためには、あえて不便なほうを選ぶことも必要です。

3 自分の財布から寄付をさせる

自分の生活のさまざまな面でお金がかかっていることは子どもでも理解しやすいですが、自分のために使うだけではなく、お金で助け合いができることも伝えたいもの。
「世の中には困っている人がいる。募金で助け合うことができる」と主旨を説明して募金に誘いましょう。どんなに少額でも自分のおこづかいのなかから差し出すことで、お金の一面を感じとることができるはず。横山家では親が付き添ったうえで、自分の財布を持って、募金箱に寄付をしに行きます。

お金のことがわかる!横山流おこづかいの与え方

「お金のことが少しわかってくるのはだいたい小学3年生。 それまでは親が手をかけてサポートしている」という先生。 横山家のおこづかいルールをみっちり聞きました。

定額ではなく、そのつど申告させる

買いたいものについて話を聞いたうえで「必要なもの」は親がお金を出します。「欲しいもの」に該当し、話し合って買うと決まった少額のものは、おこづかいとして与えて子どもが買います。どちらの場合でも買い物と支払いには親が一緒に行動します。
小学1年生は手間をかけてあげるべき年齢なのです。定額のおこづかいは、だいたいお金のことがわかり始める小学3年生くらいからがいいでしょう。おこづかい帳もその時点で始めるのがオススメです。

親が決めておくルール

★「必要」と「欲しい」の判断基準を夫婦で共有する。
★言いなりに買わない。
★なぜ欲しいのかを話せる雰囲気と聞き上手を心がける。

特別なお手伝いでおだちんをあげる

横山家では子ども達には年齢に応じて、食器を洗う、洗濯物を畳むなど決まったお手伝いを担当させます。家庭の一員として当然の仕事ですから、おだちんはありません。
ただし決まった仕事以外に、親が忙しいときなどに特別にお手伝いを頼んだ場合は、おだちんとして20円あげます。おだちんのお金は子どもの財布に入れておきますが、本人の自由にはしません。使うときは親に相談する約束です。

親が決めておくルール

★「お金をくれないなら、手伝わない」とならないよう、普段の役割を決める。
★「助かった」と感謝を伝える。
★おだちんは高額にしない。

 

お年玉の管理はどうする?子どもの口座をつくり、通帳を見せる

お年玉やお祝いなどでもらったお金は、子ども名義の口座に貯金し、欲しいものがあるときはこの口座から引き出して使います。
例えば、数千円のものを欲しがったときは、まず話し合い、買うことになれば「必要なものではないから自分のお金から出す」ことにして、親が口座から現金を出します。親が付き添って店に行き、本人が品物と現金を持ってレジで支払うという流れです。
実際の現金の管理は難しい年齢ですが、1年2年という長いスパンで通帳の数字の増減を感じることはできるものです。

 

お金にまつわる親の悩みQ&A

とかく「ムダづかいはダメ」とばっさり切り捨ててしまいがちなお金の話。どうやってマネー教育につなげていけばいいのでしょうか?

Q:子どもがくだらないものを欲しがります。

A:どんなにくだらなく見えても、どんな思いでそれが欲しいのか、耳を傾けてあげてください。

1年生なりの何かが出てくるかもしれません。「どこが好きなの? 教えて」という姿勢で聞きだし、親の考えも伝えてみて。買う・買わないだけを問題にするのではなく、子どもが何を思っているのかを聞き、まずは受け止めてあげましょう。

Q:祖父母が孫の喜ぶ顔見たさに高価なものを与えます。

A:初めは喜んだものでもたくさん手に入ると、粗末に扱うようになってしまいます。

「ありがたいけれども、物やお金の大切さを教えたいので」と祖父母に相談を。貯金してもらう、プレゼントは誕生日だけにする、贈り物に頼らなくても孫の笑顔が見られる機会をつくるなどして、方向転換してもらいましょう。

Q:「買えるから」とムダづかいする夫。 子どもへの影響が心配。

A:「買えるから」という買い物基準は危ないですね。

家を買ったものの返済の負担に耐えきれないという人の多くは「ローンが通るから」という基準で買っていたのです。少額の買い物でも同じです。子どもにはどんな金銭感覚を持ってほしいか、わが家の将来の家計プランなどを夫婦で話題にしましょう。

Q:「うちは貧乏なの?」「ママはケチ」と言われます。

A:この発言はお金に関心が向いている証拠。お金の話をする絶好の機会です。

「なんで貧乏だと思ったの?」「ケチじゃなくてお金を大切にして、あなたの将来のために貯金しているのよ。××の予算はこうだけど、○○は…」のように話してあげると、1年生なりに理解します。横山家では毎月話し合っています。

 

家族でお金の話をするミーティングをしよう!

毎月、家族のミーティングを開催している横山家。子ども達にとっては「来月自分のしたいこと、欲しいもの、必要なもの」を発表する場です。家計簿やおこづかい帳も公開し、収支や来月のプランも話し合っているそうです。
その積み重ねからお子さんは「〜だから私立を受験したい。塾代は…」と交渉ができるように。家計の情報を共有すれば「○○のために×はがまんしよう」と、みんなが納得して協力し合うことができるし、金銭教育にはもってこい。「何よりも、大事な家族のコミュニケーションができますよ」と先生もイチ押しです。

教えてくれたのは…


家計再生コンサルタント/横山光昭先生
家計の借金・ローンの相談に取り組み、貯金体質への再生を支援。頼りにされる庶民派ファイナンシャルプランナー。家庭では1男5女のパパ。

 

 

出典/『小学一年生』別冊HugKum イラスト/カワハラユキコ 構成/童夢

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