「満身創痍」とはどんな状態? 正しく使ってますか? 意味や読み方も解説!

「満身創痍」の読み方は、「まんしんそうい」です。意味は「全身傷だらけなこと」と「精神的にもボロボロな状態のこと」。実際に傷を負っている場合と、精神的に苦痛を味わっている場合に使える表現です。

「満身創痍」の意味や読み方とは?

スポーツのニュースやビジネスシーンで「満身創痍で頑張る」「満身創痍で挑む」といった表現を聞いたことはないでしょうか? 聞いたことはあるけど、意味はよくわからないという方も多いはず。まずは、「満身創痍」の読み方や意味を確認していきましょう。

読み方と意味

「満身創痍」の読み方は、「まんしんそうい」です。意味は、「全身傷だらけなこと」。文字通り、事故などで体に傷を負った状態のことをあらわす言葉です。

そもそも、「満身創痍」の「満身」とは全身のことをさし、「創痍」とは、「身体に受けた傷」「精神的な痛手」のことをさします。この2つの言葉を合わせて、「全身傷だらけでボロボロな状態であること」をあらわしているのです。

また、それが転じて、「精神的にもボロボロな状態」という意味も持ちます。つまり、実際に体に傷を負っている状態と、精神的に苦痛を感じている状態の2つの場面で使える言葉です。

注意点

「満身創痍」は、「全身が傷だらけであること」を意味するので、「満身創痍の体」という表現を使いそうになります。しかし、「満身」という言葉にすでに「全身」という意味を含むので、「満身創痍の体」は二重表現です。この表現は間違いとなりますので、使う際には注意しましょう。

使い方を例文でチェック!

「全身傷だらけであること」「精神的に苦痛を感じていること」を意味する「満身創痍」。ここでは、「満身創痍」を使った例文を紹介していきます。

1:「優勝候補といわれる選手は、満身創痍の状態で試合に挑んだ」

「満身創痍」を一番よく聞く場面は、スポーツのニュースなどでしょう。日々厳しい練習を重ねるスポーツ選手は、体への負担も多く、怪我をすることも少なくありません。この例文では、体に故障があっても、試合に挑むスポーツ選手のことをあらわしています。

2:「夫は仕事でトラブルが続いているらしく、まさに満身創痍だ」

ここでの「満身創痍」は「精神的な苦痛を味わっているようす」をあらわしています。想定外のトラブルが発生すると、後処理などに追われ、精神的にダメージを受けてしまいますよね。そうした夫のようすを、「満身創痍」という言葉を使って表現しています。

3:「満身創痍でも頑張る息子のために、今日は御馳走をつくることにする」

「満身創痍で頑張る」という表現で、精神的もしくは身体的に辛い状況でも、力を振り絞って立ち向かうことを意味します。

類語や言い換え表現とは?

「満身創痍」の類義語にあげられるのは、「疲労困憊」「半死半生」「精疲力尽」など。それぞれの意味を、例文をまじえながら詳しく解説していきます。「満身創痍」とニュアンスが違う言葉もあるので、ひとつずつしっかり確認していきましょう。

1:疲労困憊

「疲労困憊」の読み方は「ひろうこんぱい」です。意味は、「疲れ果てていること」。ひどく疲れて、苦しんでいる状態をあらわします。「困憊」とは、「困って疲れ果ててしまうこと」という意味。「疲労」とは「疲れ」のことですので、同じような意味の言葉を合わせて成り立っている四字熟語です。

例文:仕事で3日間徹夜が続き、疲労困憊している。

2:半死半生

「半死半生」とは「はんしはんしょう」と読み、「死にかかっていること」という意味。文字通り、「半ば死に、半ば生きている」ことをさし、生死の境をさまよっている状態をあらわします。多くの場合は、大事故や病気など、実際に命が危ない状態のときに使われる言葉です。

例文:昨年交通事故に遭った友人は、半死半生だったが、今では元気に暮らしている。

3:精疲力尽

「精疲力尽」は「せいひりきじん」と読みます。意味は、「ひどく疲れてしまうこと」。「疲労困憊」とほとんど同じ意味の言葉といえるでしょう。

例文:さまざまな対応に追われている最近の総理大臣は、精疲力尽といったようすだ。

対義語とは?

続いて、「満身創痍」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。対義語を知ることで、さらに「満身創痍」についての理解が深まるはずです。

1:無病息災

「満身創痍」の対義語として、まずあげられるのは「無病息災」です。意味は、「病気をしておらず、健康であること」。「無病」とは、その漢字の通り、「病気をしないようす」を意味します。「息災」はもともと仏教の考えからきている言葉で、「仏様の力により、災いをなくすこと」という意味。「無病息災」は、自分や相手の健康を願うときに使われることが多い言葉です。

2:平穏無事

「平穏無事」の読み方は「へいおんぶじ」です。意味は、「何事もなく穏やかな状態のこと」。特に変わったことがなく、安定しているなど、平和なようすをあらわします。「平穏無事に過ごせますように」などと使われることが多いです。

3:元気溌剌

「元気溌剌」は「げんきはつらつ」と読みます。「溌剌」は見慣れない漢字ですが、読み方がわかれば、意味もわかるという方も多いのではないでしょうか。「元気溌剌」の意味は、「生き生きとしているようす」「活力に満ち溢れているようす」です。まさに「満身創痍」の真逆の言葉ですね。

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英語表現とは?

「満身創痍」を英語で言う場合には、どのような表現がいいのでしょうか。「満身創痍」の英語表現を見ていきましょう。

1:be covered all over with wounds

「be covered with〜」は、「〜で覆われている」、「all over」は「体中」、「wounds」は「傷」という意味です。これらの言葉を合わせると、「体中、傷で覆われている」という意味に。「have wounds all over one’s body」という表現でも、同じ意味として使えます。

例文:He was covered all over with wounds.(彼は満身創痍だった)

2:be worn out

「be worn out」は、「wear out」の過去分詞で、「疲れ果てた」という意味の英語です。単に疲れているというよりも、くたくたに疲れ果てている状態をさします。

例文:My husband must be worn out after working all day.(一日中働いた後で、夫は疲れ切っているに違いない)

最後に

「満身創痍」は、「全身傷だらけなこと」のほか、「精神的にも苦しい状態にあること」を意味するとは知らない方も多かったのではないでしょうか。「満身創痍」を使う場面は、肉体的にも精神的にもボロボロの状態であるといえますが、無理をして「半死半生」とならないよう、気をつけたいものですね。

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構成・文/阿部雅美(京都メディアライン)

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