「育児の中心は母親」という意識、どんなところにあらわれる? 2000人調査と我が家の場合

2人の育児に取り組みながら、まがりなりにも男性育児を後押しするような記事を書いてきたHugKumのシニアライターである筆者(男)。しかし、自分の中に根強く生き残っている古い考え=「育児の中心は女性」を自覚してしまった、そんな話です。

HugKumでは、主に男性の育休利用者を取り上げる記事などを書いて、まがりなりにも男性育児を後押ししてきた、HugKumライターの坂本正敬です。

フリーランスの男性ライターとして自分自身も2人の育児に取り組む真っ最中。とことん育児を楽しむ父親として毎日を過ごしてきました。

しかし、おもちゃのサブスク・レンタルサービス『トイサプ!』を展開する株式会社トラーナの調査結果を見て、まだまだ自分の中に根強く生き残っている古い考え=「育児の中心は女性」を自覚してしまったので記事にしてみました。

父親と母親、面倒だと感じることの1位は

筆者がドキッとさせられた調査は、2022年(令和4年)3月30日にリリースされた株式会社トラーナの「男性と女性が育児で感じる不便や違和感」に関する調査です。

満6歳までの子どもがいる20代~50代の男女2,267名(男性518名・女性1,740名)に行ったこの調査では、男性が育児に感じる不便や違和感を1つの柱として取り上げています。その結果を見ると「授乳室に入りづらい(35.7%)」「育児休暇が取得しづらい雰囲気を職場に感じる(33.0%)」といった男性育児の現状が明らかにされています。

「男性と女性が育児で感じる不便や違和感」に関する意識調査(2022年3月 株式会社トラーナによる調査より引用)

 

他にも「おむつ替えスペース(32.4%)」「産婦人科への付き添い(21.4%)」などの不便さ・違和感も挙げられており、なんだかんだで「ママだけ子育て」を前提にしている社会の現状を、暗に示してくれているのですね。

入園・入学手続きを妻に丸投げしていた自分

しかし、男性の筆者がドキッとさせられた調査回答は、むしろママ側で1位(41.8%)に選ばれた「保育園や幼稚園、小学校等の入園・入学手続き」の不便や違和感でした。

「男性と女性が育児で感じる不便や違和感」に関する意識調査(2022年3月 株式会社トラーナによる調査より引用)

 

この回答は(あらためて先ほどのグラフを確かめてみてください)、男性のほうで6位(13.9%)にしか入っていません。筆者も現に、入園・入学手続きに対して不便や違和感を感じた覚えがありません。

なぜ、感じなかったのか。その理由は簡単で、妻に丸投げしていたからです。当たり前のように妻に任せた理由は何なのか。その根底には「大事な書類だから妻がやるだろう」という勝手な思い込みと期待があり、その期待の裏側には「妻が子育ての主体」という考えが、自分の中にきっとあったからです。

もしかしたら、このアンケート調査に回答した男性たちにも、パートナーに丸投げしている状況があって、書類の用意や作成の大変さを経験していないから、不便や違和感も感じなかったのではないかと思ってしまったのですね。

「やっぱり育児は母親が中心」と無意識で考えていた

写真はイメージです

 

フリーランスのライターとして仕事の時間を大幅に抑えながら、2人の子どもの育児にこの7年くらいずっとのめり込んできた筆者です。フリーランスである以上、自分が手を止めた分だけ収入も下がるので、生活的には大変な時期もありました。

基本的に育児はきっちりやってきた

しかし、大変な育児も根底の部分ではすごく楽しくて、子どもが赤ちゃんのころは、おむつを替え、泣けばあやし、起きている時間はひたすらに遊んで、妻がいない時は冷凍した妻の母乳を温め哺乳瓶で飲ませ、もちろん沐浴もさせてきました。

寝る前には欠かさず絵本を読み、保育所(認定こども園)に子どもが通うようになってからは、雨の日も雪の日も(北陸に住んでいるので雪がすごいんです)自転車などで送り迎えして、発表会や遠足には全て顔を出しました。

上の子が小学校に入った今は、下校後に宿題を家で一緒にやり、宿題を見終えるとすぐに下の子を保育所(認定こども園)へ迎えに行く日々です。小学校では本業を生かし、PTAの広報誌づくりに参加して、前年度末には卒業記念号も編集人として発行しました。

少し手がかからなくなってきた最近は、その分だけ仕事に時間を割くようになり「ちょっと育児の手を抜いちゃっているかも」なんて反省しているくらい、子育てが楽しいです。

そんな自分にまさかの…

別に「イクメンだろ?」とアピールしたいわけではありません。要するに「親として当たり前に育児している」という自覚が筆者にはあったと言いたいわけです。

しかし、当たり前に親として育児に取り組んできたはずの自分の中に「やっぱり育児は母親が中心」と感じる無意識の領域を、先ほどの調査結果がきっかけとなり、見つけてしまったわけです。

入園・入学手続きをママに丸投げするパパ

写真はイメージです

 

つまり、上の調査で筆者が気になったのは、男性向け育児施設の不足という社会的な問題よりも、「入園入学の手続きや準備を、母親にばかり任せていないか」という、父親の側の依存意識です。

本来なら育児は、親が(2人居れば2人が、片親ならその人が)責任をもって取り組む話です(「べき」論みたいで、ちょっと押しつけがましいですが)。両親がいる家庭の場合、どちらが主体、どちらがサポートといった話はないはずです。

少なくとも、そのように筆者は感じてきましたし、「自分が主体」くらいの気持ちがむしろあった気もします。しかし、実際はこの体たらく。

「母親が育児の中心」という意識は意外なところにあらわれる

男性の皆さん、ご自宅ではどうでしょうか?

本来なら、手間のかかる大切な作業こそ、役割分担するべきではないでしょうか。わが家は共働きでもあるので、なおさら分担がフェアです。しかし、入園・入学手続きを相談もなくなぜか妻が全て担当していました。そのアンフェアな事実に、上の調査結果を見るまで気付きすらしなかったのです。

あらためて、上記のパパとママの調査結果を見比べてみましょう。

女性回答者の41.8%(1位)が選んだ「保育園や幼稚園 小学校等の入園・入学手続き」に対する不便や違和感を、男性の場合は13.9%しか選んでいない、この差はなんなのでしょう。

もちろん、この手の細かな事務作業を得意とする・不得意とする性別上の違いが存在するのかもしれません。あるいは、今回の回答者に選ばれた女性が、たまたまその手の作業に苦手意識を持っていただけかもしれません。

しかし、筆者の個人的な体験をもとに予想すると、男性の側に「育児は母親が主体」という無意識の考えがあって、その考えが自然に、入園・入学手続きを女性に丸投げさせている状況があるのかなと思います。

母親の苦手な部分をサポートすべき

恐らく、この手の意識は、育児のさまざまな部分に気付かないうちに顔を出しているはずです。本当にささいな部分に至るまで、育児の役割分担を無意識に押し付けていないか、あらためて考えなければと思わせられる調査結果でした。

男性の皆さん、もしもこの話で何か思うところがある場合は、上の「男性と女性が育児で感じる不便や違和感」に関する調査に詳しく目を通してみてください。

育児に向き合う現役の世代として、私たちの代から「育児の主役は母親」という無意識の決め付けをあらためていきたいですね。

【トイサプ!】とは

 2015年(平成27)11月より運営を開始した0歳3か月〜満6歳の乳幼児向け知育玩具・おもちゃ定額制サービス。最短2カ月ごとに乳幼児向け知育玩具・おもちゃ6点(4歳以上はおもちゃ5点)の交換が可能。2021年(令和3年)10月時点で10,000名を超えるユーザーが利用し、TPCマーケティングリサーチが同年8月に実施した調査では、知育玩具サブスクサービス市場で顧客数No.1に選ばれた。

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文・坂本正敬 写真・繁延あづさ
参考: 男性にも育児の悩みはある!「男性と女性が育児で感じる不便や違和感」に関する調査

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