愛情不足で低身長に!?心の状態が子どもの発育に及ぼす影響を解説

「子どもの心と体は一体となって発達していく」と話すのは、子どもの発育にくわしい小林正子先生。子どもが心身ともに健やかに育つには、親子のふれあいが何よりも大切。食事も大きく関係しているそうです。

2歳までは愛着関係を結ぶ大切な時期

子どもが発育しているときは、体だけでなく心も発育、発達しています。心と体は、一体となって発育しているのです。子どもの心身の発育に、何よりも大切なことは「親とのあたたかいコミュニケーション」です。

赤ちゃん時代の1年間は、寝がえりにはじまり、座ってハイハイして、つかまり立ちをして、歩くようになるなど、体は目覚ましく発達しています。

一方、心の発達も著しく、子どもは親に安心を感じることで、人に対する信頼感を身につけます。人への信頼感が育てば、自分の感情や意思をのびのびと発信できるようになります。体とともに心も、どんどん前に進んでいけるわけです。

特に2歳までは、目線を合わせて話すことやスキンシップなどは特に大事です。しかし、ついテレビやビデオに子守りを任せてしまう。また親がスマホに夢中になって、子どもが求めても、かまってあげないということもままあるのではないでしょうか。
2歳のころはイヤイヤ期もあって、親御さんも大変でしょうが、その時期にしっかりと向き合うことで、子どもは心身ともに健やかに育っていきます。

一人で食事をするとキレやすい理由

中高生になっても、親とのコミュニケーションは重要です。

2000年代初めに「キレる」という言葉が日常化しましたが当時、私が行った研究結果で、中高生が一人で食事をするとキレやすいことがわかりました。アンケート結果では「いつも家族がそろって食事をする」グループに比べて、「家ではほとんど一人で食事をする」「家ではほとんど食事をしない」グループのほうがキレやすいと回答した子の割合が多かったのです。

また最近の研究でも、一人で食事をする子には、頭がいたい、吐き気がするといった不定愁訴を訴える子の割合が多いことも判明しています。

『子どもの足はもっと伸びる!』(小林正子・著 女子栄養大学出版部・刊)より

 

1人で食事をする子は、性行動の開始年齢が早い

朝ごはんも夕ごはんも一人で食べ、家族との会話がろくにないことが、子どもの寂しさにつながっているのでしょう。一人で食べる「孤食」が日常化している子は、寂しさを埋めようとするためか、性行動の開始年齢が早いなど早熟傾向が見られるという報告もあります。

食事は何を食べるのかも大事ですが、どういう場面でどういう食べ方をするのかも、非常に大事ということです。 孤食 がつづくと、栄養が偏るのはもちろん、家族とのコミュニケーション不足から、社会性や協調性が育ちません。体にも心にも大きな影響を与えるのです。

コロナ禍で、なかなか会食ができなくなり、みんなでごはんを一緒に食べることの喜びや楽しさを改めて感じた人も多かったのではないでしょうか。ぜひ家族そろって食卓を囲んでほしいものです。
とはいえ今は家族が多様化し、毎回そろって食卓を囲める家庭は少ないでしょう。

ただ、そのなかでも週に一回はみんなで集まって食べよう、そういう場を積極的につくろうという親御さんの気持ちや態度は、子どもにとって、とても大切なものです。

実際できなくても、親御さん自身がいつも子どものことを考えているという姿勢を示せば、子どもの発育はそんなに、はずれることもないと思います。

愛情不足が体の発育に影響を及ぼす「愛情遮断性小人症」

心と体はともに成長していくとお伝えしていますが、裏を返せば、子どものそのときどきの心の状態は、すべて発育にあらわれます。

「愛情遮断性小人症」という障害があります。乳幼児期に愛情が十分に注がれないと、精神的ストレスから脳下垂体から成長ホルモンが分泌されにくくなり、睡眠が阻害されたり、食欲がなくなったりして、身体的症状として発育遅延が起こり、低身長の原因にもなります。 虐待などの極端な場合でなくても、両親の不仲を子どもが思い悩んだりすることでも起こり得ます。

心の状態が発育に及ぼす影響は実に複雑なのです。

心を病むと体重の増減がはげしくなる

 

特に心の状態が悪いと、まず体重にあらわれてきます。それは、体重がただ増える、あるいは減るというだけでなく、増減が激しい、大きく変動するといったあらわれ方をします。

ですから、子どもの体重に大きな変動があったら、この子は何かあるんじゃないかと気づくことができるのです。

そのときは何よりも、まず子どもを見ること。何かひっかかることがあるのか、悩んでいることがあるのか、話を聞いてあげてください。

食事を一人で食べさせていた、と親が気づくこともあるでしょう。いったん立ち止まって、これまでの生活をふりかえり、そこから改善していくことで、お子さんの心の安定を取り戻すことができると思います。

 

教えてくれたのは

女子栄養大学客員教授
小林正子先生

お茶の水女子大学理学部化学科卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。
東京大学教育学部助手、国立公衆衛生院(現 国立保健医療科学院)室長を経て、2007年より女子栄養大学教授。2020年より現職。
発育の基礎研究のほか「発育グラフソフト」を開発し、全国の保育園、幼稚園、学校等に無償提供し、成長曲線の活用を促進。発育から子どもの健康を守る重要性を啓発している。著書に『子どもの足はもっと伸びる! 健康でスタイルのよい子が育つ「成長曲線」による新子育てメソッド』(女子栄養大学出版部)

取材・構成/池田純子 イラスト/まる

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