「ケンカは見守る」自主保育活動に参加。息子が女の子とケンカしてしまい。。。
先日、子育てグループの野外活動に参加しました。保育などの専門資格がない大人が同行しているのですが、私はその日は同行しませんでした。3歳の息子だけを参加させました。しかし息子は、同じ歳の女の子と小さい岩の取り合いになって押し合い、髪の毛を引っ張たりしたそうです。
そのグループは「子どものケンカは見守る」というスタンスなので、女の子が大泣きするまで大人は誰も止めなかったようです。息子は、普段から自分が欲しいものを取られたくないと思うと、友だちを押したりすることがあります。私も、女の子とお母さんに「ごめんね」とは謝ったのですが、その後、女の子のお母さんから子育てグループに一斉メールが送られ「ケンカを見守るスタンスは理解していますが、目の前で自分の子どもが押されたり、髪を引っ張られ続け、泣いてもみなさんが止めてくれなかったことを目の当たりにしてしまうと、親として穏やかな気持ちではいられませんでした」と書かれていました。
私も、そのお母さんの気持ちはよくわかります。無抵抗の相手に対して一方的にやり続けるのは、ケンカではなく暴力です。私は、これからどうしたらいいのでしょうか?(3歳の男の子のママ)
ケンカは単に見守るのではなく、子どもの気持ちを通訳することが必要
やってしまう側のあなたも辛いですし、やられた先方の親御さんも辛いできごとですね。
まして、先方は我が子が泣いているのをみながら手出しをできずにいたのですから、ほんとに苦しかったでしょう。グループの方針である「子どものケンカは見守る」というのは、言葉が未熟な子どもにとってはコミュニケーションの方法でもあると考えてのことでしょう。
おとなが入ることでお互いの気持ちが通じないだけでなく、自分で解決をしようとしなくなるという事にもなります。でも、なんでも時と場合によって違うので、「けんかは見守る」というルールを守ればいいというものではありません。
子ども同士で小さい岩の取り合いをしたとのことですが、岩などがある場所でケンカをするとケガもしやすくて危ないです。子どものケンカに危険性があったり、長引いたり、一方的すぎる場合は「これ、〇〇くんも使いたいよね」「××ちゃんも使いたいの、困ったね~」と、子どもの気持ちを言葉にしながら、共感して心を静めてあげることが大切です。それが大人の役目です。
お母さんの意見交換をしていきましょう
お母さんから、スタッフに「子どものケンカは見守るという方針には賛成ですが、対等なケンカでなければ大人が入ってストップをかけたい」という意見を言ってはどうでしょうか。
そうすることで「ケンカが始まったら、どこまで見守るべきか」という話し合いがもたれると思います。自分の母親がいながら助けてくれなかったというのは、子どもにとっていい事ではありません。我が子が泣き叫んでいたら助けたいと思うのが母親であり、泣き叫んだら母親が来てくれるというのが自然体の親子関係だと思います。そこを越えて冷静にみていられるには、仲間に絶大な信頼感があってこそだと思います。
こうしたトラブルがあると、あなたも周りから我が子が “悪い子”と見られているのではないかという心配もあるでしょう。
親たちがやっている自主グループの良さは、本音を語り合いながら一緒に子育てをしていけるところです。いろんな子どもがいることを前提に、仲間作りをしていけるところです。そのためには親たちが本音で語り合うこと。それぞれの意見を出しあう中で、ケースバイケースの対応ができるようになっていくといいですね。
記事監修
柴田愛子 しばた・あいこ
自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて47年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。
イラスト/海谷泰水