「ぶつかっただけ」でケンカに!?元小学校教員が教える小学生のケンカと親のかかわり方

多くの小学校では1クラスに25人から30人くらいの子どもがいます。そんな中で毎日過ごしていれば、けんかすることもあるでしょう。
けんかをしたら、親はどうする? そんな疑問に今回はお答えします。

小学校は子どもの様子がみえにくい

小学校は幼稚園・保育園のときと比べて、子どもがどのように過ごしているか見えにくいですよね。
また、先生や親同士の交流も少ないです。

この記事では小学校教員として15年間勤め、2児のママでもある筆者が

・小学生のけんかの よくある原因

・子どものけんかに親はどう対応したらよいか

について解説します。

学校でのけんか よくある原因とは?         

 「たたかれた!」「けられた!」実はぶつかっただけ!?

1・2年生のけんかで最も多い原因が、これです。すれ違うときにぶつかったことが「たたかれた!」「押された!」になり、足につまずいてしまったことが「けられた!」「足をかけて転ばされた!」になるのです。

中には、背中をたたかれた気がして後ろを向いたとき、ちょうどそこにいた相手を「たたいた人」と判断してしまうこともあります。

「たたかれた!」と思ったときに、「やめて」「何でたたくの?」と言葉でコミュニケーションがとれれば、誤解だったと分かるはずです。
ただ、けんかになるのは、やり返してしまった場合です。
覚えのないことにやり返された相手がまたやり返して、けんかに発展します。

「だってあのとき!」過去の話から急にけんかに発展

低学年ごろのお子さんは、何かのきっかけで嫌だったことを思い出し、急に思いをぶつけてしまい、けんかになることがあります。

私が1年生の担任をしていたときのことです。
休み時間に数人でおにごっこをして遊んでいたところ、Aくんが突然顔を真っ赤にして怒りだし、Bくんを追いかけまわしたのです。
話を聞いてみると、「かけっこでBくんに負けたから」と言うのです。どうやら、おにごっこでBくんを追いかけていたら、1週間前の体育のかけっこで負けてしまった場面を思い出し、悔しかった思いが再燃したようでした。

 遊びから本気モードになり、けんかへ

ついさっきまで仲良く遊んでいたのに、いつの間にかけんかになってしまうパターンです。初めはじゃれあったり、戦いごっこをしたりして遊んでいても、徐々に楽しくなってくると距離が近付き、力も入ってきて、本気モードになってしまうのです。

子どものけんかが発覚!まずはどうしたら?

お子さんが明らかに怒りながら帰ってきたり、「けんかしちゃった」と話してくれたりしたら、親はどうしたらよいのでしょうか。ここでは、段階を追って、親の対処法を見ていきましょう。

ざっくり話を聞いてみる

まずは、どんなことがあったのか、ざっくりと話を聞いてみましょう。そのあとどう対処するか判断するためです。

このとき「話しなさい!」と指示するのではなく、「何かあったの?」「お話聞こうか?」と話をするかどうかをお子さんに委ねるのがポイントです。

親が介入すべきか判断する

お子さんから聞いたことをヒントに、どう対処するか判断しましょう。パターンとしては、以下の5つが考えられます。

・何もせず見守る(そっとしておいてほしい子に)

・話を聞いて共感してあげる(誰かに話してすっきりしたい子、気持ちをわかってほしい子に)

・解決策を一緒に考える(困ってはいるが自分で解決したい子に、親が出ていくほどでもないと思われるとき)

・担任の先生に伝える(先生に仲介をお願いしたいとき、子どもの話だけではよくわからず事実確認をお願いしたいとき)

・親が介入する(子どもがけがをしているとき、持ち物の破損や紛失があるとき)

お子さんに「どうしてほしい?」と聞いてみるのも方法の1つですね。

学校での出来事なら、まず先生に事実確認を

学校でのけんかの場合、まず担任の先生にお子さんの話した内容を伝え、事実確認をお願いしましょう。
客観的な事実を教えてもらえたり、お子さんの見えていない部分で起こっていたことなどを聞き取ってもらえたりすることが多いです。

 私が低学年担任をしていた際には、あえて子どもから保護者に報告するように指導したことがあります。

けんかになったきっかけ・どんな話をして仲直りに至ったかを、自分の口で話すこと(アウトプットすること)で、次は同じ失敗をしないようにしようという意識を高めるためです。
保護者の方から電話で連絡をいただき、「○○くん、自分でママに説明できたのですね!」と話したことがありました。

親が介入する場面とは?

担任の先生からお子さんのけんかについて連絡がくることがあります。そんなときは、先生にけんかの内容を聞き、どのように対処したら良いかうかがいましょう。

相手にけがをさせてしまったとき、相手の持ち物を壊してしまったときは、相手のご家庭に連絡を入れることを勧められることが多いです。その場合は先生にお相手の連絡先を聞き、謝罪の連絡をしましょう。

また、けんかした事実を親が把握できておらず、相手側の保護者や周りの保護者だけが知っていたというケースもあります。そのようなことが発覚した場合には、できるだけ早く担任の先生に確認をして、必要に応じてお相手に謝罪をしましょう。

子どものトラブル、子どもから話を聞くコツ

学校の教員をしていると、けんかの対応は日常茶飯事です。

筆者が低学年の担任をしていた際は、「どんな気持ちで、何をしたか」を言葉にすることを大切にしていました。言葉にしてみると、少し冷静に振り返ることができ、誤解に気づいたり本当の思いを伝えたりできます。低学年という発達段階を踏まえて、子どもから話を聞く時のコツを2点ご紹介します。

「したこと」よりも「されたこと」に目が向きやすい年頃であることを念頭に

1・2年生頃だと、されたことはよく覚えていても、自分のしたことは記憶に残っていないことがあります。

お子さんが「○○くんに~された!」という言葉を受け止めた上で、「それであなたはどうしたの?」と自分の行動も言葉にさせるようにすると、けんかの全体像が見えやすくなります。

また、子どもの話は、「思ったこと」と「したこと」が混同しがちです。事実と気持ちを大人が分けていきながら整理するのもポイントです。

行動の裏にある気持ちは受け止める

お子さんが相手に手を出したり、傷つくことを言ったりしてしまうこともありますよね。そんなとき、「たたくのはよくないよね。でも、○○が悔しかった気持ちはとってもわかるよ。」と、良くない行動については正しつつ、その裏にある気持ちは受け止めてあげましょう。

けんかも学びのひとつ

お子さんがけんかをするということは、それだけ自分の気持ちを表現しているということ。
表現の仕方は学んでいる途中かもしれませんが、自分を出せる環境であるとポジティブに捉えることもできます。
けんかした分、仲直りする方法も身につけていると捉えて、見守っていきましょう。

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文・構成/yurinako

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