PTA役員パパの奮闘記。「学校側に提案が通らない」時の対処法は?

『HugKum』ではこれまでに、プロのライター・編集者である筆者がPTA広報誌づくりを体験した上で、広報誌づくりの担当になったパパ・ママに向け、ちょっとしたノウハウなどを紹介してきました。
今回は、そんな紙の広報誌づくりを通じて見えてきたPTAあるある「学校側に提案が通らない問題」をどう乗り越えるかを考えます。

アイデアが学校側に受け入れられない時は

今回の記事の題材はPTA広報誌づくりです。しかし、広報誌づくりであろうが、その他のイベント企画・運営であろうが、盛り上がってPTA側から出したアイデアを学校側に没にされるなんて話が、全国のどこにでも存在するようです。

まあ、Parents(親)とTeachers(先生)のAssociation(団体)がPTAですから、親の側だけの都合で進めても駄目なわけです。団体で何かをする場合は決まってついて回る難しさですよね。

ただ、せっかく考えた提案を却下され続けると、どうしても心が穏やかではなくなっていきます。

筆者の場合は、初めて携わる年度末発行のPTA広報誌を卒業記念特集と題して、地域・教育関係者などいろいろな人から卒業する子どもたちへの「贈る言葉」をもらい、掲載しようと思いました。

その際に、アイデアが学校側に受け入れてもらえない問題に直面しました。

例えば、当時の6年生の担任インタビューを特集の中心に据え、

・当時の卒業生が在校中にお世話になった歴代担任のメッセージ(他校へ異動・退職した先生も含む)
・在校中に変わった前の校長先生のメッセージ
・大半の卒業生が進学予定の中学校の校長先生のメッセージ

なども掲載を予定しました。載せ方のデザイン案も含めて、印刷会社のデザイナーは気に入ってくれましたし、PTA会長もアイデアの実現のために方々で手を尽くしてくれました。しかし、結論を言えば、当時の担任の先生インタビュー以外は全て実現できませんでした。

前の校長先生からコメントをもらうなど、特異な事例に当たるらしく、進学先である中学校の校長先生などもってのほかといった反応が(遠回しながら)あったみたいです。

学校側も反対だけでなく、建設的に対案は出してくれました。しかし、ちょっと予定調和な感じもしたので、異なる「攻めた」アイデアをあらためて提案しました。しかし、学校側には認められませんでした。

印刷会社から届いた広報誌を仕分けする際の様子

 

制約の中でこそ想像力が発揮される

「制約の中でこそ想像力が発揮される!」

「断られて考え直した企画のほうが面白くなる」

なんて自分に言い聞かせながら、引き続きめげずにアイデアを筆者も出し続けました。

まあ、本業の仕事でも似た部分があるので、却下への耐性は強いほうなのかもしれません。しかし、どんどん日数だけが過ぎて締め切り(物理的に印刷が間に合う日)が近づいてくるので、不安にはなってきます。

今思えば、初めて広報誌づくりに携わる筆者の提案は、「前例にない何かをつくろう」という意識が強すぎて、ちょっと攻めた感じが強かったと反省します。

しかし、あまりにも提案が却下されるので、PTA会長はそのうち、紙の広報誌そのものを廃止する不要論まで考えたそうです。紙の広報誌をブログに切り替えるなど、全国的にも廃止の事例があるみたいなので。

「前例のない企画」は風当たりが強くなりがち

今になって思えばですが、この学校側の「お堅い」姿勢を、頼もしく感じた部分も筆者にはあった気がします。

なにしろ、当時の筆者にとってはPTA広報誌づくりが初めての体験。PTA業界特有のルールも作法も知りませんし、600部と少ないながらも、世の中に紙媒体を発行するわけです。地域の人たちにも回覧板で読まれます。

学校側の慎重な判断は、いろいろなリスクをヘッジしてくれるいいブレーキになってくれたと思います。特に、広報誌づくりでちょっと大胆なアイデアを試そうと思う担当者には、身を助けるありがたい話です。

それでも、学校側のリアクションがつれない内容ばかりだと、人情として心がささくれてきます。少なくとも筆者の学校では、建設的な態度を学校側が貫いてくれましたが、

前例のない企画には積極的に関与できない

という姿勢は、コミュニケーションを重ねるほどに感じられました。学校側も立場がありますから「まあ、仕方ないよね」と適度に脱力できる姿勢が担当者には大事になってくるのかもしれません。

ここぞという時に意見を聞いてもらうために

また、報告・連絡・相談をこまめに入れ、建設的なコミュニケーションをPTA側としても貫く姿勢は、ここぞという時に効いてくると思います。

繰り返される却下にめげず、なんとか企画を成立させ、誌面をつくり、初校(最初の校正刷り)を学校側に渡した段階でも、いろいろな赤字と写真の差し替え希望が学校側から返ってきました。

例えば、ページの並び自体も変更指示が入ります。言ってしまえば、最後のページを表紙の次のページに持ってきてほしいというくらい、かなり大幅な変更内容でした。

とはいえ、学校側の意図も分かります。そこで、かなりの部分で修正希望を受け入れながらも、ここは譲れないという部分は、その理由を切々と語りました。

結果として、こちらの思いも受け入れてもらえました。理解を得られた理由は、その段階に至るまでPTA側も学校側と誠実なやりとりを続けてきたからだと思います。そもそも、筆者の携わるPTAと学校は、建設的な関係をずっと築いてきた長い歴史と信頼もあったみたいです。

相手の意図を十分に理解してからこっちの意図を理解してもらう、PTA広報誌づくりに限らず、団体で何かをする際のポイントなのかもしれませんね。

PTA会長が語るコミュニケーション術

実際に完成した広報誌

 

一方で、筆者の所属するPTAの会長は、広報誌づくりの過程で、進め方のヒントをいろいろと教えてくれました。本職が弁護士の方なので、その辺りはお手の物なのかもしれません。例えば、

1.学校側の影響力が及ばない人たちに企画づくりに参加してもらう

2.PTAの「総意」として学校側にぶつける

などです。1については、こちらの企画を実現するために、学校側の影響が及ばない人を企画づくりに巻き込むといった考え方ですね。

例えば、子どもたちへの「贈る言葉」をさまざまな人から広報誌づくりで集める際に、学校側の人間が無理ならば、自治振興会や交通安全協会、交通指導員、交通安全母の会、学童、見守り隊など、地域の人たちにコメントの協力を求めるといった考え方です。

2については、PTAの主要な会議の議題にかけ、PTAの「総意」として学校にぶつけたほうが、学校側も検討せざるを得ないといった話です(今回の広報誌づくりでは「発動」されませんでしたが)。

学校側の姿勢と意見に理解を示し、トラブルを避ける予防線としても大いに取り入れつつ、地域や子どもたちのためにどうしても実現しなければいけない場合があるなら、意を尽くして意図を説明する、場合によってはPTAの総意としてぶつけてみるなど、建設的な押し引きが大切だと学びました。

皆さんも、参考にできる部分は、ぜひ参考にしてくださいね。

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文・写真(一部をのぞく)/坂本正敬

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