小学校のPTAってどんなもの?役員の組織図や役割、やってみたママたちの口コミも

小学校に入学すると、保護者はPTAの一員となります。しかし最近は、強制加入問題や一部の保護者の拒否活動などが話題になることも。そもそもPTAって、どんな活動をするのでしょう。小学校の先生やPTA役員を経験したママたちに取材しました。

PTAってなんの略?どんな仕事があるの?

子どもが入学すると、保護者は基本的にPTAに入会します。「PTA」は、正式名称の「Parent(親)Teacher(先生)Associaition(団体)」の略で、保護者と教職員が協力し合い、学校に通う子どもたちの健全な成長を見守る活動を行うのが、主な目的です。

小1ママ・パパのなかには、「PTA」と聞くと、「義務で仕方なくやるもの」「大変そう」など、ネガティブな印象をもっている人も少なくないかもしれません。にもかかわらず、実際にPTA役員を経験した人に話を聞くと、ほとんどの方が「やってよかった」と口をそろえるのです。

身近にできるボランティア活動。「できる範囲で行動する」が基本。

PTAは、子どものために親ができる身近なボランティアのひとつ。「子どものために」という思いを、ほかの保護者たちと共有して活動できることは、親にとっても実り多い経験となり、保護者同士の交流を深めることにもつながります。

また、学校の先生方との距離が縮まり、学校での子どもの様子がよりわかるようになるなど、PTAの活動を通して得られることが、じつはとても多いのです。

なお、近年では、PTAの代わりに保護者ボランティアとしての活動を行う学校もあります。けれども基本はやはり「学校に通う子どもたちを見守る」という立場や姿勢はPTAと同じです。

一般的なPTAの組織図

 

PTA役員の中には、さまざまな委員会が

PTA役員には、会長や副会長、書記、会計といった本部役員のほかに、学級代表委員や各専門委員などがあります。

学校によって異なるケースもありますが、保護者と教職員すべての会員が対象になる最高議決機関が「PTA総会」です。定期的に開かれる「運営委員会」では、各委員会の活動の報告や取り決めなどを行います。取り決めた事案は最終的にPTA総会で承認するシステムです。

本部役員は毎年選出され、決定の方法は学校によって異なります。PTAの中で選考委員会を設置して候補者を探す場合や、ポイント制度を導入しているところもあります。

ポイント制では、6年間のうちに必ず1~2回は引き受けることになるため、子育てや仕事の都合を考えて立候補する人もいます。

役員というと堅いイメージを抱かれるかもしれませんが、役員だって同じ学校に通わせている普通のお父さん、お母さんたち。特別に選ばれた人が特別なことをしているわけではないのです。また、学年の垣根を越えたチームとして楽しく活動ができた、という声が多く聞かれます。

 

やってよかったPTA役員!?ママたちからのリアルな声!

楽しかった? 辛かった!? PTAをやってみてどうだったのでしょう? 役員を経験した先輩ママたちにうかがいました。

役員同士の絆が深まりました!

「役員になると、学年が異なる保護者とのつながりが生まれます。私たちの場合は、最初にあだ名で呼び合おうと決めて、お互いの距離が縮まるようにしました。役員会議でもあだ名で呼び合うので、終始和やかでしたね。活動を通じて得た絆は本当にかけがえのないものになりました。任期が終了しても、ときどきランチ会をして集まっています」(斎藤美奈子さん/お子さんが小6)

 

フルタイムで働きながらでもできました!

「私はフルタイムで働きながら会計を務めました。私だけでなく、会社勤めの人や、パートタイムで働いている人もいましたね。こうした事情から、役員会議や総会などを土曜日に設定。PTA役員の都合で最初に予定を組むことができたので助かりました。それでも出席できないときは、ほかの役員さんが代わりにフォローしてくれました。お互いの事情を理解し助け合えたことで、無事に役を終えることができたと思っています。いい経験になりました!」(大久保さやかさん/お子さんが小4・小2)

 

学校の事情に詳しくなりました!

「私は書記でしたが、学校公開日の受け付けを仕切ったり、PTA主催の公開講座などを手伝ったりすることもありました。必然的に校長や先生方と話す機会が増え、おかげで学校の内部事情には詳しくなりましたね(笑)。ただ仕事量が多くて、週に2~3度は学校に行っていました。大変だったけれど、気持ち的にはとても充実していたと思います」(吉澤真紀さん/お子さんが小4)

 

子どもや普段の学校の様子がわかります!

「委員会やイベントなどで、学校へ行く機会が増えました。学校公開日だけではなく、普段の授業の様子もわかりますし、あの学年のあのクラスはどんな感じ…といった情報も得られます。また、子どもたちが顔を覚えてくれて、子どもから情報を得られることもありました」(高橋麻里子さん/お子さんが小6・小3)

 

紹介したコメントは、任期を終えた後に取材したもの。そのため「楽しくできた」という声が多く聞かれました。ただ、役員選出直後は、楽しみよりも、「私にちゃんとできるかしら……」といった不安のほうが大きかったといいます。1年の活動期間の間に、こうした不安を役員たちで共有し、役割を超えて作業をフォローしあうことで絆が深まり、PTAというひとつのチームになっていくのではないかなと思うのです。

 

PTAの専門委員会ってどんな種類があるの?ママの口コミも

PTAには、さまざまな専門の委員会があります。学校や地域によって、名称は異なりますが、活動の一例として対のようなものがあります。

【学級代表委員】

役員と会員とのパイプ役

クラスから1~2名選出し、学級の代表として、PTAの運営に関わります。PTA総会や運営委員会に出席し、議案を検討します。学年ごとの活動の企画・運営や保護者会などを取りまとめます。

★やってみてどうだった?ママの声

「運営委員会などに出席するため、学校へ行く機会が増えました。教室の前を通り、子どもの様子をこっそり見たりしていましたね」小川佳世さん/お子さんが小3)

 

【校外委員】

校外での子どもの安全を守る

校外での子どもたちの安全を守る活動をします。通学路を確認したり、子どもたちが安全に登下校できるように見守ったり、防犯パトロールなどを行います。また、地域と学校との連携を図ります。

★やってみてどうだった?ママの声

「ここは大丈夫、これは危ないかもしれないなどと、道路や公園など外出のたびにチェックするようになりました。校外委員を経験してから、安全に対する意識が高まったと思います」(小林さおりさん/お子さんが小3)

 

【校内活動委員】

校内の環境を整える

子どもが安心して過ごせるように、校内の環境を向上させる活動をします。子どもの手が届かない場所の清掃を保護者を集めて行ったり、学校行事の受け付けや案内などを行ったりします。

★やってみてどうだった?ママの声

「親御さんの名前と顔って、なかなか覚えられなかったりしますよね。学校公開などの受け付けをしているうちに、名前と顔を覚えることができました」(秋山信子さん/お子さんが小4)

 

【広報委員】

学校やPTAの活動を伝える

入学式や運動会、展覧会などの学校イベントや、PTA主催のイベントなどを取材して、学校の広報誌を編集し、発行します。また、掲示物やPTAのホームページを作成して情報を発信します。

★やってみてどうだった?ママの声

「運動会では、観覧席よりも子どもたちに近い場所で撮影させてもらえたのがうれしかったですね。広報用の写真はもちろんですが、わが子のベストショットもたくさん撮りました!」(阿部京子さん/お子さんが小5)

 

【教養委員】

PTA主催のイベントを企画・運営する

子どもや保護者のための文化行事を担当します。夏休みのラジオ体操や給食センターの見学、試食会など、地域学習の活動を企画したり、展覧会など学校での文化行事の手伝いなどを行います。

★やってみてどうだった?ママの声

「夏休み中は、子どもと一緒に朝6時に起きてラジオ体操へ。子どもたちのお手本として、前に出てラジオ体操をしました。大勢の子どもたちと一緒に体を動かすのはとても気持ちよかったですね」(森 美紀さん/お子さんが小3)

 

イベントを盛り上げるための仕事も!

委員会のほかにも、保護者はPTAの一員として学校行事に関わる仕事を分担して行い、学校の支援をしています。また、子どもたちに本の読み聞かせをする「読み聞かせボランティア」や校内の安全を図る「安心・安全ボランティア」といった活動もさかんに行われています。

学校の運営は先生たちの仕事。けれど、先生たちだけでは手の届かないことはたくさんあります。そこで、保護者も協力する。もちろん、負担を感じてまでする必要はありませんし、学校に行く機会も増えることで「忙しい」と感じることもあるでしょう。けれど、PTAの活動を通して、子どもがお世話になっている学校のことがよくわかるようになるのは大きな魅力です。まずはあなたが楽しくできそうだなと思えることを見つけて、挑戦してみてはいかがでしょう。

取材・構成/天辰陽子

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