3つのポイントを意識して、おでかけを楽しく&安全に!
コロナ禍による行動制限が続いたため、子どもたちの外出の機会は大幅に減りました。2~4歳児世代の中には、泊りがけの旅行はもちろん、「遠出」と言えるような一日がかりの外出をしたことがない子もいるのではないでしょうか。感染症対策に気を配りつつ、おでかけを通して子どもが新しい経験をする機会をつくりたいものです。
お出かけを成功させるポイントは、3つあります。
1つめが、ゆとりのある計画。子連れの外出では、想定外のタイミングでの「トイレ行きたい」や急な体調不良はつきものです。とくに公共交通機関を利用する場合は、駅や空港には早めに着くようにし、乗り換えの時間も多めに見積もっておくと安心です。
2つめが、ぬかりない持ちものの準備。必要なものをしっかり準備するだけでなく、用途別にまとめておくなど「すぐ取り出せる」ようにしておくことも大切です。
3つめが、子どもの健康管理。水分補給や熱中症予防に加え、屋外と室内の温度差などにも注意しましょう。
また、公共の場所でのマナーも気がかりなことのひとつです。大きな声を出したりうごきまわったりしないよう、子どもを飽きさせない工夫も必要ですが、それ以上に大切なのが周りの人への声かけです。座席指定の電車や飛行機なら、座る前、周囲の人に「子どもがご迷惑をおかけしたらすみません」とひとこと挨拶しておくだけで印象が違います。
基本のもちものはコレ!
子ども用のものは、用途別に小分けにしておくと便利です。
■飲み物
■おやつや軽食
■おもちゃや絵本など
■脱ぎ着しやすい羽織りもの
■着替え(多めに)
■タオル
■だっこひも
■おむつ&おしりふき
■おむつ替えの際に敷くシート
■ポリ袋(多めに)
■アルコール除菌剤
■母子手帳
■日焼け止め
■虫さされの薬&虫よけ剤
■携帯用トイレ(マイカーの場合)
など
おでかけのドキドキ体験&コレが知りたい!
おでかけのスケジュールは「子どもファースト」で
ここからは2人のママ&子育てアドバイザー田中淑恵先生の座談形式でお伝えします。
Hさん… 6歳、3歳、0歳の3姉妹のママ。
Sさん… 2歳の女の子のママ。
Sさん(以下:S)娘の遠出経験は2回。夫婦それぞれの実家に、新幹線と飛行機で帰省しました。移動中に寝てくれればと思い、どちらも昼寝の時間に乗りものの中にいられるようにスケジュールを組みました。
田中先生(以下:田)それはいい作戦!
Hさん(以下:H)寝てくれるのがいちばん助かりますよね。少し前、私ひとりで娘3人を連れて、車で水族館に行ったんです。お昼寝の時間をねらって帰ったので、帰りの車内では3人ともぐっすりでした。
田 行きのドライブはどうでした?
H 片道2時間ほどだったので、途中で1回休憩。トイレをすませ、おにぎりを食べさせてから向かったらスムーズでした。マイカーだと、「騒いだらどうしよう」というストレスがないのが安心ですよね。
実は長女が3歳くらいの頃、電車内で退屈して、前の座席の背もたれを蹴ってしまったことがあったんです。遊べるものを用意してはいたんですけど……。
田 遊びが1種類だけだと、子どもは飽きてしまうから、座席でできる遊びにバリエーションをつけるようにすると、静かに座っていられるかもしれませんね。
H 前の席の方が気を悪くされたようだったので、ひたすら謝りました。
田 めばえっ子の行動を制限するのは難しいから、トラブル防止のため、周囲には事前に声をかけておくといいかもしれませんね。どうしても泣き止まないときなどは、子どもに「次で降りるから、もう少し頑張ろうね」などと少し大きめの声で話しかけるのも効果がありますよ(笑)。
H 私は、お菓子をどんどん口に入れ続けてしまいました……。
田 わかります! でも、「ごほうび」はタイミングを間違えると逆効果になるんです。騒いでいるときではなく、静かにしているときにあげるのが正解なんですよ。
S うちの場合は騒がなかったけれど、新幹線を降りる直前に吐いてしまって。できるだけ片づけて、降りてから駅員さんに伝えました。娘は以前も外出先で吐いてしまい、着替えが足りなくて夫のシャツをワンピースがわりにしたことも(笑)。それ以来、出かけるときは大人の荷物を減らし、娘の着替えを持てるだけ持っていくようにしています。
田 遠出に限らず、着替えは必須です。着替えの場所にもなるトイレも、場所や設備について事前にチェックしておくといいですね。
S 下調べは大切ですよね。新幹線にも、時期によっては家族向けの「子連れ専用車両」があるんですよ。
H ホテルや旅館にも「子連れ歓迎」をうたっているところがありますよね。私も利用したことがありますが、子ども用の設備が充実しているし、騒いでも大丈夫、という安心感がありました。
田 子連れの外出を楽しむ基本は、「子どもにがまんさせる」のではなく「大人が子どもに合わせる」プランにすることなんですよね。
上での体験談&アドバイスを下にまとめました。おでかけ前に再確認してみましょう。
①移動中をお昼寝タイムにできればベスト!
目が覚めたら目的地に着いていた、というのは子どもにとってもストレスのない方法。
乗りものに乗る時刻をお昼寝タイムに合わせることに加え、乗車前後のタイミングで食事やおやつを。満腹感が眠気を誘ってくれます。
②マイカー移動ならこまめに休憩を
休憩は1時間に1回を目安に。トイレをすませ、少し歩くなどして気分転換しましょう。
チャイルドシートは体に密着するため、暑い季節は背中の汗をふくなどのケアも忘れずに。
③電車内では「遊びローテーション」で退屈防止
車内で役立つのが、道具を使わずにできる手遊び。遊び道具もいくつか用意しておき、絵本→手遊び→シールブック……のように変化をつけて飽きさせない工夫をしましょう。
④予告+周囲へのアピールでトラブルを防止
周りの人にあらかじめ声をかけておくと安心です。子どもに声をかけるときに大きめの声で言うのは、子どもを静かにさせようと頑張っていることや、もうすぐ降りることを周りにさりげなく伝えるため。
頑張っても子どもが泣き止まなかったり、場所を移動することもできないときの最終手段です。
⑤おやつは「ごほうび」として上手に活用
「騒ぐ→おやつ」という方法だと、子どもは「騒げばおやつがもらえる」と学んでしまいます。
子どもが30秒でも落ち着いていられたら、「静かにできてえらいね」などとほめておやつを。「静かにしているとごほうびがもらえる」とわかれば、行動が変わります。
⑥電車の座席などを汚したときは関係者に伝える
周囲を汚してしまったときはできるだけ片づけ、必ず関係者に報告します。降車してから知らせる場合は、座席番号も伝えましょう。
乗りもの酔いしやすい場合は、万が一に備えてエチケット袋も多めに用意しておくとよいでしょう。
⑦トイレは場所だけでなく「和・洋」もチェック
出発前に、目的地となる施設や自治体のサイトなどでトイレの場所や和式・洋式の種類、おむつ交換台の有無を確
認。トイレ環境がよくない場合は、最寄り駅などでトイレをすませてから向かうようにしましょう。
⑧宿泊先や飲食店はファミリー歓迎のところを選ぶ
「子連れ歓迎」の施設は、子どもが遊べるスペースや子ども向けの設備、サービスなどが充実していることがほとんどです。利用者も子連れの家族がメインなので、子どもが騒いでも「お互いさま」と思えることも大きなメリットです。
他にも!おでかけ前に子どもの全身写真を1枚
出先で迷子になった場合に備えて、洋服のタグなどには名前を書き、出発前に全身写真を撮っておきましょう。その日の服装やもちものがわかるので、捜索を依頼する際、子どもの特徴を正確に伝える手助けになります。
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教えてくれたのは
『めばえ』2022年8月号 イラスト/良江ひなた デザイン/島 寿、飯坂祐子(ビーワークス) 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。
再構成/HugKum編集部