複雑な家庭環境で育った私。つい感情的に子どもに当たってしまい子育てに自信が持てません【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

私自身の複雑な家庭環境が影響し、感情的に子どもに当たってしまいがち。子育てに不安を感じています

4歳の男の子がいますが、つい子どもに感情的に当たってしまいます。私自身、少し複雑な家庭で育ちました。その影響が大きく、まともにわが子を育てられるのか不安です。子育ての問題というよりは、まずは私自身の心の問題を整理する必要性を感じていますが、どのようなことから始めたらいいでしょうか?(4歳の男の子のママ)

親自身が幼少期に体験した苦しみが、わが子へ向かってしまうのはよくあること

同じような悩みをもつお母さんたちからは、「わが子を見ていると、自分自身の育てられ方が蘇って苦しくなる」という話をよく聞きます。

特に親から暴力を受けたり、侮辱され続けたり、愛情を感じないまま育ったりすると、そのときのつらい、苦しい気持ちがあふれ出して、わが子に当たってしまうことがあるそうです。虐待の連鎖です。

私は、これまで何人もそうしたお母さんたちの相談にのってきましたが、解決策はあります。お母さんの心の持ちようで、虐待の連鎖は断ち切れると思います。

親への想いをすべて吐き出して、心の虫干しをすることが第一歩

まずは自分の胸にしまってきた、親への想いを全部吐き出してください。これを私は「心の虫干しをする」と言っています。自分の身体から、悲しい過去やつらい想いなど、負の感情を追い出すのです。そうすると心の中で渦巻いていたものが軽くなっていきます。

問題はそうした想いを誰に向けて吐き出すかですが、親が元気でパワーがあり、親子関係が断絶されてもいいという覚悟があれば、親に向かって吐き出して戦ってください。実践した、あるお母さんは親子で言い合うことで、親が背負ってきたものや気持ちに気づけて、親への想いが変わったと言っていました。

また別のお母さんは、親に捨て台詞を吐いて別れたのですが、「親も自分も、それぞれの家庭がうまくいっているのだからもういい」と割り切れたそうです。

気持ちを吐き出せる人がいない場合は、ノートに書き出して客観視を

親に気持ちが吐き出せないときは、共感して話を聞いてくれる人を探してください。もし誰にも言えない場合は、これまでの想いや怒り、苦しかったこと、悲しかったことを洗いざらいノートに書き出しましょう。ノートに書いて、自分がどんなひどい目にあってきたか客観的に見てください。頑張って耐えてきた自分のことを愛おしく感じられるかもしれません。

また書き出したノートをときどき読み返して「こんな親に、私は決してならない」と誓ってください。

悪かったと思ったら、子どもへの「ごめんね」を忘れずに

子どもに当たってしまうことは、すぐには直らないでしょうし、反省しても繰り返してしまうこともあるでしょう。でも「悪かった!」と思ったら、子どもに「ごめんね」と謝りましょう。子どもの心を壊さないためにも、これだけは心に留めて守ってくださいね。

記事監修

保育者
柴田愛子 しばた・あいこ

自主幼稚園「りんごの木」代表。子どもの気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて47年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。

イラスト/海谷泰水

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