小学生の子どもが算数のテスト「75点」をとってきたら? 褒めるべき?

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タブレット教材を展開する RISU Japan 代表で『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』の著者である今木智隆さんに、ビッグデータから見えてくるさまざまな法則について伺います。
今回はズバリ、テストの点数について。小学校の算数テストにおける75点っていい点数なの? それとも…? テストの点数と学習方法の関連について、解説していただきました。

「算数のテストで75点取ったよ!!」

そう言って嬉しそうにテストを持ち帰ってきた我が子。

「75点って良い点数なの?他のクラスメートは何点くらい取ってるの?」
「これは単元の確認テストでは?それって100点取れるものじゃないの?」
「そもそも小学校のテストで75点取ったのって、すごいことなの?」

さまざまな思いが駆け巡ります。

でも、まずは「よかったね、算数で75点もとるなんて嬉しいよ」と、お子さんの思いに共感し、全力で褒めてあげましょう。否定せずに褒めることによりお子さんは「また次も頑張ろう」という気持ちになってくれるはずです。先ほど駆け巡ったいろいろな疑問や不安はその後でゆっくり考えれば良いでしょう。

そこで今回は、75点のテストに感じた疑問や不安についての解決策についてお伝えします。

小学生のテストで75点はいい点数? 悪い点数?

75点という点数だけを見れば、悪い点数ではないように思われます。

しかし、本人、先生、親御さんにとって、この一見良さそうに見える点数が、実は危険なのです。

いつも70点台は、実は算数の隠れ苦手

もし、30点のテストをお子さんが持ち帰ってきたらどうでしょうか。学んでいた単元を「理解できていない」ことが露呈するわけですから、先生や親御さんだけでなく、本人も何が理解できていないのかを考え、学び直すきっかけとなります。

しかし、小学校の算数の問題は、完全に理解できていなくても、解き方などを覚えて真似することで、ある程度のテストで点が取れてしまいます。

75点という8割近い点数が取れていることで、先生も親御さんも「ある程度この単元は理解できているな」と判断してしまいます。

この状況をずっと繰り返してしまうと、算数が理解できていないことに気付いた時には、いったい何時から理解できていなかったのかもわからない状況に陥ってしまいます。

小学生の日常的なテストであれば、ケアレスミスなどを考慮したとしても、90点を切ってしまっては理解が足りていない可能性が高いと言えます。

勿論、先生がオリジナルで作成したテストや、学校外での難度の高いテストなどの場合は、75点でも十分な点数です。

「先生は何も言わなかったの?」

では、この点数で先生は理解できていると思っているのでしょうか。

先生はクラス全員を見ているわけですから、一人ひとりの学習状況をすべて把握し、分析できるほどの時間は取れるはずもありません。ですから、そこは親御さんが把握して対策を取っていかなくてはいけません。

しかし、誇らしげに持ち帰ってきたということは、もしかしたら先生が「よくできたね」と褒めてくれたのかもしれません。

例えば、わからないことを先生に質問していたことで、全然できなかった単元ができるようになったと、先生が褒めてくれたというケースも考えられます。

または、これまでは点数が悪かったテストを親には見せていなくて、ずっと低い点数を取り続けていた可能性もあります。

ですから、同じ75点でも、子どもが喜んでいるのか、そうでもないのか、本人の反応を見てその理由も聞いてあげてください。

その上で、学校での学習状況やテストを行うまでの過程、クラスの平均点などを聞き出し、状況把握をしましょう。次に取るべき行動がわかってきます。

算数で大切なのは、しっかりとした理解の積みあげ

算数は、他教科と比べて「積み上げ型」という特徴が強い教科で、前に習った内容を忘れてしまったり、理解できていなかったりすると、新しい単元を習ったときに理解することができず、つまずいてしまいます。

算数におけるテストの目的は、しっかりと理解できているかどうかの確認です。

苦手をそのままにしてしまうと復習が大変

タブレット教材「RISU算数」では算数の単元ごとの学びを特徴としていますが、小学校での算数は学年ごとの区切りであり、関連のある単元を続けて学ぶケースばかりではありません。

例えば小学校で「立体」を学ぶ場合、2年生の時に「箱の形」という単元で初めて触れます。その次に立体が登場するのは「立方体と直方体」で、なんと4年生になってから。その間は2年も開いているのです。

多くの子どもが忘れてしまっていますし、理解が曖昧だった子どもにおいては、まったく歯が立ちません。しかしながら学校の授業では「立体についての基礎」は既に学習済み、理解されているものとして進みます。

4年生の「立方体と直方体」でつまずいているようなら、かなり高い確率で2年生の学習内容まで戻る必要があります。ただ、かなり前に学習した内容にまで戻って学び直すということは、子どもたちにとって恥ずかしいことであり、決して楽しいことではありません。

学年ごとの単元<左>と、執筆者(RISU Japan 代表)の構築した単元のフローチャート<右>。右は「理解の積み上げ」の順序が示されているので、つまずいたときに戻るべき「1つ前」がわかりやすい。

間違えた所を一緒に復習してあげよう

では、楽しくない復習は、どのように子どもにやらせればよいのでしょうか。

まず、75点の原因が単純なケアレスミスなのか、今習っていることの理解が甘いのか、それとも何年か前にならった基礎が理解できていないのか、お子さん自身は分析することはできません。親御さんが一緒に復習してあげることで原因をつきとめてあげてください。

理解が足りていないのなら、1つ2つと関連する単元を戻って復習しましょう(上図フローチャート参照)

その際、頭ごなしにここができていないと指摘したり、親御さんが説明を繰り返したりすることは避けましょう。できるだけお子さんが説明するように仕向けのです。自分で説明することで、理解していない部分を明確に把握できるようになります。

そして、わかるようになった時には、少し大げさなくらいに「すごいね!」「できるようになったね!」と褒めてあげましょう。達成感を得られれば、復習も楽しいものに変わっていくことでしょう。

まとめ:確認テストでの90点以下は正しい復習で苦手を先送りしないこと

小学生が日々習う単元について、その理解度を確認するようなテストでは、一見悪くないように見える75点くらいが、十分な理解がないまま、誰にも気づかれずに苦手をどんどん先送りにしてしまう非常に危険な点数なのです。

90点を切ったテストについては、思い切って1つ前の単元に戻って復習しましょう。

しかし、自尊心を傷つけたり、復習という言葉だけで嫌悪感を示すようになってしまわないよう、親御さんの手厚いフォローが必要です。お子さんが復習でも達成感を得ることができ、復習が楽しいものとなるよう、しっかりと見守るようにしましょう。

*プレゼント情報は記事末*

記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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構成/HugKum編集部

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