「どんな視点で習い事を選んだらいいのか迷います」【保育経験41年・元園長先生の相談室17】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

年中児の母親です。周囲のお友だちは、すでにさまざまな習い事を始めていて、比べてはいけないと思いつつも焦ってしまいます。どんな視点で習い事を選んだらいいでしょうか。

鳥取県 K・Sさん

 

子どもの個性や環境家庭の子育ての方針で選ぶことが大事

幼児期は、家族やお友だちなど、周囲にいる人たちと触れ合いながらさまざまな体験をすることで五感が刺激され、心が育っていきます。そういう発達途上にある子どもに習い事をさせたいと思ったなら、まずお母さんがその子の性格や遊びの好み、行動の姿などを客観的に捉えて、どんな習い事が合っているか考えてみることが大事です。

そして、そのうえで家庭環境や子育ての方針に沿った習い事を選びましょう。

例えば、将来、音楽に親しむことで子どもの人生を豊かにしたいと願うなら、ピアノやリトミックなどがよいと思うでしょうし、お母さんが通訳をしている方なら、自然な流れで英語を習わせたいと思うのではないでしょうか。

そうして習い事の候補を絞ったら、お子さんに実際に体験させてみて、興味を示すものから習わせるといいと思います。

いったん始めたら習い事を続けさせる努力をしましょう

注意すべきは、習い事を始めてからです。習い事をスタートした当初は、お子さんも意欲満満で、積極的に教室へ通うでしょうが、しばらくすると、飽きたり、うまくできなかったりして、「やめたい」と言う時期が必ず訪れます。そのとき、お母さんはお子さんの意向をそのまま受け入れずに、習い事を続けさせるという覚悟を持って対応することが必要です。励ましたり、ほめたり、ときには「教室へ行くだけでもいいから行ってみようよ」などと言ったりして、お子さんが気分を変えて習い事に臨めるよう努力をしてみてください。

習い事をする目的は、能力や技術を単に身につけることだけではありません。

自立して自分の力を精一杯出せる。先生の話をきちんと聴ける。自分を高めるためのチャレンジ精神を育む。仲間と一緒に行動ができる等々、態度や心を育てることも重要な目的です。成果は遅々として上がらなくても、お子さんは習い事を続けていくなかで多くの力を身につけることができるのです。

また、習い事が上手にできても、できなくても、お母さんは、わが子のありのままの姿を認めて受け入れていただきたいですね。お子さんの頑張る姿を認め、励ましながら接してあげてください。そして、少しでも上手にできたり、上達したと感じたらお子さんとともに喜んでほしいのです。そんな態度や心構えを
お母さんが失わずにいたなら、お子さんはきっと壁を乗り越えていけると思いますし、習い事をした日々は、親子にとってかけがえのない思い出になると思います。

周囲のお友だちの習い事が気になるのなら、どんな先生に習っているのか、どんな場所でどのようなことをしているのか、その子どものお母さんにざっくばらんに尋ねてみてはいかがでしょう。情報収集をすることでお子さんにより良い習い事をさせることができますし、話をしていくなかで新たな交流が生まれたりするかもしれませんよ。

 

回答していただいたのは…

 

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2017年1月号

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