「園の同じクラスのママからLINEで“うちの子がお宅の子にいじめられました”と連絡が」【保育経験41年・元園長先生の相談室14】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

園の同じクラスのママからLINEで「うちの子がお宅の子にいじめられました」と連絡がきました。わが子に聞いても事情がわからず困っています。どうしたらいいでしょうか?

(山梨県 T・Mさん)

幼稚園で起こったことは、園の責任です。親同士で直接話すのではなく、必ず園の先生を通して問題を解決することが重要です。まず、その経緯を先生に説明することで、冷静に状況を捉えられるようになります。相手のお子さんの言ったことが、どの程度本当だったのかなどの事実確認もしてもらえるため、ご自身の気持ちの整理や対応の仕方も判断がつきやすいと思います。

また、発達途上にある幼児の場合は、言葉も未熟ですし、その内容もあいまいなところがあります。先生が事実確認をしたら、「いじめられた」と言っていた子どもが、実はケンカの原因を作っていたり、もしくは加害者だったりするのもよくある話です。

相手のママの気持ちをまず受け止めて収める

メールやLINEのメッセージは、文字情報だけなので、相手がどの程度の思いで送ってきたのかはわかりません。何気なく書いたのかもしれませんし、とても腹立たしく思って書いたのかもしれません。相談者のお母さんは、わが子に聞いても、その事実関係がよくわからないので、納得がいかないとは思いますが、まずは返信をしておくことが大事です。

その場合、「うちの子はいじめたとは言っていませんが」というような反論は禁物です。

「子どもに確かめましたが、様子がよくわかりませんでしたので、園の先生に相談させていただこうと思います」と述べたうえで、「どちらにしても、うちの子どものことで、嫌な思いをさせてしまいまして申し訳ありませんでした。園の先生にお聞きして、しつけます」と言って、いったん相手のお母さんに同調して、その気持ちを収めておくことが大事です。

園の先生に伝えて事実確認をしましょう

そのうえで、園の先生に相手のお母さんからどのようなメッセージが来たのか状況を伝えて、事実確認をしてもらいましょう。

園では、双方の子どもにそれぞれ事情を聞いたり、周囲の状況を確認したりしながら、きちんと事実を把握します。そのうえで、子ども同士には気持ちの溝が残らないよう指導をしていきますので、安心してください。そして、お母さん同士の関係修復も、園に任せるといいと思います。

「先生から相手のお母さんに状況を伝えていただけますか。園で起こったことなので、それがいちばんいいと思います」とひと言添えれば、先生も対応しやすいと思います。もし本当に相談者のお子さんがいじめていたとしても、園の先生を介することで、お母さん同士も、冷静な判断と対応ができると思います。

同じ幼稚園に通っていても、各人の価値観はさまざまです。その人の性格や子育てに対する考え方、家庭環境によって同じ問題が起こっても、それに対する思いや対応が異なります。そういった親同士が話をしても、感情的になり、スムーズに話が進みません。最初に述べたように、園で起こったことは、園を通して解決をするのが基本です。

お母さん方にもう一つ頭に留めておいていただきたいことは、子ども同士のもめごとは、園では日常茶飯事だということです。そうした問題を一つひとつ乗り越えながら、子どもたちは日々成長していきます。そして、それが園生活を送る意義であると理解していただけたらと思います。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2017年4月号

編集部おすすめ

関連記事