「少しでもうまくいかないとすぐ投げ出してしまう子です」【保育経験41年・元園長先生の相談室13】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

年中クラスの子どもです。新しい遊びや物事に挑戦しようとするとき、少しでもうまくいかないと「もう嫌だ」「ママがやって」と言って、すぐ投げ出してしまいます。このままで大丈夫なのかと不安です。(茨城県 Y・Mさん)

年中児ぐらいになると、運動やお絵描きなど、技が必要な物事をするときの完成度というのが、ある程度イメージできるようになります。また、それと同時に、自分とお友だちのできばえの比較もできるようになるので、思い通りにできないときの悔しさもより大きくなりがち。そのため、それを消化できずに、放り出してしまうことが多くなるのです。

相談者のお子さんのような場合、まずはこれまでの子育てを振り返ってみてください。お子さんが何かにチャレンジしたときに、「そんなことができないの」とか、「○○ちゃんは上手にできるのに……」などと言っていなかったでしょうか。そうした言葉は、お子さんのプライドを傷つけるだけでなく、自信を喪失させ、意欲を半減させてしまいます。

そして、そんなことが繰り返されると、お子さんは失敗を恐れて、新たなことに積極的に取り組まないようになります。このような点に心あたりがある場合は、そうした態度を改めることが必要です。

結果より、頑張る姿を認めてあげましょう

そのうえで、おうちの方がすべきことは、お子さんがうまくできなくても、めげずに挑戦するきっかけを作ってあげることです。うまくいかなくても、「惜しいね」と言って、その状況をしっかり受け止めてあげたうえで、「だけど、あなたが何度も頑張っているのはスゴイと思う。ママはうれしいわ」と言って、お子さんが頑張る姿を認めてあげてほしいのです。

大好きなお母さんからそうした言葉をかけてもらうだけで、子どもは結果として上手にできなかったとしても、満ち足りた気持ちになります。そのうえで「また今度やってみようよ。次はきっとできるようになると思うよ」と言ってあげたなら、お子さんは、希望を次につなげることができます。

手助けも必要お子さんと一緒に体験を!

もし、お子さんが新たなことをするのを最初から嫌がって拒否する場合は、それに近いことから挑戦させてあげるといいと思います。例えば、鉄棒などは、最初はぶら下がるだけでもいいと思います。その際、お子さんだけにやらせるのではなく、おうちの方も一緒に鉄棒をするようにすると、子どもの背中を押してあげることにつながります。

また、お子さんがチャレンジしている最中、少しでもできたなら、具体的にほめてあげることも大切です。前述した鉄棒なら「長い間、ぶら下がることがで
きるんだね」などと言って、どこかいいところを見つけてほめてあげてください。そうした声かけは、大げさに言わずに、何気なくつぶやくぐらいでいいと思います。周囲の大人がつぶやいたひと言を、子どもは意外としっかり聞いていて、その言葉を心に刻んでいます。

幼児期に限らず、子育てで親がすべき大事なことは、子どものありのままの姿を受け入れて、それを認めてあげることです。そして、それを繰り返していくことで、子どもは自分自身に自信を持ち、何事にも前向きに取り組んでいくことができるようになります。そして、それが問題や失敗を乗り越えていく原動力となるのです。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2017年5月号

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