バブル経済が起きた理由や、バブル崩壊の原因までわかりやすく解説【親子で学ぶ現代社会】

バブル経済の話を人から聞いたり、テレビで再現映像を見たりした経験を持つ人は多いでしょう。日本中が好景気に包まれていた時代を、うらやましく感じることもあるかもしれません。バブル経済とはいったいどんなものだったのでしょうか。バブル経済発生や崩壊の理由をわかりやすく解説します。

バブル経済とは

そもそもバブル経済とは、どのような状況を指すのでしょうか。言葉の意味と、当時の生活について見ていきましょう。

資産価値が実体以上に高騰する状況

バブル経済とは、過剰な投資によって不動産や株式などの資産価値が異常に高騰する経済状況をいいます。実際の経済成長を超えるペースで資産価値が膨らむ様子を、中身のない泡(バブル)に例えたのが名前の由来です。

バブル経済の元では資産を売買するだけで大きな利益が得られるため、消費活動が盛んになって世の中全体の景気がよくなります。日本では1980年代後半から1990年頃にかけてバブル経済が起こり、好景気となりました。

バブル期の日本の生活

バブル経済に沸いた当時の日本では、好景気の恩恵にあずかる人が多かったようです。例えば、大学生の場合は就職活動がたいへん有利でした。

企業の業績がよく、新卒採用の枠を増やしたために「超売り手市場」となったのです。学生を集めるために、企業側がブランド品や海外旅行など、豪華な特典を用意することもありました。

会社員の給料やボーナスも右肩上がりで、福利厚生も充実しています。経費として自由に使えるお金が多かったので、豪華な接待やタクシーでの帰宅なども普通に行われました。

個人投資も活発になり、専業主婦が株で大儲けしたケースも珍しくありません。また、豊かになった人々がより良い住環境を求めたため、空前の不動産ブームが到来しました。

バブル経済が起きた理由

バブル経済は過剰な投資によって始まります。では、過剰投資はどのようにして起こるのでしょうか。日本でバブル経済が起こった理由を解説します。

過剰投資が行われた理由は?

アメリカの景気改善のための「プラザ合意」

日本のバブル経済のきっかけは、1985年の「プラザ合意」です。1980年代前半、アメリカは過度なドル高の影響で貿易赤字に陥り、景気が悪化していました。

それを受けて、アメリカ・フランス・イギリス・ドイツ・日本の先進5カ国が会談し、ドル高の是正に向けて協調することが決まったのです。会談の場所がニューヨークのプラザホテルだったため、「プラザ合意」と呼ばれています。

5カ国の協調政策によってドルは徐々に安くなり、アメリカは不景気を脱することに成功しました。

公定歩合の引き下げ

一方、日本ではプラザ合意以降、急激に円高が進みました。1ドル235円だったレートが、翌年には150円台になり、輸出産業が大きなダメージを受けます。

そこで、日本銀行は「公定歩合(こうていぶあい)」を引き下げる対策を実施します。公定歩合とは、日本銀行が民間の金融機関に貸付する際に適用される金利です。

公定歩合が低くなれば金融機関の金利も下がり、企業や個人がお金を借りやすくなります。借金のハードルが下がったため、企業や個人は積極的に融資を受け、不動産や株式に投資するようになりました。こうした投資がくり返されることで地価や株価が上がり続け、バブル経済が起こったのです。

バブル崩壊の理由とは?

日本のバブル経済は長続きせず、1990年代初頭には崩壊します。バブル崩壊で好景気が終わっただけでなく、その後は長期に渡って不景気が続くことになりました。

バブルが崩壊した理由と、崩壊後の影響について見ていきましょう。

引き締め政策を行った日本銀行

日本銀行の金融引き締め政策

過剰投資が続く限り、不動産や株式の価格高騰は止まりません。そこで政府や日本銀行は、投資を制限するための引き締め政策を実行しました。

1990年3月、当時の大蔵省が金融機関に対して「不動産融資の総量規制」を通達します。総量規制とは、融資額に限度を設けて借り過ぎや貸し過ぎを防ぐ対策のことです。

同時に、日本銀行は段階的に公定歩合を引き上げ、融資を受けにくい状態を作ります。企業や個人は思うように融資を受けられなくなり、投資意欲が低下しました。

投資が滞った結果、不動産や株式の価格が急激に下がり、バブル経済が終わりを告げます。

地価税法の施行

1991年には、一定以上の土地を所有する企業や個人に課される税金「地価税」が創設されました。翌年から「地価税法」が施行されて地価税が徴収されるようになったため、土地を手放す人が続出します。

地価税の導入によって必要以上の不動産を所有するメリットがなくなり、多くの土地が売りに出されました。しかし、土地の需要はすでに下がっているため、買い手はなかなか見つかりません。そのため、売れ残った土地を抱えたまま、借金を返せなくなった企業や個人が続出しました。

バブル崩壊後の影響

バブルが崩壊して企業の倒産や個人の自己破産が増えると、融資した金融機関の経営も悪化します。そのため、新規融資が厳しくなり、優良企業ですら資金調達に苦労するようになりました。

資金不足に陥った企業は給与カットやリストラなどを余儀なくされ、従業員の生活も苦しくなります。金銭的な余裕がないため消費意欲が減退し、物価が下がってさらに企業の収益を減少させました。

1999年、日本銀行は「ゼロ金利政策」を実施して景気回復を図ります。しかし、あまり効果はなく、日本経済は20年以上も停滞を続けることになります。

負の遺産をもたらしたバブル経済

バブル経済は、日本経済に大きな負の遺産を残した

 

バブル経済がもたらした好景気によって、夢のような生活を送った人はたくさんいました。しかし、崩壊後の影響は大きく、今でも日本経済は完全に立ち直ったとはいえない状態です。

いつの時代も経済状況を完全にコントロールすることは難しく、いつ何が起こっても不思議ではありません。バブル経済の光と影を理解し、今後の生活を守る参考にしましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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