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スポーツの秋にぴったりの、親子で観て大いに盛り上がりたいスポ根映画5作
渡辺航の人気コミックを、King & Princeの永瀬廉主演で映画化した『弱虫ペダル』に、実話に基づいた同名小説を志尊淳主演で実写映画化した『走れ!T校バスケット部』、1998年の長野五輪でのスキージャンプ団体が金メダルを獲得した舞台裏を田中圭主演で描く『ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち』、「コンフィデンスマンJP」シリーズの脚本家・古沢良太のオリジナル脚本で、新垣結衣と瑛太がW主演を務めた『ミックス。』、そして重松清の同名短編小説を堤真一、柳楽優弥を迎えて映画化した『泣くな赤鬼』です。
いずれも、スポーツに青春を捧げた人々の汗や涙、チームメイトとの友情や恩師、家族との絆などをしっかりと描いた感動作です。ぜひ家族揃って鑑賞して、おうち時間をめいっぱい堪能してください!
『弱虫ペダル』でKing & Princeの永瀬廉が前髪パッツンの自転車小僧に!
すでにアニメ化されて人気を博していた『弱虫ペダル』が、満を持して実写映画化されたのが本作です。主人公の小野田坂道役に抜擢されたのは、当時、国宝級イケメンランキングで堂々1位をマークしたKing & Princeの永瀬廉と聞いて、かなりたまげました(笑)。
坂道は、千葉から秋葉原まで毎日自転車で通っている、アニメ好きの高校生です。運動は苦手で、友だちもいないというイケてない少年でしたが、あることをきっかけに自転車競技部に入部。そこでロードレースの楽しさを見いだした坂道は、同級生の今泉俊輔(伊藤健太郎)や鳴子章吉(坂東龍汰)、マネージャーの寒咲幹(橋本環奈)など、「チーム総北」のメンバーたちに支えられ、大きく成長していきます。
まだ、朝ドラ「おかえりモネ」で役者として注目を浴びる前の永瀬さんが、前髪パッツン&丸メガネで、坂道に大変身! きっと永瀬さんファンも度肝を抜かれたのでは。
メガホンをとったのは、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16)の三木康一郎監督ですが、ガチのロードレース映画なので、永瀬さんたちは足をパンパンにしながら、必死に自転車を漕ぎまくったそうです。
そのかいあって、CGには頼らない本物の激戦レースが展開され、観るほうも心から応援したくなりそう。最後の最後にスカッと爽やかな感動に包まれるイチオシ映画です。
ダメダメ弱小バスケチームが起こす奇跡の実話『走れ!T校バスケット部』
志尊淳や佐野勇斗、戸塚純貴、佐藤寛太、早見あかりら若手人気スターが共演した『走れ!T校バスケット部』は連戦連敗のバスケットボール部が、全国大会を目指してのし上がっていくというミラクルなスポ根映画です。
志尊さんが演じたのは、かつてバスケットボールの強豪校で活躍するも、陰湿ないじめに遭って、T校に編入したてきた主人公の田所陽一役。「もうバスケはやらない」と誓ったはずが、ひょんなことから弱小バスケ部に入ることになり、そこで友情を培って、全国大会出場へと大奮闘していきます。
これぞ青春!実話を基にした本作は、まさに“事実は小説より奇なり”という内容で、「頑張った者は報われる」というメッセージをストレートに伝えてくれます。
元バスケ日本代表の半田圭史から3か月もの猛特訓を受けたという志尊さんたちは、中盤から華麗なプレイを魅せてくれます。また、いじめにまつわるシーンも逃げることなくきっちり描いていて、人間ドラマに厚みがあるので、心から感情移入できそう。
そして、竹内涼真と千葉雄大が、先輩と先生役で友情出演している点もナイス!バスケの楽しさも存分に感じられる青春映画となっています。
冬季長野五輪、金メダルの舞台裏に涙『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』
北京2022冬季オリンピックの感動も記憶に新しい今だからこそ観ていただきたいのが、1998年長野オリンピックでの男子スキージャンプ・ラージヒル団体決勝の舞台裏を描いた『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』です。
コロナ禍で何度も公開時期がずれて、割を食ってしまった映画ですが、クオリティはお墨付き。当時、誰もが拍手喝采をした長野五輪での日本スキージャンプ団体の金メダル獲得ですが、その裏でスター選手たちを支えたテストジャンパーたちの献身的サポートがあったことはご存知でしょうか?
前回の五輪でジャンプを失敗し、団体戦で金メダルを逃す要因となった原田雅彦選手ですが、今回も最初の試技でジャンプを失敗し、日本は4位に転落。その後、ジャンプ台周辺は猛吹雪に。競技が中断されたら、日本の金メダルの可能性はゼロになってしまいます。そんななか、審判団から、25人員のテストジャンパー全員が誰ひとり失敗することなくジャンプを行えば、2回目の試技を行うというお達しが!
そこからテストジャンパーはもちろん、選手も一蓮托生で金メダルを取りにいこうと大奮闘。あくまでも“黒子”で、決して歓声も拍手も受けることはないテストジャンパーたちですが、吹雪の中、1人ずつ祈りを込めて飛んでいきます。
田中圭、土屋太鳳、山田裕貴、小坂菜緒(日向坂46)、濱津隆之と、それぞれのジャンパーたちのアンサンブル演技も最高。また、必ずしもスポットが当たっている人たちだけがヒーローではない、という大切なメッセージが涙腺を刺激します。
凸凹の男女ペアが人生のリベンジを図る『ミックス。』
東京2020オリンピックで、水谷隼と伊藤美誠ペアが日本卓球史上初の金メダルを獲得し、今や人気スポーツとなった卓球。今回ご紹介するのは、「コンフィデンスマンJP」シリーズや、2023年度の大河ドラマ「どうする家康」などの人気脚本家、古沢良太によるオリジナル脚本の映画『ミックス。』です。
本作は、新垣結衣と瑛太(現在は永山瑛太)をW主演に迎え、凸凹コンビの卓球男女混合(ミックス)ダブルスで、人生のリベンジをしていくユニークなスポーツ映画となっています。古沢脚本ということで、ユーモアも満載ですが、白熱の卓球シーンが見もの!
新垣さん演じる、かつては天才卓球少女と呼ばれていたヒロインが、自分を振った元彼とその恋人を見返そうと、再びラケットを手にします。そんな彼女がタッグを組んだのは、妻と娘に見捨てられた元プロボクサー(瑛太)でした。
失恋や挫折など、人生の荒波を乗り越えて、たくましく奮闘していく2人からは、きっと元気やパワーをもらえること、間違いなし!ラストには、気持ちの良い感動に包まれます。
また、水谷隼をはじめ、石川佳純、伊藤美誠ら本物の卓球選手も登場するというサービスぶり。きっと観れば卓球をしにいきたくなりそうです。
ハンカチ必携、重松清原作の感涙鉄板映画『泣くな赤鬼』
心震える感動作が多い野球映画ですが、今回プッシュさせていただくのが、「泣かない人は鬼」と豪語してしまう感涙映画、その名も『泣くな赤鬼』です。堤真一と柳楽優弥という名優2人の熱演が、実に味わいです。
「流星ワゴン」「卒業ホームラン」「とんび」など、多数の感動作が映像化されてきた重松清原作と聞けば、パブロフの犬状態で「ハンカチを用意しなくては」と思ってしまいませんか?(笑)。
堤さんが演じるのは、城南工業野球部監督で熱血指導をする“赤鬼先生”小渕。一時期は甲子園の一歩手前までいきましたが、今では野球への情熱もなくなっていました。ところがある日、かつての教え子の斎藤と再会したことで、過去の情熱に想いを馳せることに。
その教え子は、末期がんで余命半年の宣告を受けていました。人前では泣かないと言っていた赤鬼先生でしたが……!
スポ根野球もの✕闘病ものというあざとい組み合わせですが、堤さんと柳楽さんのアプローチがすばらしくて、多くの世代に響く1作となりました。また、かつて野球少年だったパパは、間違いなく陥落する映画で、特にラストのシーンが心に刺さります。
文/山崎伸子