休校中の今こそ、読書を!プロが進める「子供が本好きになる」ブックガイド

今がチャンス!!本好きになるブックガイド

多くの本に接したり、「宝物の1冊」に出合ったりすることは、子どもがその後の人生を生きていくうえで、大きな力になります。家で過ごす時間が増えている今、読書の楽しさを親子で見つけてください。

感受性の強い小学校低学年時代は本好きになる〝絶好機〟

昨年、東京・江東区が実施したアンケートによると、「本が好き」と答えた小学生は70%。小・中・高校生のなかでも、小学生の本好きは顕著です。

「小学1年生は成長のスピードが速く感受性も強い。そのうえ時間的にも、中・高学年ほど忙しくありません。この時期に本は楽しい、と思えるようになるのが本好きへの近道です。たくさんの本に触れるためにも、まずは図書館を活用してほしいですね」と語るのは江東区立江東図書館長・保谷俊幸さん。

とはいえ、図書館になじみがないママも多いはず。でも、心配しなくて大丈夫。親子で楽しめる工夫もあります。 「図書館ではさまざまなイベントを行っているので気軽にご参加ください。おなじみの絵本が大判になった大型絵本や紙芝居などもあり、特別感を味わえますよ」(保谷さん)

本選びに迷うときは、多くの図書館で発行しているブックリストが役立ちます。江東区では、職員が実際に子どもの本に目を通し、厳選したものを載せたリストを2年に1回発行しています。また、子どもが好きな映像化作品の原作を読んだり、子どもが興味を持ったことを本や図鑑で調べたりするのもおすすめ。
「どんな子にも、これだ! と思える宝物のような1冊があります。その本に出合うために、まずは図書館を利用してみてください。そうして気に入った本は、家で繰り返し読むために書店で買ってあげるのもいいですね」(保谷さん)

本を読むことは好きですか?


江東区が小学生・中学生・高校生を対象に行ったアンケートより(2015年7月)。

 

まずは、図書館を利用してみましょう

おはなし会などの図書館イベントをチェック!

多くの公立図書館で、幼児から小学校低学年を対象に、おはなし会を開催しています。映画上映会や工作会、かるた会など、本に限らず楽しめるイベントを行っていることも。図書館のホームページなどをチェックしてみましょう。

インターネット予約で時短&快適読書

インターネットで蔵書を公開するなど、図書館もより便利に進化中。あらかじめ貸し出し予約をすれば、本を探す手間が省けて時間短縮に。読みたい本の在庫がない場合、近隣の図書館に在庫があれば、ときには自治体の枠を超えて取り寄せてくれます。

子どもの本のプロが選ぶ1年生におすすめの本

絵本や児童書のことならおまかせあれ。全国で有名な子どもの本専門店の方々に、1年生におすすめの本を選んでもらいました。お子さんの興味と感性にぴったりくる本を見つけてください!

ご協力いただいた書店

● こども冨貴堂 土井美千代さん…(K)
北海道旭川市7条通8丁目買い物公園通り http://fufufunet.kids.coocan.jp/

● じっぷじっぷ文京店 清水祥三さん…(J)
福井県福井市文京2-8-11 http://jipjip.net/bunkyo.html

● ブックハウス神保町 荒木洋平さん…(B)
東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1階 https://www.bookhousecafe.jp/

● クレヨンハウス 馬場里菜さん…(C)
東京都港区北青山3-8-15 http://www.crayonhouse.co.jp/

● メルヘンハウス 三輪丈太郎さん…(M)
愛知県名古屋市千種区今池2-3-14 http://www.meruhenhouse.co.jp

● 子どもの本の専門店エルマー 前園敦子さん…(E)
福岡県春日市春日原東町3-16-5 https://www.facebook.com/ehonelmer/

『いちねんせい』


詩・谷川俊太郎 絵・和田 誠(小学館)

笑ったり、けんかしたり、考えたり! 1年生のいろいろな気持ちがいっぱい。初めての学校生活を、豊かな言葉でいきいきと描いたロングセラー詩集。(K)

『はやくちまちしょうてんがい はやくちはやあるきたいかい』


作・林 木林 絵・内田かずひろ(偕成社)

にぎやかな商店街は、どのページを開いても、動物たちによる早口言葉だらけ! さあ、どれだけ上手に言えるでしょう?(M)

『ことばのこばこ』


作・和田 誠(瑞雲舎)

楽しい絵に回文やしりとり、リズムのある文が添えられ、日本語のおもしろさが詰まっています。読後も、言葉遊びを派生させて楽しみたい1冊です。(C)

『まさかさかさま 動物回文集』


文・石津ちひろ 絵・長 新太(河出書房新社)

上から読んでも下から読んでも同じ回文が、すべて動物にまつわる言葉でできています。声に出して読むとおもしろさ倍増!(B)

『ミライのミイラ』


作・くすのきしげのり 絵・広瀬克也(瑞雲舎)

「ミイラ→ミライ」と文字を入れ替えて別の言葉にする「アナグラム」がテーマの絵本。言葉遊びの楽しさ、日本語のちからを感じさせてくれます。(E)

『たあんきぽおんきたんころりん』


文・長谷川摂子 絵・降矢なな(福音館書店)

わらべうたを思わせる独特のリズムがある言葉遊びの絵本。歌うように読んでみたい13の「うた」は、どれもフフフッと笑ってしまう愉快な内容です。(K)

『じゅげむ』


作・川端 誠(クレヨンハウス)

落語絵本のなかでも、声に出して楽しみたい1冊です。親が子どもを思ってつける名前がテーマのお話なので、親子の会話もはずみそうです。(C)

 

 

 


子どもの「知る楽しさ」にこたえてくれる内容が、科学への興味を育てます。

『ライフタイム  いきものたちの一生と数字』


文・ローラ M. シェーファー 絵・クリストファー サイラス ニール 訳・福岡伸一(ポプラ社)

私たちが気にすることのない数字も、そのいきものにとってはとても大切な意味を持っています。そんな数字を知ると、また動物への違う見方ができます。(M)

『エジプトのミイラ』


文/絵・アリキ 訳・神鳥統夫(あすなろ書房)

ミイラの作り方の詳しい手順がリアルな絵で描かれていて、子どもも大人も興味を持てます。漢字が多いので親子読書におすすめ。(K)

『キュッパのはくぶつかん』


作・オーシル カンスタ ヨンセン 訳・ひだにれいこ(福音館書店)

好きなことや興味のあることに熱中する楽しさが伝わってきます。本に出てくるキュッパのように拾って集めて、秋を満喫するのもいいですね。(C)

『このよで いちばん はやいのは』


原作・ロバート フローマン 翻案・天野祐吉 絵・あべ弘士(福音館書店)

動物や乗り物などの速さ比べ。音・光より速いのは?…すばらしいものです。科学の本でありながら読み手の感性に届く本。(E)

『ちいさなちいさな めにみえないびせいぶつのせかい』


文・ニコラ デイビス 絵・エミリー サットン 訳・越智典子 監修・出川洋介(ゴブリン書房)

ヨーグルトや土の中にもいる、目に見えない小さな微生物。その大きなはたらきと、私たちの暮らしとの関わりを知ることのできる美しい絵本です。(C)

『たのしい!かがくのふしぎ なぜ?どうして?1年生』


監修・村山哲哉(高橋書店)

生きものや人間の体のことなど、身近な疑問をわかりやすく解説。「テントウムシはなぜ水玉模様」など、好奇心をくすぐるテーマが盛り込まれています。(B)

『ぼくのいまいるところ(かこ・さとし かがくの本)』


作・かこさとし 絵・太田大輔(童心社)

「ぼく」から始まる宇宙への大旅行。ひとりの子から町、国、世界、地球と、空間が大きくなっていき、「ぼく」 自身が宇宙そのものであることを教えてくれます。(M)

 

 


ページを開くたびに広がる新しい世界。 想像する楽しさがそこにあります。

『まほうのじどうはんばいき』


作・やまだともこ 絵・いとうみき(金の星社)

何が出てくるかわからない、不思議な自動販売機。ボタンを押すと、その人の欲しいものが出てくるらしいけど……。(B)

『くうきのかお』


構成・文・アーサー ビナード(福音館書店)

古今の名画と添えられた詩に、目には見えない「空気」を感じ取ることができる絵本です。「空気って見えるの?」空気の気配を感じてみてください。(K)

『ハテナはかせのへんてこいきものずかん』


作/絵・ザ・キャビンカンパニー(偕成社)

普段疑問に思わないことにこそ「?」を持つと、もっと楽しくなります。常にできるだけたくさんの「?」を持っていたいですね。(M)

『りんごかもしれない』


作・ヨシタケシンスケ(ブロンズ新社)

1つのりんごから果てしなく広がっていくユニークな発想に、ものの見方が変わりそう。「かもしれない」が頭の中の宇宙を広げます。(J)

『漂流物』


作・デイヴィッド ウィーズナー(BL出版)

少年が砂浜で古いカメラを発見。中のフィルムを現像すると…。緻密な描写と映画のような迫力ある構図が想像力をかきたてる、文字のない絵本。(B)

『あたまをつかった小さなおばあさん』


作・ホープ ニューウェル 画・山脇百合子 訳・松岡享子(福音館書店)

おばあさんが機転を利かせてピンチを乗り越える姿に思わずクスリ。ときに失敗もありますが、どこまでも前向きなおばあさんです。(C)

『ミリーのすてきなぼうし』

作・きたむらさとし(BL出版)

帽子が欲しいけれどお金のないミリーに店長さんが出してくれた帽子は…? 目に見えないものを感じようとしてみると、いろいろと見えてきます。 それはとても自由で無限の可能性を秘めています。(M)

 

 

 


嬉しい気持ち、悲しい気持ち、子どもが共感できるいろいろな気持ちを描いた本。

『ろくべえ まってろよ』

作・灰谷健次郎 絵・長 新太(文研出版)

穴に落ちた犬のろくべえを助けようとする子どもたち。みんなで相談したり、心配したり、励ましたり…子どもたちの心の動きが伝わってきます。(C)

『アマンディーナ』


作・セルジオ ルッツィア 訳・福本友美子(光村教育図書)

やると決めたら最後までやり通す。それは決して簡単ではなく、思い通りにいかないことも。しかし最後にはよいことが待っています。(M)

『おこだでませんように』


作・くすのきしげのり 絵・石井聖岳(小学館)

家でも学校でも怒られてばかりいる男の子の、七夕の願い事は…。大人にもぜひ読んでほしい感動作で、子どもの心に一步近づける1冊。(J)

『くれよんがおれたとき』


作・かさいまり 絵・北村裕花(くもん出版)

友だちが折ってしまった新しいクレヨンをめぐって、私と友だちの間でつのる〝もやもや〟した気持ち。素直になれない、ゆれる心を描いています。(B)

『しょうじき50円ぶん』


作・くすのきしげのり 絵・長野ヒデ子(廣済堂あかつき)

読んで感動した絵本です。「おつりが50円多かった、どうしよう?」主人公2人の心の葛藤が自分と重なり合い、読み手の成長を助けてくれます。(E)

『ふたりはともだち』


作・アーノルド ローベル 訳・三木 卓(文化出版局)

がまくんとかえるくんのやりとり から、友だちを思いやるあたたかい気持ちがわいてきます。1年生でも読みやすい5つのお話を1冊に収録。(C)

『あらしのよるに』


作・木村裕一 絵・あべ弘士(講談社)

嵐の夜、逃げ込んだ小屋の暗がりで出会ったヤギとオオカミ。本来なら友情が成り立ちにくい2匹の関係にドキドキしてしまいます。(K)

 

出典/『小学一年生』別冊HugKum 撮影/細川葉子 イラスト/後藤グミ

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