こんにちは、ウチノコです。小1秋から不登校を選んだ現在小学3年生の息子とのくらしをゆるゆる発信しています。今回は長男がおこづかいを増やすべく、家庭でニンニクを栽培して収穫し売る!と奮闘した半年間の記録です。
連載第四回 家庭菜園での学び。ニンニクはもうかる?
「ニンニクは買うと高いけど栽培は簡単で保存もできていいぞ~!」
長男がニンニクに興味を持ったきっかけは菜園をしている祖父のこんな一言でした。ニンニクなんて小学生低学年ではあまりなじみのない野菜です。だけど調味料やスパイスが好きな長男は、その言葉をきっかけにニンニクに興味を持ち、料理にニンニクを取り入れるようになりました。
「ニンニクって味はよくわかんないけど、匂いが好き。料理をおいしく感じさせる効果があるんだよ!」
なんて話していて、今ではお気に入りの野菜の一つになっています。
そんなある日スーパーで国産ニンニクの値段を見た長男。思った以上の値段に驚きつつ・・・
「おれ、ニンニク作ってじいちゃんたちに売ってみようかな。それでラジコン買えないかな?」
と言い出しました。小学2年生の秋のことでした。
ニンニクを栽培する
私は若いころから家庭菜園が趣味で、毎年プランターで色々な野菜を育てています。収穫を手伝ってもらうこともあるので、野菜を育てることは長男にとって身近だと思いますが、植物に興味を持っている様子はなかったので「ニンニク栽培をやってみたい!」という長男の言葉はとても意外でした。
ニンニクは秋から翌年6月くらいまでと栽培期間が長いものの、あまり手がかかりません。プランターでも育ちますし、冬栽培なので水やりを多少忘れも大丈夫。更に冬の間は虫もつきにくい!
長男が育てると言ったって母の手は煩わされるでしょうから、そこが軽減される野菜であることはありがたい。これはいい経験になりそうだ!と、さっそく育ててみることにしました。
ニンニクを植える
普段、あまり土いじりを好まない長男ですが、今回は自分で言いただしただけあって見たことないほど真剣にニンニクを植えました。その数40個!
「40個植えたから一個200円で売れば8000円儲かるね~」
なんて嬉しそうに覚えたてのかけ算で計算していますが、これぞ捕らぬ狸の皮算用!!これまで菜園で数々の失敗をしてきた母は、そんなに収穫できるかな?と思わず心でほくそ笑みます。だけど全てが初挑戦の長男の夢は更に膨らんで・・・
「やっぱり1個500円で売ろうかなぁ?いや、1個1000円にすればものすごく儲かるじゃん!」
と目をキラキラさせながらどんどん値上げ。誰が買うのそんな高いニンニク(笑)
それにしても、いつも算数では計算をとっても嫌がるのですが、こういう計算ならできるんですよね。本当に不思議です・・・。
失われた興味とトラブル発生?
植え付け後、発芽に大喜びし、小さな芽をかわいいと愛でるなど栽培を楽しんでいた長男。水やりや追肥も真面目に取り組んでいたのですが、ニンニクは栽培期間が長く、冬の間はやる事もありません。この手がかからないことが裏目に出てやがて長男はニンニクのことを忘れていきました・・・。
熱しやすく冷めやすい長男。当初の熱量を半年以上キープするなんてやはり無理でした。このまま枯らすことで学びを深めるのもアリかなーと思ったものの、菜園好きの私にはどうしてもそれは耐えられない!春になって収穫できれば興味も戻るかもしれないと、とりあえず母が水やりを頑張ってしのぎます。ようやく春がおどずれ、ニンニクはぐんぐん育ちますが、長男の興味は育ちません・・・。この企画は立ち消えかな。スタッフがおいしくいただこうかな、なんて思っていた矢先のことです。
虫の登場で、興味復活!
「お母さんたいへん!ニンニクに変な虫がいっぱいいる!!」
長男・・・ではなく虫好きの次男があわてて私を呼びに来ました。確認するとニンニクの根元に黒いアブラムシがたくさん!!ひえ~、気持ち悪い!なんて思いながらあわてて対処して事なきを得ました。
助かったよありがとう!と褒められた次男が長男を挑発します。
「おれは役に立ったけど、兄ちゃんは何にもしてないよね~(ニヤニヤ)」
お手柄と褒められる弟、なにもしていない自分・・・思うことがあったのかこの件をきっかけに長男は再びニンニクに興味を持つようになったのです。
花がついたらニンニクの香りのとりこに♡
そんな折にタイミングよく花芽が付きました。そう、ニンニクの芽です。初めて見るニンニクの芽になんか生えてきた!とびっくりする長男。芽を引っ張ってごらんと促せば、おそるおそる引っ張って、スポンと抜ける様子に再びびっくり。
ニンニクの芽はぎゅうっと引っ張ると抜けるように切れて断片から、じゅわっと水分があふれニンニクのいい香りが漂います。この感覚がなかなか癖になるんですよね。普段なら見慣れないものは警戒して食べませんが、このニンニクの芽を炒めたところおいしい!とほおばる長男。育てているからこその楽しみを味わうことができました。
ニンニクの収穫 そして販売
6月、ようやくニンニクの収穫です!痛んでいるものもありましたが、きれいに結球したニンニクは20球ほど。こちらを販売用に、結球が弱いバラバラの鱗片は家庭用に分けました。販売価格は長男と一緒にスーパーやインターネットで値段の調査をして決め、いよいよ販売です。お客さんは祖父母や親戚。収穫前からニンニク売りに行くよ!と散々予告していたので、みんな喜んでニンニクを買ってくれました(ありがたい!)
みんなに喜んでもらい、褒めてもらい、おこづかいまで手に入れて!なんて楽しい経験でしょう。
物を作って売る、喜んでもらう、の体験を通した学びは充実
ニンニクの話を知っていてくれた父の友人にも出荷(息子への支払いは父のおこづかいから)そのお礼にその方の畑でとれたジャガイモと玉ねぎをいただき物々交換も体験できました。最終的には数千円のおこづかいを手にした長男は、アブラムシ発見代として弟に一部を支払い、雇用主の気分も味わいます。
そのお金は結局ラジコンではなく別のおもちゃになりましたが、長男にとっていい経験となりました。
また、少し痛んでいた家庭用のニンニクは長男得意料理の玉ねぎのニンニク炒めでせっせと消費中です。他にもオイル漬けにしたり、薄切りにして乾燥させてみたり加工も楽しんでいます。長男のニンニクは手元にまだ残っているので、これからもいろいろ楽しめそうです。
たねをまく
菜園が趣味な私は、子育てと植物を育てることは似ているなといつも思います。今回ニンニク栽培を通していろんな経験が出来た長男。このように子どもへ色々な経験をする機会を作ることはたねまきのようなものだと感じています。まいたたねから、スムーズに芽吹くこともあれば、全く発芽しないこともあったり。忘れたころにひょっこり芽が出たり、こぼれたたねから芽吹くこともあります。
今日のたねから芽が出るか出ないか、ワクワクドキドキ少しだけ不安。そんな気持ちを胸に私は今日も子どもたちへたねをまいています。
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文・イラスト・構成/ウチノコ
構成/HugKum編集部
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