相次ぐ子どもの転落事故、冷暖房を使わない春・秋に集中する傾向が。子どもを守るために気を付けたいことを、再確認

ここ最近、子どもが自宅マンションなどから転落してしまうニュースを多く見ます。なぜ立て続けにこのような事故が起こってしまうのでしょうか。親として確認したいベランダ等のチェックポイントをお伝えします。

事故につながる主な要因

冷暖房を使わない春・秋の季節に集中

さわやかなこの季節、晴れた日の秋風を窓を大きく開け放って部屋に取り入れたいものですよね。ですが同時に必ず気を付けなくてはいけないのが、子どもの転落事故です。小さい子どものいる家庭では、窓の開閉や出入りについて日ごろどのような対策をしているのでしょうか。

・ベランダへの窓は開放して子どもを出入りさせているが、外側に柵のついていない腰高の窓は、危ないので鍵を閉め締め切りにしる

・腰高の窓の近くには家具を置かず、子どもが登れないようにして開放している

・(高層階に住んでいるので)ベランダのある部屋自体に子どもを入れないようにしている

など、転落を気にかけて何らかの対策を取る家庭がほとんどのようですが、方法はさまざまで、完全な対策とは言えないものが多く聞かれました。

 

●今年に限らず以前からも子どもの転落事故はたくさん起こっています。転落事故を防ぐためのチェックポイントはこちらの記事で>>

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ニュースなどで報じられることが多い子どもの転落事故。東京消防庁の「救急搬送データ*1」によると、5歳以下の子どもが住居などの窓やベランダから...

 

居住環境の変化

平成30年住宅・土地統計調査によると、全国では戸建て比率が81.4%、共同住宅比率(マンション)が17.4%と戸建ての割合が圧倒的に多くなっていますが、首都圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)の割合では、戸建てが66.2%、マンションが32.5%とマンションの割合がやや多くなっています。

マンションは駅や役所、スーパーなどの生活インフラが整う街の中心にあることが多いので、小さい子どもを持つ家庭が暮らしやすい場所と相関関係があり、マンションで暮らす全体の世帯に対して、小さな子どものいる家庭は比較的多いと推測されます。

高い場所を怖がらない!?「高所平気症」とは?

過ごしやすい季節と暮らしやすい住環境には、どうやら子どもの転落を招いてしまう落とし穴がありそうです。さらに最近増えていると言われる「高所平気症」という高い場所を怖がらない子どもも、事故を増やす要因の一つと考えられています。

高所平気症とは、幼少期から高層階で生活しているために高所に恐怖心を抱かないことで、主に高所を怖がらない子どもを指す言葉として使われているようです。

●子どものちょっとした不注意で起こる転落事故についてはこちら>>

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子どもを危険な目に合わせないために

子どもの成長は大人が思っている以上に早く、日々大人の想像を上回る行動をします。そこで、さまざまな知見や新しい安全グッズなどで、子どもを危険な目に合わせないための対策を取る必要があります。

東京都製品等安全対策協議会が2017年に公表した「子供のベランダからの転落に関する事故情報によると、「事故発生現場を目撃している事例は少なく、どのようにベランダ等から転落したか不明な事例が多かった。」とありますが、事故につながる動作がわかった26件のうち、「手すりの上を越える」が23件と最も多かったということです。

ベランダで注意したい、子どもの足がかりになるものがある

多くの家庭では、ベランダに踏み台などの足がかりになるものは置いていないと認識していると思いますが、実際には

〇エアコンの室外機

〇大型の植木鉢

〇ごみ箱

〇車のタイヤ

などが子どもにとっての「足がかりになりうるもの」となってしまい、多くの事故が発生しているそうです。

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転落・転倒。あらゆるケースを想定した予防策を

事故例

〇友人宅2階のベランダで親子で遊んでいたが、あっというまに柵の隙間から転落。地面に落ちて泣いていた。全身にケガを負った。(1歳)
〇洗濯物を取り込むために行ったり来たりする親についていこうとして、部屋とベランダの段差で転倒。ベランダのコンクリートに頭をぶつけて出血。(1歳)
〇2階の窓際に置いていたソファによじ登り、網戸を突き破って3m下の地面に墜落。親はまだ登れないと思っていた。(1歳)
〇階段の10段の高さから、フローリングの床を越え、玄関のコンクリートの土間まで転落。前歯2本がぐらついて抜けそうになった。(1歳)

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転落などの事故は、私たち親がどんなに気を付けていても、そのわずかな隙をついて起こってしまうものです。それでも起こりうる危険に対して先回りしてできるだけ回避できるよう、日ごろから正しい情報にアクセスして、子どもを守るアンテナを立てていきたいですね。

文・構成/HugKum編集部

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