お椀の正しい扱い方をおさらいしよう
パパ・ママが自信を持って、かっこよく蓋つきのお椀でお料理をいただく姿は子どもの目にも焼き付くことでしょう。お正月は蓋つきのお椀を見かける機会が多い時期です。ぜひ子どもたちと蓋つきのお椀の扱い方を学んでみませんか。
まずは基本の扱い方をお伝え致します。
お椀の扱い方
①お椀をしっかり固定します。左手の親指が手前、他の4本の指を揃えて横を押さえます。
②右手で蓋を開けます。指が揃っているととても綺麗です。
※蓋が開き難いときは左手でお椀の縁を少し内側に押すと空気が入って開けやすくなります。
③右手で持った蓋を、お椀の右端で縦にして、内側に付いた水滴をお椀の中に落とします。
※上下に振ったりせず、自然に落ちる範囲で大丈夫です。
④水滴が落ちたら、右手で持っている蓋の内側を上に向けます。
⑤左手を添えてテーブルにそっと置きます。
※お椀が右にあったら、蓋はさらにその右へ置く。左にお椀が置かれていたら、さらにその左側へお椀の蓋を置きます。
⑥汁物の時は、最初に両手で持って香りと汁の味を味わうと良いでしょう。
⑦食べ終わったら、お椀に蓋をかぶせます。両手でそっと戻しましょう。
※右手で蓋の出っ張りを持ち、左手の指をお椀と蓋の間に少し挟んでクッションの役割をすると、重ねるときに大きな音をたてることを防げます。
※裏返して蓋を重ねるのは『ごちそうさま』の合図ではありません。器を傷つけてしまう恐れがあるので、元の通りに戻すと覚えましょう。
ポイントは指先と動作の速さ
上記に蓋の取り方から戻し方までを細かく書きました。しかし流れとしては『蓋を取って、食べて蓋を戻す』ただそれだけなのです。
もし順番を間違えてしまっても、これだけを意識していただきたい、ということがあります。それは指先を揃えてそっと器を扱うことです。それだけで器とお料理を大切に扱う気持ちが相手に伝わります。物を掴んだり、支えたりする主要な動きは、親指・人差し指・中指の3本で行い、薬指と小指を揃えて添えるのが綺麗に見えるポイントですよ。
これはお椀を扱う時だけでなく、全ての動作で言えることなので、是非取り入れてみてはいかがですか。ご近所へ回覧板をお渡しするときも、子どもたちへハンカチを渡すときも、会社の方へ書類をお渡しするときも、是非指先の使い方を意識してみてください。
そしてもう一つは動作のスピードです。お椀の蓋を開けるのも戻すのも、急ぐことはありません。意識してゆっくりとした動作をすることで自分にも余裕が生まれます。相手から見てもお椀を楽しんでくれているな、ゆっくりと味わっていただけそうだ、と感じていただけます。
子どもたちと一緒にお椀の蓋を開けるときも『楽しみね』『いい香りがしてきたね』と声をかけながら、宝物の箱を開けるようにお椀の蓋を取ってみてはいかがでしょうか。
お椀を扱う時に避けたいこと
良いお椀の扱い方をお伝えしたので、これはしないようにしましょう、という気を付けたいポイントを3つお伝えしますね。
お椀を扱う際、気を付けたいポイント
①漆塗りのお椀でお料理を出されたとき、正面に蒔絵などがあったら、まず絵を鑑賞します。その後、少しお椀を回し、絵が描かれていない部分に口を付けるようにしましょう。
②お箸のマナーにもなることですが『寄せ箸』といってお箸を使って器を手前に持ってくることはタブーです。テーブルや器が痛んでしまいますのでやめましょう。
③こちらもお箸のマナーにあります。『渡し箸』はやめましょう。渡し箸とは、お椀にお箸を橋のように横に置くことです。箸置きがあれば、箸を置きたいときは箸置きへ戻す。箸置きがなく、割りばしの袋があるのであれば少し折って仮の箸置きを作り置く、それもなければ小皿の横へ箸先を乗せます。お椀の上を箸置きの場所にしないでくださいね。
子どもたちと一緒に笑顔で汁物を楽しもう
お正月のお雑煮やお汁粉で蓋つきのお椀の出番が来た時にはぜひ子どもたちと一緒に笑顔でお椀の蓋をそっと開けてみてください。お椀の中のお料理をいただく時間が子どもたちにとって温かく特別な時間となりますように。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子