鏡開きって何?「鏡」を「開く」ってどういう意味?
鏡開きとは、鏡餅に宿っていた年神様の力を分けていただくこと。子どもにとってはきっと不思議に思うことがあるはず。『どうして鏡なの?』『何で開くというの?』『どうして木槌でたたくの?』『何で鏡開きをするの?』そんな疑問に「~だからこうしているのよ」ときちんと伝えてあげたいですね。今日は鏡開きについてお伝え致します。
鏡開きの『鏡』とは、お餅のこと。まるい形を鏡に見立てています。神社に参拝したときに、中央奥にまるい鏡を見たことはありませんか?神事において鏡はとても重要なものです。大切なお正月に、年神様を宿す鏡(丸いお餅)を置き、無病息災を祈念する気持ちが込められています。
そして鏡開きの『開く』は、鏡に見立てたお餅の中に宿った年神様のパワーをいただくこと。お餅を小さくするときに“割る”や“切る”という表現を使わない理由があります。
鏡餅は、その昔、戦国時代の武士の風習から始まったと言われています。床の間に置かれた甲冑の傍に鏡餅を置いていましたが、武士にとって“切る”や“割れる”は縁起の良い言葉ではありません。その点“開く”という表現は縁起が良い、幸先良い言葉であることから『開く』が使われています。
鏡開きのやり方【3ステップ】で紹介
①お供えしていた場所から鏡餅を下げます。
②お餅を小さく、食べられる大きさにします。
先ほどもお伝えした理由により、お餅は包丁で切ることはしません。ご自宅でお餅をついて鏡餅を作った方、和菓子店などで鏡餅を購入された方は、お正月の間に固くなったお餅は木槌を使って叩き、細かくします。手を使って細かくできるものは、手を使っても構いません。これぐれも包丁や刃物で切ることは避けてください。
今、多く販売されている鏡餅はプラスチックのケースに個別包装された切り餅が入っているスタイルが多いです。個別に包装されていますし、日持ちもしますから便利です。大きさも少人数から大人数まで様々種類があるので取り入れやすいですね。
③年神様のパワーが宿った大切なお餅をいただきます。細かな粒も残さず全て食しましょう。お汁粉、お雑煮、焼き餅、揚げ煎餅など、いろいろなお料理方法があります。美味しくいただいて一年を無病息災に過ごしたいものです。
もう一つ『鏡開き』と聞くと結婚式や開店祝いなどで樽酒を木槌で打つ場面も思い出しませんか。樽の上にある、まるい平らな蓋は古くから「鏡」と呼ばれています。鏡に見立てた蓋を木槌で開いて運を開くという意味があり、こちらも「鏡開き」というのですよ。
そういえば、お餅もお酒もお米でできていますね。日本人がお米と神事に欠かせない鏡を大切にしていることが良くわかります。
自分たちのスタイルで行うには
今はプラスチックのパッケージに入った鏡餅をお供えするご家庭も多いです。その場合、木槌の出番はありませんね。そんな皆様にお勧めする方法は子どもと一緒に工作で木槌を作り、鏡開きをすることです。
折り紙や厚紙、ラップの芯などで木槌に見立てたものを工作で作る、というのはいかがですか?子どもたちの想像力は無限大。木槌がどのようなものか、写真や絵を見せてあげれば、家にある様々な物をつかって鏡開き用の木槌を作ってくれることでしょう。年神様も可愛い木槌で開いてもらったら喜ぶと思いませんか。
子どもと作った仮の木槌で「こん、こん、こん」と叩く真似をして「年神様のパワーを分けてください。家族が一年元気にすごせますように」と一緒に言ってから、プラスチックのケースの下のお餅を出す、などの演出はいかがでしょう。鏡開きをする理由や、込められた願いを子どもたちに伝えるきっかけになるといいですね。
形は変わっても、年神様に家族の無病息災を願う気持ちは同じ
時代によって、鏡餅の形態も変化しています。きっと昔の方にはプラスチックの中に入った切り餅など想像もつかなかったでしょう。さらに今は可愛いガラスや陶器でできた鏡餅を飾るのみで、お餅は召し上がらないご家庭もあるかもしれません。
それでも、年神様に家族の無病息災を願う気持ちは同じです。形は変わっても、子どもたちに日本の伝統とそこに込められた想いは伝えていきたいですね。
子どもたちが楽しく日本の伝統を学び、鏡開きを楽しむことができますように。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子