私たちが海にできることは?
我が家は、海が近くにあり、よく散歩に行きます。
しかし、海には、いつもゴミがいっぱい。いったい、ゴミはどこから来るのでしょうか。ゴミを食べてしまう生き物もたくさんいるので、気になりました。
SDGsに詳しい専門家に直撃インタビュー
私たちが食べている魚は、海のゴミを食べている魚なのでしょうか? 海洋汚染を止めるには、いったいどんなことを始めたらいいのでしょうか。
この問題について、持続可能な社会の実現に向けて社会に対して真の価値を生んでいきたいと考えている、株式会社シンカ代表取締役社長 CEO 町井 則雄さんに取材してきました。
Q. 今、世界で起きている海洋汚染の状況を教えてください。
町井さん:たとえば、海に流れ出たプラスチックゴミなどの問題は深刻で、2050年には海全体の魚の重さより海洋ゴミの重さのほうが重くなると言われているんです。
この問題は様々な環境問題を引き起こすことを25年以上も前から専門家などが指摘をしていて、そのためSDGsでも目標14でトップにあげられています。でも、年々悪化しているのが現状です。
参考:日本財団ジャーナル
Q.日本の海は、世界レベルでどのくらい汚染されているのでしょうか?
町井さん:日本の海が世界と比較してキレイとか汚染されていているとかいう話ではなく、世界の海のゴミは海流の影響を受けて流れていくので、海は世界で一つにつながっているということを意識することが大切です。
たとえば、ハワイ沖やフィリピンの海などに海洋ゴミが吹き溜まる場所ができたりしていますし、東日本大震災のときに津波で流れてしまった漂流物が3年後にハワイで見つかったりしました。
そのくらい時間をかけてゴミが世界中を流れていくということなんです。
Q.ゴミを食べてしまっている魚はどうなるのでしょうか? また、ゴミを食べてしまった魚を、我々も食べているのでしょうか?
町井さん:例えば、魚やウミガメがポリ袋やマイクロプラスチック(直径5mm以下のプラスチック)を餌と間違えて食べてしまうと、消化器官を傷つけるだけでなく、ずっと満腹だと勘違いし続けて餓死してしまうことも。また放置された漁網などに様々な生き物が引っかかって死んでしまったり、被害は深刻です。
そして、心配されているポリ袋やマイクロプラスチックなどのゴミを食べてしまった魚を人間が食べたらどうなるか、ですが、人への健康被害は今のところよくわかっていません。
ただ、プラスチックには海中の有害物質を付着させながら漂う性質があるので、有害物質が付着したマイクロプラスチックを魚が誤飲し、その魚を人間が食べることを考えると影響がないとは言い切れません。なので、海にプラスチックゴミが流れ出ることを防がないといけないのです。
Q.個人でできる、海洋汚染を少しでも食い止められる方法を教えてください。
町井さん:ペットボトルが海や河川に浮いているのを見たことがある人は多いと思います。実は海洋ゴミのうちの8割近くは陸から流出したゴミなんです。ペットボトルの使用を少しでも減らすことも大切ですが、海にこれらのゴミが流出しないよう、ゴミを適切に捨てることを意識することが大切です。
当たり前のことだけど、ゴミは持ち帰るか、ゴミ箱にちゃんと捨てましょう!
ほかにも、洗濯洗剤などを適量以上に洗濯機に入れないことも河川や海を守る上で大切です。洗剤メーカーなども指摘しているように、適量以上に洗剤を入れても汚れが落ちるわけではなく、むしろ洗剤が衣類に残ってしまうなど逆効果。適量は地球にやさしいだけでなく、水や洗剤の節約にもつながりますので、ぜひ実践してみてください。
-HugKum編集部 海洋汚染って聞くと、個人でできることはないように感じてしまいがちですが、簡単なことでやれることがたくさんあるのですね。今日はありがとうございました。
記事監修
株式会社シンカ代表取締役社長 CEO
町井 則雄(まちい のりお)
企業の社会課題解決型ビジネス創出のサポートやCSR支援を行うため、株式会社シンカを立ち上げる。現在は企業による社会課題解決に向けた事業づくり、ソーシャルビジネスの支援、地方自治体が取り組むSDGs未来都市プロジェクトの推進なども行っている。【その他兼職】一般財団法人 22世紀に残すもの 理事長・一般財団法人 森から海へ 評議員・多摩エンパワー株式会社 社外取締役・一般社団法人ジャパンチャレンジャープロジェクト 理事・岩手町政策アドバイザー・社会起業大学 講師「社会事業構造論」・日本雨女雨男協会 事務局長など。
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マンガ/ほるちゃん (Instagram:nigaoe.horuchan) 構成/HugKum編集部