視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚が敏感になる「感覚の敏感期」
前回の記事では、「いつもと同じ」にこだわる姿が見られる「秩序の敏感期」についてお話をしました。
※敏感期全体についてはこちらの記事をチェックしてくださいね。
今回は、0~4歳くらいの時期に見られる「感覚の敏感期」についてです。
人間には「目・見る(視覚)」「耳・聴く(聴覚)」「鼻・嗅ぐ(嗅覚)」「皮膚・触る(触覚)」「口・味わう(味覚)」という5つの感覚器官があります。自分がいる環境から、感覚器官を通して刺激を受け、それが脳に伝えられます。その後、何をするかの指令が運動器官に伝えられていくのです。
感覚器官のひとつひとつを使うことによって、それぞれの器官がより洗練されていきます。感覚の敏感期の中にいる子どもは、5つの感覚器官をたくさん使いたい時期にいます。
具体的には以下のような姿が見られるかと思います。
このように、五感に敏感になっている姿を見せます。この時期は、バーチャルな体験ではなく、五感を使う実体験をたくさんさせてあげることをおすすめします。おうちや近所の公園など、身近な場所でできる実体験の一例をご紹介しますね。
【視覚】色や形の違いを比べて遊んでみよう
- お家の中にあるものやお外にあるもので、色の違いを比べたり、「赤色」などと同じ色を集める。
- 公園で葉っぱの形を比べたり、同じような形の葉っぱを集めたりする。
【聴覚】日常の中にある音に注目してじっくり聞く
- 飛行機やヘリコプターの音をじっくり聞く。
- お部屋の中で目をつぶり、大人が何か音を鳴らして、何の音が鳴ったか当てる。
【嗅覚】一緒に匂いを感じて何の匂いかの話をする
- ご飯や食べ物を食べる前に「いい匂いだね」「お出しの匂いだね」などと一緒に匂いを感じる。
- 目隠しをして、複数のフルーツの匂いを嗅ぎ、「これはみかん」などと匂いで当てる。
【触覚】ツルツル、ザラザラなどいろんな触覚に触れる
- 初めて触れる食材や物などを触る時に、じっくり触り「ザラザラだね」などと感じる時間をもつ。
- 公園やお散歩でつるつるしたものやざらざらしたものなど、同じ触感のものを仲間集めする。
【味覚】食べ物の味にフォーカスする会話を意識
- 目をつぶって、お野菜やフルーツを食べ何の味かを当てる。
- みかんやいよかんなど食べ比べをして、「どちらがすっぱい?」「どちらが甘い?」などと比較する。
一生の中で一番五感が敏感な時期! 感覚を洗練させる工夫を生活に取り入れて
感覚の敏感期とは知らずにいると、「なんでこんな行動をするんだろう?」「こんなにこだわるっておかしい?」と思うこともありますよね。しかし、それは子どもが順調に成長をしている証拠! 触覚を例に出すと、この時期に同じ「さらさら」でもどちらがよりさらさらなのか、その小さな差に気づくようになります。一生使う五感の土台を作っている時期だと思って、子どもとかかわるようにしてみてくださいね。
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記事監修
モンテッソーリ教師あきえ
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。
あきえ先生主宰オンラインスクール「Montessori Parents」
取材/本間綾