子どもに「お手伝い」をさせるメリットは?いつがはじめ時?【井桁容子先生の子育て相談】

 

Q:娘の友だちはお手伝いが大好き。でも、3歳の娘は自分から手伝おうとしません。そろそろ、何か手伝わせたほうがいいの?

A:お手伝いのきっかけは「共感」と「好奇心」

「お手伝い」というと、掃除や洗濯、料理などを連想する人が多いでしょう。では、お手伝いとは「親と一緒に家事をする」こと? たしかに、生活していくうえで欠かせない身の回りのことは、身につけておいたほうが子どもにとってもよいはずです。でもだからといって、無理に何かをさせるのは考えもの。まずは、子どもが「お手伝いをしたい!」と思える環境づくりから始めてみてはどうでしょうか。

子どもの「行動」ではなく「気持ち」に注目して

お手伝いをする際に大切なのは、「何をしたか」ではありません。「困っている人やたいへんそうな人を助けたい」という気持ちを伴っているかどうか、ということです。親の言うことに従って掃除をしたり洗濯ものをたたんだりすることができたとしても、「だれかを助ける」という思いやりの心が育っていなければ、「言われなければ手伝わない」子になってしまいます。

めばえっ子の頃にお手伝いそのものが上手にできなかったり、あまりお手伝いに興味を示さなかったりしたとしても、心配はありません。思いやりの心さえ身についていれば、困っている人を前にしたとき、自然に「自分には何ができるかな?」と考えることができます。そして、いざというときや求められているときは、他人に手を差し伸べられるようになっていくでしょう。

経験の幅を広げることが「やってみたい」につながる

お手伝いのきっかけは、子ども自身が「やってみたい」と思うこと。そのポイントとなるのが、「共感」と「知的好奇心」です。たとえば、子どもがお茶をこぼしたとき。親は「ぬれちゃったね」などと共感を示す言葉をかけ、拭いてみせます。子どもにとって、困っている気持ちに理解を示し、助けてもらえるのはうれしいもの。こうした経験を重ねることで、似たような場面に遭遇したとき、自分でも自然に手助けができるようになるのです。

また、子どもが興味を示したことにはできる限り応えましょう。お米をといでみたい、野菜を切ってみたい……。好奇心から生まれた意欲は、親にとって「お手伝い」にはならないことも多いですが(笑)、危ないことは説明しながら、できそうなことをさせてあげましょう。そして、「ザルではお水がくめないね」のように子どもの知的好奇心を満たすことを心がけます。

何ごとも、やってみなければおもしろさはわかりません。まずは、「役に立つお手伝い」を求めるのではなく、やってみたい意欲と子どもの経験の幅を広げることを考えてみてはどうでしょうか。自分から言い出さない場合は、興味を示しそうなことに誘ってみてもよいでしょう。子どもは大人のように先を見通すことができないため、「今と同じ」であることを好みます。だからまずは、子どもが楽しめる範囲で新しい経験を提案していくことを心がけてみましょう。

そして、お手伝い(になっていないことでも・笑)をしてもらったら、「ありがとう」「助かったよ」などと感謝を伝えます。「だれかを助けたら喜んでもらえた!」と感じることは、子どもの自己有能感(ありのままの自分を認める力)を育てることにもつながります。まずは上手、下手よりも意欲を大事にするということですね。

 

井桁容子先生

乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。

 

 

イラスト/小泉直子 構成/野口久美子 『めばえ』2019年5月号

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