「春土用」って何をする日? おすすめの食べ物や、やってはいけないことがあるって本当?

春土用と聞いて、夏のほかにも土用があることを意外に思う人も多いのではないでしょうか。夏のウナギのような、家族で楽しめる食べ物があるのか気になるパパママもいるかもしれません。春土用の意味や過ごし方を知り、季節のイベントを楽しみましょう。

春土用はいつのこと?

春土用とは、いつを指しているのでしょうか。2023年の土用の日や「丑の日」と呼ぶ理由なども合わせて紹介します。

立夏前の「土用」を指す

土用は1年に4回訪れる、季節の終わりの期間を指す言葉です。具体的には立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間のことで、春土用は立夏の前、夏土用は立秋の前です。

土用の期間は年によって異なり、18日間にならないこともあります。国立天文台暦計算室が毎年正確な日付を発表しているので、参考にするとよいでしょう。なお、2023年の立夏は5月6日(土)で、春土用の開始日は4月17日(月)です。

参考:二十四節気および雑節 令和 5年 (2023)|国立天文台

そもそも「土用」とは?「丑の日」って何?

土用の由来は、中国の五行説にあります。五行とは万物の根源とされる、木・火・土・金・水のことです。中国では五行を四季に当てはめる際に、「木」を春・「火」を夏・「金」を秋・「水」を冬とし、余った「土」を季節の境目に当てたといわれています。

また、「土用の丑(うし)の日」として耳にする「丑」は、十二支の丑を指しています。昔は日にちや時間などを十二支で表しており、「丑の日」「寅(とら)の刻」などと呼んでいました。

季節の変わり目に当たる土用には、体調を崩さないよう特定の日に体によいものを食べる風習があります。夏は丑の日に「う」の付くものを食べるとよいとされ、夏バテ予防にウナギを食べる習慣が広まりました。

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春土用は「戌」の日

夏土用の丑の日と同じく、春土用には「戌(いぬ)の日」が設定されています。ちなみに、秋土用は「辰(たつ)の日」、冬土用は「未(ひつじ)の日」です。丑の日にウナギを食べるように、春土用では「い」、秋土用では「た」、冬土用では「ひ」が付く食材を食べるとよいとされています。

ちなみに戌の日は、安産祈願の日としても知られています。お産が軽く多産な犬にあやかったもので、妊娠5カ月頃を目安に祈祷や帯祝いをする風習が有名です。

なお、2023年の春土用の期間中に「戌の日」に該当するのは、4月22日(土)と5月4日(木)です。

参考:【2023年戌の日カレンダー掲載】戌の日はいつ?安産祈願の日取りの決め方を解説! | 産泰神社 安産祈願

春土用でおすすめの食べ物や過ごし方は?

土用の期間は、どのように過ごせばよいのでしょうか。春土用におすすめの食べ物や過ごし方を見ていきましょう。

「い」の付く「白い」食べ物を食べる

春土用は戌の日にちなみ、「い」の付くもの以外にも、白いものを食べるとよいとされています。

由来ははっきりとしていませんが、中国の五行では以下のように季節ごとに色が決まっており、そこから「土用には反対の季節の色を食べる」という風習ができたようです。

●春:青
●夏:赤
●秋:白
●冬:黒

春の反対の季節は秋ですので、「い」の付く「白い」ものを選ぶとよいでしょう。例えば、イチゴにヨーグルトをかけておやつにしてもよいですし、ご飯にイクラを乗せるとご馳走気分を味わえます。身が白いイカも、春土用にはおすすめです。

食パンにいちごジャムを塗っても◎
食パンにいちごジャムを塗っても◎

イチゴにはビタミンCやアントシアニンなどが、イカには肝臓の働きを助けるタウリンが豊富に含まれています。この機会に食材探しから栄養のことまで、親子で一緒に考えてみてもよいでしょう。

参考:
いちごのあれこれ豆知識:農林水産省
タウリンとはどのような栄養素ですか。:農林水産省

ゆっくり過ごして心と体を休める

季節の変わり目は、体調管理が難しい時期です。このため、土用は無理に活動せず、リラックスして過ごすとよいとされています。

寒暖差や生活環境の変化によるストレスがたまりがちな春土用には、気分転換できる過ごし方が適しています。天候が穏やかな日も多いので、散歩やピクニックで春気分を満喫してもよいでしょう。

前述のような「い」の付く白い食べ物や、旬の食べ物を使って新しいメニューを考えたり、連休を利用して部屋を掃除したりするのも、よい気分転換になります。

土用の間にやってはいけないことがある?

土用の期間にはおすすめの過ごし方がある一方で、やってはいけないこともあります。うっかりやってしまいそうな行動と、NGな理由をチェックしましょう。

土を動かすのはNGとされる

土用には、以下のような土を動かす行為はNGとされています。

●畑を耕す、草を刈るなどの農作業
●井戸や穴を掘る行為
●建築の基礎工事
●地鎮祭 など

昔は、土用の期間中には土の中に神様がいて、土を動かすと神様が嫌がると信じられていました。季節の変わり目に屋外で無理な作業をすると体調を崩す恐れがあるため、土いじりを控えるようにしたとの説もあります。

家の増改築や家庭菜園を予定している人は、できるだけ土用の期間を避けるとよいでしょう。

土用の期間の土いじりはNG
土用の期間の土いじりはNG

「間日」であれば土いじりもOK

土用の期間中は土を動かさないほうがよいとしても、約18日もの間、土に関する作業を避けるのでは、生活にさまざまな支障が出ます。このため、土用には「間日(まび)」と呼ばれる、土を動かしてもよい日が設定されています。

間日とは、神様が土を離れて天上界に行く日のことです。この日は神様が留守なので、土を動かしても差し支えありません。

春土用の間日は「巳(み)」「午(うま)」「酉(とり)」の日と決まっており、2023年の間日は以下の通りです。

●4月18日(火)
●4月21日(金)
●4月29日(土)
●4月30日(日)
●5月3日(水)

参考:【2023年最新版】土用はいつ?土用とは?土用にしてはいけないことは?縁起のよい食べ物を紹介! | 産泰神社 安産祈願

新しいことを始めるのも避ける

何か新しいことを始めたい人は、土用が過ぎてから着手しましょう。土用は季節の変わり目なので、心身ともに不安定になりやすいといわれています。

新しいことを始めるには多くのエネルギーが必要ですから、心身が不安定な時期に着手すると、正しい判断ができずに失敗する可能性が高くなるかもしれません。

結婚式や新居の購入、店のオープンなどの大きなイベントも避けるのが無難です。土用の期間中は計画や準備に使い、明けてからスタートするとよいでしょう。

季節を感じる過ごし方を試してみて

春土用は、新年度が始まってから間もない頃に訪れます。子どもにとってはクラス替えや新しい習い事の開始など、緊張が続く時期でもあります。

季節の食べ物にパワーをもらいながら親子ともどもゆっくりと過ごし、季節の変わり目を乗り切りましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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