東大生が子ども時代にやっていた3大習い事は水泳、ピアノ、英語!ではなぜその習い事がいいの? 教師陣に訊くメリットと考察

成績優秀な子に育てるには、どんな習い事がいいの?  いつ、どのように習わせるのが効果的?  親はどうサポートすべき?  そんな疑問に、各習い事の先生がお答えします!

東大生の習い事ベスト3は?

人気テレビ番組「東大王」の影響もあり、「賢い子に育てたい」「できれば東大クラスの大学に進学させたい」という親も多いもの。そんな子どもを育てるには、どんな習い事が効果的なのでしょうか。

各種アンケートによれば、多くの東大生が子どもの頃に習っていたのは、次の3つ。

1位 スイミング
2位 ピアノ
3位 英語・英会話

参考:サライ jp|現役東大生に聞いた、幼少期の習い事ランキング、3位 英会話、2位 ピアノ、1位は?

それぞれどんなメリットがあるの?  ベストな始めどきは?  親のサポートポイントは?  ・・・などについて、指導経験豊かな先生方に伺いました。

東大生の習い事第1位 スイミングのメリットとは

「走る、投げるなどの地上の動作とは違い、泳ぐという水の中の動作は、誰もが学ばなければ身につきません」

と語るのは、スイミングインストラクター歴10年の横山実穂さん(東京都/2児の母)。マタニティースイミング、ベビースイミングなど、幼い頃から水に親しむ母子が多いため、比較的小さい頃から習い始める傾向があると言います。

「多くのスイミングクラブでは、水に足をつける、おもちゃを使って顔に水をかけるなど、遊びのような段階を経て、少しずつ水に慣れるプログラムがあります。まずは、そこからトライですね」

もし、子どもが水を怖がったり、プールを嫌がったりしても、「プールに入らなくてもいいから、とりあえず、プールサイドまでは連れて来てください」と親御さんにアドバイスしている横山さん。子どもの気は変わりやすく、友達がプールに入っているのを見ているうちに「ぼく(わたし)も!」という気になることも多いそうです。

始める時期に関しては、子どもの性格にも寄りますが、小さいうちから水に慣れておくほうが良いそうです。横山さんご自身のお子さんについても、生後8カ月から始めた長男は、やはり上達が早かったそうです。

一方で、小学校中~高学年からのスタートでは、小さい子どもたちと同じクラスに入るのを嫌がったり、学校の水泳の授業を通して、スイミングそのものが怖いもの、苦手なものという意識があったりして、なかなか馴染めないケースも多いとか。

「たいていのスイミング教室には昇級テストの制度がありますが、『目の前のテストに期待をかけすぎたり、一喜一憂したりするのはどうかな?』と思います。ゆったり見守ることが大切だと思います」

プールサイドは湿気が高いため、喘息など呼吸器系が弱い子の体力アップにも役立ち、走る・投げるなどの陸上の動きが苦手な子も、十分に自らの才能を伸ばせるなど、多くのメリットがあるスイミング。何より、「泳げる」という自信がつくことが、本人のとって素晴らしい体験であり、勉強にも前向きに取り組むきっかけになるようです。

東大生の習い事第2位 ピアノが培うもの

ピアノは女の子の習い事?  それは昔の話。現代では、中学受験する男の子も、ピアノを習っている子が多くいます。

ピアノを教えてこの道50年の大内眞理子さん(東京都/ピアノ教室「ディ・グランツェ」主宰)によると、やはり、親世代に比べて男の子のピアノ率は高いと実感しているそうです。

「ときどき3歳ぐらいから『ピアノを習わせたい』という問い合わせがありますが、ピアノの始め時は、5歳頃(年中~年長さん)がおすすめです。なぜなら、保育園や幼稚園などに慣れて、先生の言うことが分かって行動できるからです」

大内さんのレッスンでは、いきなりピアノの前に座って楽譜通りに弾かせるのではなく、まずは体を使って音を感じるリトミックから始めるそうです。これなら、少々やんちゃな男の子も、すんなりピアノに馴染めるとか。

「ピアノを通じて、集中力ややりきる力が身につきます。たとえば、うちでは、発表会ではその子にとって『少し背伸びをしたら弾ける曲』を選びます。候補曲3曲の中から、本人に選ばせる形で、本人のやる気を引き出しています」

ピアノは、教室に通うだけではなく、家での練習も欠かせません。お父さんお母さんのサポートとしては、1日10分程度はピアノの練習タイムを設け、練習の習慣をつけることが大切です。

大内さんは、「3回は弾いてみようね」とアドバイスしているそうです。なぜなら、誰でも1回目よりも、3回目は上手に弾けるから。子どもも、いきなり10回、20回練習となると「え~! そんなの無理」とイヤなってしまいますが、「3回くらいならば、頑張ってみよう」と思えるようです。

「レッスン中に短い曲を、まずは講師が弾いて聞かせます。その後、ドレミで本人に歌わせ、最後に実際に弾かせます。この方法は、練習のしかたを学ばせるという意味もあります。
次回のレッスンでその曲を忘れていなかったら、シールを貼ってあげます。実は、これは家での練習(復習)にもつながっているのですが、シール欲しさに頑張る子も多いのですよ」

習い始めのうちは、毎日練習を強要するのではなく、とりあえず「レッスンの前日に3回は弾いてみようか」というスタイルもおすすめだとか。

ところで、ピアノに向いている子は、どんなタイプなのでしょうか。大内さんからは、意外な答えが返ってきました!

「器用な子、耳がいい子が向いていると思われるかもしれませんが、ちょっと不器用な子は一生懸命楽譜を読んで丁寧に弾こうとするので、時間はかかるけれど結果的に上達する例が多くみられます。
逆に、音を聞いてなんとなく弾けちゃう子、いわゆる『勘がいい子』は、本人がそれで満足するのか、ほどほどのところで成長が止まってしまうケースがあります」

ピアノ教室には、個人の先生の他、集団レッスンを展開する大手チェーンの教室もあります。どこでどう習わせたらよいのか。お父さんお母さんの悩む声には、こんなアドバイスをいただきました。

「子どもの性格次第ですね。みんなと楽しく学ぶスタイルが好きという子もいますし、じっくり個人の先生に習いたいという子もいます。
集団レッスンではカリキュラムや教材があらかじめ決まっていますが、個人経営のピアノ教室では、講師が、その子の手の大きさや習熟度など成長段階を考えて、そのときどきにベストな教材を選ぶので、一人ひとりに応じた学びかたができます」

ピアノを始め、手先を使う習い事は、脳への刺激にもつながるとも言われています。実際、東大生はもちろん、難関の大学附属校に通う子も、ピアノを習っていたという子は多いようです。大内さんのピアノ教室にも、中学受験の子が多く通っています。

「息子の学校では、クラスごとの合唱コンクールがあるのですが、中学生は人前で声を出すのが恥ずかしいらしく、歌うより、ピアノの伴奏者のほうがいいと立候補する子たちが多かったそうです。
40人のクラスで、課題曲を『弾ける』と手を挙げたのは、なんと30人!  全体の75%です!  ピアノは欠かせない教養だと思いました(東京都/Ⅿ・Hさん お子さんは中学から大学附属校に進学)」

ピアノを練習することは、小さな課題を自分なりにクリアし、成功体験を積み重ねていく経験です。発表会などに向かって努力を重ねることはもちろん、人前で集中して自分の力を披露する経験も得られます。「自分は、やればできる」という自己肯定感が、多くの東大生の受験勉強に打ち勝つ原動力になったのは、間違いありません。

東大生の習い事第3位 英語・英会話は早めの習得がカギ

近年、小学校でも導入されている英語。「できるだけ早いうちから習わせたほうがよいのでは?」と考える親も多いようです。

「確かに、英語は言語ですから、耳から入ってきます。英語の発音になれるという意味では、小さいうちから始めるほうがよいでしょうか。ただし、いきなり英語や英会話の塾に通わせるのではなく、おうちで英語の歌のCDなどを親子一緒に聞いて、楽しみながら英語にふれることから始めるのがおすすめです」

とアドバイスしてくれたのは、英語を教えて25年のキャリアを誇る鈴木祐輔さん(東京都/「シューレ学習会」英語講師)。

「小学校中学年ぐらいから、3年ほどネイティブの先生について英会話を学んだ子たちがいました。彼らが中学生になったとき、教科書に沿って文法を教えたのですが、その子たちは、英語のリズムや語順などを自然に身に付けたようで、問題文を読んで答えを考えるときに、実際にしゃべってみて『うん、これなら、しっくりくる』とか『なんか、違うみたいだ』と判断するんです。文法を理屈で理解する学習法で育った私は、彼らの感覚に驚き、うらやましいと思いました」

ネイティブの先生に学ぶメリットの一つとして、相手が何を言おうとしているのか、類推する力が身に着くと言う鈴木さん。それには、ある程度、考える力がついてくる中学年くらいが適当なのかもしれません。

「日本人の中にもマルチリンガルで活躍している人がいますが、子どもの頃に外国語に触れたことがある人が多いようです。母国語以外の言語リズム・発音を子どもの頃に受け入れていると、他の言語についても習得しやすくなるのだと思います。子どもの頃に英語に触れることは、多言語の世界を開くことにもつながるでしょう」

今も昔も、高校受験や大学受験の際にも大きなウエイトを占める英語。多くの東大生が、子どもの頃の習ったというのも、納得のいく話です。

子どもそれぞれの意思とタイミングを見守って

東大生が幼少時にやっていた習い事の上位3つを中心に、その特徴とメリットを探ってみました。

どの習い事にも言えることですが、共通するのは、根気よく継続する力、努力を続ける向上心といった勤勉さが必要になるという点です。高い精神力や自主性を少しずつ鍛えていくからこそ、やがて「確かな学力」として結実するのでしょう。

子どもの可能性を開花させたいと願う親は多いもの。とはいえ、どの習い事も、スタートが早ければ早いほどよいというわけではありません。子どもの性格や成長を見守りながら、そっと背中を押してあげたいですね。

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構成・文/ひだいますみ

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