「こどもの日」って、どんな行事食がある?
3月3日の「ひな祭り(上巳の節句)」の行事食は「ちらし寿司」や「菱餅」、「ひなあられ」。では、5月5日の「こどもの日(端午の節句)」には、どんな行事食があるのでしょうか。「端午の節句」の由来と共に紹介します。
「端午の節句」の由来
「端午の節句」は、奈良時代に中国から伝わったと言われています。
「端午」は、「端」という字に「始まり」という意味があり、5月のはじめの午(うま)の日と、午(ご)という文字の音が「5」に通じることから、5が重なる5月5日が端午の節句とされたと言われています。
現在は「こどもの日」として国民の休日となっている「端午の節句」
江戸時代の武家では、跡継ぎの男子の誕生は最大の慶事であったため、端午の節句に盛大に祝っていました。しかし、その後1948年に、国民の祝日「こどもの日」(こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する)として改めて制定されました。そうして、男の子だけではない「こどもの日」が定着していったそうです。
「端午の節句」の行事食は
端午の節句にはさまざまな行事食があります。
・ちまき
ちまきの面白いところは、日本の中でも地域によって大きく違うということです。
北日本、東日本の中身は「おこわ」です。
関西では中身が甘い「細長いお団子」です。
ちなみに、鹿児島県では、「灰汁巻き」がメジャーのようです。灰汁(あく)に漬け込んだもち米を竹の皮で包み、それを灰汁で炊き上げたものとか。
「灰汁巻き」の中身はこんな感じ。
一口に、ちまきといっても、地域によって異なるのですね。中国の文化が、当時の都があった関西方面から広がり変化していったと言われています。
・柏餅
柏の木の葉の特徴をご存じでしょうか?
柏の木の葉は、新芽が出るまで古い葉が落ちない特性があります。この特性を「家系が途絶えることのない様子」に見立てて、「子孫繁栄」の縁起物として定着していきました。
その他、「まっすぐ元気に育ってほしい」という思いから、旬を迎えるたけのこ料理や、成長と共に名前が変わる出世魚の「スズキ」「ブリ」などの魚も縁起がいいと言われています。
端午の節句にちなんで、手軽に可愛くできる「こいのぼりパイ」を
今回は、旬の食材「たけのこ」「アスパラガス」を使った、こいのぼりパイをご紹介します。
アスパラも空に向かってぐんぐん真っすぐ成長しますし、今が旬の野菜です。ですが、アスパラには筋があり、食べにくく感じる子どももいるかもしれません。筋を丁寧に取り除けば美味しいので、お子さんはお手伝いを通して、楽しみながら旬の食材に触れられるといいですね。
春野菜のこいのぼりパイ
材料(4つ分)
・冷凍パイシート(四角) 2枚
・合いびき肉 30g
・たけのこ(下処理済み、水煮でも可) 15g
・アスパラガス 1本
●カレー粉 小さじ1/6
●ケチャップ 小さじ1
●しょう油 小さじ1/2
●ソース 小さじ1
●酒 小さじ1
・卵黄 適量
下準備
・冷凍パイシートを冷凍庫から出し、切れる程度に解凍する。
・オーブンを200℃に予熱する。
作り方
① アスパラガスはピーラーで皮をむき、斜め薄切りにする。
② たけのこは細い短冊切りにする。
③ フライパンに合いびき肉を入れて炒め、色が変わったら①②を加える。
④ ③に火が通ったら、●を入れさらに炒める。
⑤ 冷凍パイシートを4つに切り分け、一方の端を三角に切れ目を入れる。
⑥ ④を2枚のシートにのせ、もう片方を重ね、フォークで端を押さえとめる。
⑦ 卵黄を塗り、200℃のオーブンで13分焼く。
子どものお手伝いポイント
・ピーラーでの皮むきに挑戦!
アスパラガスの皮は子どもにとって食べにくい部分です。硬い部分はピーラーでむくと食べやすさがアップします。ピーラーのお手伝いの最初のステップとしておすすめです。まな板において、利き手とは逆の手でしっかり押さえ、ピーラーを横に引いてみましょう。節の部分はやや硬いですが、すーっと皮がむける感覚が味わえます。
・フォークで生地の端を押しとめでみよう!
小さめのフォークまたは、子ども用フォークがおすすめです。普段持つ持ち方とは違うので初めは違和感があるかもしれません。手先に集中し、手加減も学べるお手伝いです。
行事食ができないときには
端午の節句(こどもの日)は、子どもの成長を祝い願うということ。それゆえ、最近では子どもが好きなものを食べる風潮もあるようです。
このように、昔から伝わる行事食にとらわれず、ケーキやお寿司など子どもが好きなものを用意して、「みんなでお祝いをする」という楽しい食卓になるのもいいなと思います。
また、最近では、柏餅やちまきもスーパーで手軽に買うことができます。手軽に買えることはとてもいいことですが、時間に余裕があるときには、「和菓子屋さん」にお子さんと立ち寄ってみても。私自身、わざわざ和菓子屋さんへ行くことは減ってしまいましたが、季節を象徴する和菓子を愉しむのは良いものです。飾り物が置いてあったり、季節を感じられたり、不思議とほっとできる場所だと感じます。
こいのぼりパイは、冷凍パイシートを使うことで、とても手軽に作ることができます。5月5日は過ごしやすい季節ですし、ピクニックやお出かけにも最適。楽しいこどもの日を過ごしてくださいね。
「端午の節句」の豆知識もチェック!
この記事を書いたのは…
出産後、薬剤師として医療に携わる中で、子どもたちの心身の不調が増えていることに気づく。また、自身の子どもの喘息・アトピー性皮膚炎など、子どもの健康に不安を感じることが増えた。興味関心の幅が広い幼児期に「食選力」を身につけ、自分の身体、そして将来、大事な人の身体も大切にできる大人になってほしい。その想いで、青空キッチン、食育イベントを大田区を中心に開催している。また、「食」から広がる世界は無限大であり、「食」を通し、子どもの探究心に火をつけ学ぶ意欲のある子どもを育てることに注力している。