4人(男9歳、女6歳、女4歳、男1歳)の子どもがいます。3番目の子だけ好きになれません。ほかの子は心の底からかわいいと思えるのですが、その子に関してはほかの子と同じ気持ちになれないのです。子どももそれに気づいているのか、私の言うことを聞いてくれません。こんな気持ちをもっていること、夫にも相談できません。我が子をかわいいと思えない自分は大人として、母親として未熟なのでしょうか?
人間だもの。我が子とはいえ相性はあります。今のあなたに必要なのは余裕を取り戻すための「心の虫干し」です
子どもが2人以上いると避けられない悩みです。
自分の子をかわいがれないはずがないという思い込み、いい子に育てなくちゃ、というプレッシャー。「夫にも相談できない」とおっしゃっています。きっと、夫からいいお母さんで、いい子育てをしていると見られたいという思いもプレッシャーになっているのではないでしょうか?
すべての我が子に同等の愛を与え続けるのは神業
我が子を愛せないと悩むあなたは、母親として未熟でも失格でもありません。すべての我が子に同等、同質の愛を与え続けるのは神業といえるほど難しい。
好きになれないのは何でだろう?と感情を分析するのはやめましょう。子どもたちを等分にかわいいと思わない自分をどうしようと悩んでいるあなたは、それだけで充分誠意のある母親です。
人はつたないものや、未熟なものを“かわいい”という言葉で表現します。未熟でつたない我が子を“かわいい”と思えないのは、自分自身が緊張していて、神経を使っているからではないでしょうか?
だって手のかかる子が4人。どう考えても毎日バタバタで大変なことでしょう。生活や気持ちにゆとりがあってこそ“かわいい”という感情が生まれてくるもの。育児に余裕がある2番目以降の子どもはかわいい、という話、周りでよく聞きますね。
私の知り合いでも、同じように悩んでいた人がいました。ところが、子どもが高校生くらいのときから、すっかり関係は逆転。一番頼りにいなるいい関係になったそうです。お互いの距離感が案外良かったのかもしれませんね。
我が子との相性もそれと同じ。今はかわいくなくてちょっと苦手と思っていても、将来どんな親子関係になるかわかりません。
親子関係も感性の違いや相性問題もあります。自分から生まれた子でも、ママの分身じゃないんですから。
一日1回しっかりと抱きしめて、きちんと食事と寝床を与えていれば、子育ては何の問題もなしです
ただ、あなたにとって子どもは4人、でも、子どもには、たったひとりのママなのです。それは忘れないで。相談者のママは、かわいく思えない子に冷たく当たってしまうと書いてありますが、その子を一日1回しっかりと抱きしめて、きちんと食事と寝床を与えていれば、子育ては何の問題もなしです。
誰にも話せない、モヤモヤした気持ちが心の中を占めたら、たまった膿を表に出すことがおすすめ。私は“心の虫干し”って呼んでます。心を許せる友人や信頼できる園や学校の先生に打ち明けてみて。文章に書き出してみてもいい。ただし子どもの耳や目に入らないところでね。心の虫干しをすると、不思議と抱えていた悩みは変わらないのに心は軽くなるのです。
ママ自身に余裕が生まれたら、今はかわいく思えない子との関係もきっと変わってくるはずです。
記事監修

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。
イラスト/海谷泰水