「山開き」の意味と由来を解説。富士山の2023年山開きはいつ?

「山開き」とは登山が許可される日のことです。一般的には、3~7月から登山シーズンが始まります。山岳信仰から始まったという山開きの由来や、2023年の富士山の山開きはいつなのか、シーズン外でも登山ができるのかなどについて解説します。
<上画像:富士山山頂の最高標高地点のひとつ「剣ヶ峰」>

「山開き」の意味と由来とは

山開きは、一般人が登山を許される期間のことです。その初日のことを特に「山開き」といったりします。時期は山によって異なるので事前に確認しておきましょう。

「山開き」は登山を許可すること

山開きとは登山が許可される日およびその期間のことで、その年に初めて登山が許される行事を指していうこともあります。

山によって山開きの時期は異なりますが、一般的には3~7月に山開きするところが多いようです。なかでも5月末~7月に山開きするところが特に多く、この時期に本格的な登山シーズンが開幕します。

山開きの時期が決まっているのは、事故をなくし、安全に登山できるようにするためです。そのため、山開きの初日には、安全を願ってさまざまなイベントが催されます。

富士山の山開きでは登山行列ができるときも
富士山の山開きでは登山行列ができるときも

「山開き」の由来は山岳信仰

昔、山は神聖な領域として扱われており、修験者(しゅげんじゃ)や山伏(やまぶし)といった人達以外は立ち入ることができませんでした。やがて、期間を決めて一般人にも山を開放したのが山開きの始まりです。

日本は山岳信仰が盛んな国で、山の頂上には神様が祀られていました。そのことは、日本各地に霊山があることからもわかるでしょう。

江戸時代中期になると、山頂の神様にお参りする講中登山(こうちゅうとざん)が流行します。講中登山とは、みんなでお金を出し合って代表者にお参りしてもらう仕組み「講」による登山のことです。

各地の山ではそういった人々を受け入れるために、期間を決めて山開きするようになったのです。

富士山の山開き

富士山吉田口登山道の起点となる、北口本宮冨士浅間神社。毎年7月1日に「お山開き」が、8月末には「お山じまい」の祭りが行われる。
富士山吉田口登山道の起点となる、北口本宮冨士浅間神社。毎年7月1日に「お山開き」が、8月末には「お山じまい」の祭りが行われる。

日本最高峰の富士山でも、他の山と同様に山開きの日取りが決まっています。登山ルートごとに2023年の山開きをチェックしてみましょう。

山開きの日は登山ルートによって異なる

富士山ほどの大きな山になると、登山ルートも一つだけではありません。各方面から頂上を目指すルートが複数あります。

山梨県側には吉田口から登るルートが、静岡県側には富士宮口(ふじのみやぐち)・須走口(すばしりぐち)・御殿場口(ごてんばぐち)から登るルートがあります。

例年の山開きの日程は、吉田口ルートは7月1日、静岡県側の各ルートは7月10日です。山開きに伴って、浅間神社(せんげんじんじゃ)のお祭りや河口湖の花火大会など、各種イベントも開催されます。

2023年の富士山の山開きをチェック

では、2023年の富士山の山開きの期間をみてみましょう。基本的には、前述の例年通りの日程を予定しています。

●山梨県側
富士山の北側から登る「吉田ルート」:7月1日~9月10日予定
※下山ルートは9月11日の午前中まで通行可能

●静岡県側
富士山の南側から登る「富士宮ルート」:7月10日~9月10日予定
富士山の東側から登る「須走ルート」:7月10日~9月10日予定
富士山の南東側から登る「御殿場ルート」:7月10日~9月10日予定

休憩所・トイレ・案内所などの設備も、利用できる期間が決まっています。また、登山ルートの開通日および閉鎖日は、残雪・気象状況によって変更になることがあるため、必ず公式サイトなどで確認してから登山に出かけましょう。

参考:登山シーズン

富士登山の3つのルール

富士山に登るためには、大切な三つのルールを守らなくてはいけません。

●ルール1:排泄物は持ち帰る
富士山5合目以上には約50カ所のトイレが設置されていますが、使用できないこともあります。登山時には携帯トイレを持参し、排泄物を持ち帰るようにしましょう。

●ルール2:夏山期間以外は装備をしていない者の登山は禁止
冬の富士登山は、経験豊富な登山者でも命を落とす危険があります。安易な気持ちで登るのは止めましょう。

●ルール3:登山計画書を提出
日時・目的地・テントの色などを記載した登山計画書は、万一遭難したときの命綱となります。夏山期間以外は必ず提出しなくてはなりません。

富士登山における安全確保のためのガイドライン
登山計画書について

山開き前に登山することはできる?

基本的に、シーズン外でも山に登ることはできます。しかし、山によっては命の危険が伴うため、しっかりした準備が必要です。

シーズン外でも登山はできる

シーズン外での登山についての対応は、山によってさまざまです。一年を通して登山が可能なところもあれば、シーズン外の登山を厳しくチェックしているところもあります。

山の天気は変わりやすく、特に冬の山は雪や風で視界が遮られる場合もあります。冬の山と夏の山は別ものといっても過言ではないため、一般人が冬などのシーズン外に登る際は注意が必要です。

富士山はシーズン外でも登山ができ、初日の出を拝む光景はニュースでも取り上げられています。しかし前述の通り、充分な装備をしていない人は登山を許可してもらえませんので、注意しましょう。

入念な準備が必要

シーズン外の山では、ほとんどの山小屋や売店が閉まっていることも多いものです。そのため、自分で必要なものを持っていかなくてはなりません。また、厳しい自然環境や変わりやすい天候へ対処するための装備も必要です。

9~10月の秋口といってもいい時季でも富士山では積雪があり、天候不良による遭難・滑落事故が起こっています。

シーズン外の登山は危険であることを充分に理解して、持ち物・服装・不慮の事故への対策など、入念な準備をしておきましょう。

富士登山における安全確保のためのガイドライン

ルールを守って安全な登山を!

「山開き」の意味は、登山が許可される日または登山が許可される期間のことです。昔は、一般人が山へ入ることは許されていませんでしたが、江戸時代になって山の神にお参りする人が増えたため、期間を決めて登山を許可するようになりました。

シーズン外でも登山はできますが、厳しい自然に対処するために入念な準備をする必要があります。特に、冬の山は専門家でも危険な目にあうことがあるので、一般人は避けたほうが無難です。

ルールとマナーを守って、安全な登山を楽しみましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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