「山開き」の意味と由来を解説。富士山の2025年山開きはいつ?

「山開き」とは登山が許可される日のことです。一般的には、3~7月から登山シーズンが始まります。山岳信仰から始まったという山開きの由来や、2025年の富士山の山開きはいつなのか、シーズン外でも登山ができるのかなどについて解説します。
<上画像:富士山山頂の最高標高地点のひとつ「剣ヶ峰」>

「山開き」の意味と由来とは

山開きとは、一般人が登山を許される期間のことです。その初日のことを特に「山開き」といったりします。時期は山によって異なるので事前に確認しておきましょう。

「山開き」とは登山を許可すること

山開きとは登山が許可される日およびその期間のことで、その年に初めて登山が許される行事を指していうこともあります。

山によって山開きの時期は異なりますが、一般的には3~7月に山開きするところが多いようです。なかでも5月末~7月に山開きするところが特に多く、この時期に本格的な登山シーズンが開幕します。

山開きの時期が決まっているのは、事故をなくし、安全に登山できるようにするためです。そのため、山開きの初日には、安全を願ってさまざまなイベントが催されます。

富士山の山開きでは登山行列ができるときも
富士山の山開きでは、登山行列ができるときも

「山開き」の由来は山岳信仰

昔、山は神聖な領域として扱われており、修験者(しゅげんじゃ)や山伏(やまぶし)といった人達以外は立ち入ることができませんでした。やがて、期間を決めて一般人にも山を開放したのが山開きの始まりです。

日本は山岳信仰が盛んな国で、山の頂上には神様が祀られていました。そのことは、日本各地に霊山があることからもわかるでしょう。

江戸時代中期になると、山頂の神様にお参りする講中登山(こうちゅうとざん)が流行します。講中登山とは、みんなでお金を出し合って代表者にお参りしてもらう仕組み「講」による登山のことです。

各地の山ではそういった人々を受け入れるために、期間を決めて山開きをするようになったのです。

富士山の山開き

富士山吉田口登山道の起点となる、北口本宮冨士浅間神社。毎年7月1日に「お山開き」が、8月末には「お山じまい」の祭りが行われる。
富士山吉田口登山道の起点となる、北口本宮冨士浅間神社。毎年7月1日に「お山開き」が、8月末には「お山じまい」の祭りが行われる。

日本最高峰の富士山でも、他の山と同様に山開きの日取りが決まっています。登山ルートごとに2025年の山開きをチェックしてみましょう。

山開きの日は登山ルートによって異なる

富士山ほどの大きな山になると、登山ルートも一つだけではありません。各方面から頂上を目指すルートが複数あります。

山梨県側には吉田口から登るルートが、静岡県側には富士宮口(ふじのみやぐち)・須走口(すばしりぐち)・御殿場口(ごてんばぐち)から登るルートがあります。

山開きの日程は、各ルートで7月上旬です。山開きに伴って、浅間神社(せんげんじんじゃ)のお祭りや河口湖の花火大会など、各種イベントも開催されます。

2025年の富士山の山開きをチェック

では、2025年の富士山の山開きの期間をみてみましょう。基本的には、前述の例年通りの日程を予定しています。

●山梨県側
富士山の北側から登る「吉田ルート」:7月上旬から9月上旬まで

●静岡県側
富士山の南側から登る「富士宮ルート」:7月上旬から9月上旬まで
富士山の東側から登る「須走ルート」:7月上旬から9月上旬まで
富士山の南東側から登る「御殿場ルート」:7月上旬から9月上旬まで

休憩所・トイレ・案内所などの設備も、利用できる期間が決まっています。また、登山ルートの開通日および閉鎖日は、残雪・気象状況によって変更になることがあるため、必ず公式サイトなどで確認してから登山に出かけましょう。

参考:富士登山オフィシャルサイト

 

全ルートで登山規制を実施

2025年度から、全ルートで登山規制を実施しています。

 

◆入山規制
時間 午後2時~翌午前3時
※この時間帯は、山小屋宿泊者を除き、五合目から入山することはできません。

◆利用者負担
(通行料・入山料) 4,000円
※登山にあたっては、通行料・入山料をお支払いください。

◆事前予約・登録
登山のための通行予約または事前登録は、Webシステムから行うことができます。Webシステムの利用開始は、4月以降の予定です。別途ホームページ上でお知らせいたします。
※山小屋の予約ではありません。(山小屋宿泊のためには、別途、山小屋への予約が必要になります)

2025年 富士登山をされるすべての方へ

山梨県富士山吉田ルート通行予約システムについて

山梨県富士山吉田ルートの通行予約には、通行料4000円の事前決済が必要です。
※山小屋宿泊予約をしていれば規制が開始された場合もゲートを通過可能です。通行予約をするかどうかは任意です。
※ただし、山小屋宿泊者も通行料4000円の支払いは必要です(現地支払い可)。

下記の内容を必ずご確認・了承の上、手続きしてください。

○この予約は通行予約(任意)であり、山小屋の宿泊予約ではありませんので、ご注意ください。
○予約(事前決済)は、登山日の当日まで可能です。
※予約数が日ごとの規定数(上限)に達した場合は、受付を終了します。
○予約(事前決済)した場合であっても、当日14時までに五合目ゲートを通過しなかった場合は、規制の対象となりますのでご注意ください(ただし、山小屋宿泊者は除く)。

山梨県富士山吉田ルート通行予約について

静岡県(富士宮ルート・御殿場ルート・須走ルート)の登山規制

静岡県側の3ルートでは、以下の登山規制を行います。

登山の前に、入山手続きが必要となります。事前に登録をお願いします。
 ※「入山」とは、県が定める基準点より山頂側に立ち入ることを言います。

◆富士山の保全、安全登山に係るルール・マナーの事前学習(eラーニング)の修了
◆夜間規制時間帯の入山は、山小屋の宿泊が必要
 午後2時から翌午前3時まで
 ※夜間規制時間帯も山小屋の宿泊があれば、入山できます。
◆入山料の納付
 1人・1回につき 4,000円をご負担ください。 

なお、静岡県側では1日あたりの登山者数の上限は設定しておりません。
<<事前登録システム>>
入山手続きの際は、事前の登録をお願いします。
詳細については、下記のリンク先でご確認ください。

※システムは5月9日から利用可能となっています。
※システム未登録の方は、各登山口五合目で、入山料の納入およびルール・マナーの現地学習を実施していただきます。
※午後2時以降、登山を開始する方は、山小屋の宿泊予約をお願いします。現地でのシステム認証時に、山小屋の宿泊予約の有無を確認します。
※このシステムは、山小屋の宿泊予約をするものではありません。ご自身で直接、山小屋の予約をお取りください。

【事前登録システム等詳細はこちらのページをご確認ください】

富士登山における安全確保のためのガイドライン

遭難事故の防止や自然環境を保全するため、平成25年に「富士登山における安全確保のためのガイドライン」(主に夏山期間以外における注意事項)が制定されました。
富士山においては、万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山禁止をはじめとしたルールが決められています。主な内容は以下のとおりです。

◆万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山「禁止」
◆夏山期間以外については、「登山計画書」を必ず作成・提出すること
◆山中のトイレが使用できない夏山期間以外において、万全な準備をした登山者が登山を行う場合、携帯トイレを持参して、自らの排泄物を回収し、持ち帰ること

富士登山における安全確保のためのガイドライン
登山計画書について

山開き前に登山することはできる?

基本的に、シーズン外でも山に登ることはできます。しかし、山によっては命の危険が伴うため、しっかりした準備が必要です。

シーズン外でも登山はできる

シーズン外での登山についての対応は、山によってさまざまです。一年を通して登山が可能なところもあれば、シーズン外の登山を厳しくチェックしているところもあります。

山の天気は変わりやすく、特に冬の山は雪や風で視界が遮られる場合もあります。冬の山と夏の山は別ものといっても過言ではないため、一般人が冬などのシーズン外に登る際は注意が必要です。

富士山はシーズン外でも登山ができ、初日の出を拝む光景はニュースでも取り上げられています。しかし前述の通り、充分な装備をしていない人は登山を許可してもらえませんので、注意しましょう。

入念な準備が必要

シーズン外の山では、ほとんどの山小屋や売店が閉まっていることも多いものです。そのため、自分で必要なものを持っていかなくてはなりません。また、厳しい自然環境や変わりやすい天候へ対処するための装備も必要です。

9~10月の秋口といってもいい時季でも富士山では積雪があり、天候不良による遭難・滑落事故が起こっています。

シーズン外の登山は危険であることを充分に理解して、持ち物・服装・不慮の事故への対策など、入念な準備をしておきましょう。

富士登山における安全確保のためのガイドライン

ルールを守って安全な登山を!

「山開き」の意味は、登山が許可される日または登山が許可される期間のことです。昔は、一般人が山へ入ることは許されていませんでした。しかし、江戸時代になって山の神にお参りする人が増えたため、期間を決めて登山を許可するようになりました。

シーズン外でも登山はできますが、厳しい自然に対処するために入念な準備をする必要があります。特に、冬の山は専門家でも危険な目にあうことがあるので、一般人は避けたほうが無難です。

ルールとマナーを守って、安全な登山を楽しみましょう。

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