「ロビンソン・クルーソー」って誰? どんな話? 作者やあらすじを意外と知らない名作を、この際チェック!

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サバイバル小説の金字塔として知られる『ロビンソン・クルーソー』。今回は、本作のあらすじや教訓、時代背景等をご紹介していきます。

小説『ロビンソンクルーソー』とは

まずは、本作が書かれた背景と作者についてを押さえておきましょう。

原作はダニエル・デフォーの小説

『ロビンソン・クルーソー(Robinson Crusoe)』は、イギリスの小説家ダニエル・デフォー(Daniel Defoe)によって1719年に発表された小説です。ロビンソン・クルーソーという青年が無人島に漂着し、祖国へ帰るまでの28年間が描かれています。

物語の最後には、「本人自筆による(Written by Himself)」とロビンソン・クルーソー本人が執筆したかのような演出がされていますが、実際に執筆したのはダニエル・デフォーであり、あくまでも小説です。

作者のダニエル・デフォーってどんな人?

作者のダニエル・デフォーは、1660年ごろ、イギリス・ロンドンの商人の家に生まれました。貿易商を営んだのち、ジャーナリストとして週刊誌『レヴュー』および数多くのパンフレットを発行し、政界でも活躍。しかしながら、度重なる破産や逮捕、投獄生活を経験したりと、波瀾万丈な人生を送ります。
晩年になってから本格的に小説を書きはじめ、『ロビンソン・クルーソー』は彼の代表作となりました。本名は、ダニエル・フォー(Daniel Foe)」です。

ダニエル・デフォー(1660年 – 1731年), Wikimedia Commons(PD)

『ロビンソン漂流記』とも呼ばれる理由は?

本作には、ロビンソン・クルーソーのその後の航海を描いた第2作『ロビンソン・クルーソーのさらなる冒険(原題:The Farther Adventures of Robinson Crusoe)』と、ロビンソン・クルーソーの語りによる宗教をテーマにした随筆調の第3作『ロビンソン・クルーソーの真面目な省察(原題:Serious Reflections of Robinson Crusoe)』の2作の続編が存在しています。

これらとの区別として、主に第一作目を指して、日本では『ロビンソン漂流記』と題されていることがあります。

長すぎる初版のタイトル

初版の正式なタイトルは『自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述(The Life and Strange Surprizing Adventures of Robinson Crusoe, of York, Mariner:Who lived Eight and Twenty Years, all alone in an un‐inhabited Island on the Coast of America, near the Mouth of the Great River of Oroonoque;Having been cast on Shore by Shipwreck, wherein all the Men perished but himself. With An Account how he was at last as strangely deliver’d by Pyrates)』です。あまりにも長くて驚きますよね。「世界一長いタイトル」とさえ言われているのだとか。

初版の内扉。本当にタイトルが長い! Wikimedia Commons(PD)

主人公のモデルとなった人物

物語の主人公は、あくまでもロビンソン・クルーソーという架空の人物です。しかしながら、多少のモデルは存在し、それはスコットランドの航海長・アレキサンダー・セルカークであるとされています。

アレキサンダー・セルカークは、航海の途中で、太平洋上の無人島に取り残されたことがあります。そこで5年あまり暮らし、救われてイギリスに帰還後、この経験を新聞で紹介しました。ダニエル・デフォーはこの話から着想を得て、本作『ロビンソン・クルーソー』を執筆したと考えられています。

あらすじ・ストーリー紹介

ここでは『ロビンソン・クルーソー』のあらすじを見ていきましょう。「詳しいバージョン」と「簡単なバージョン」の2種類にまとめました。

詳しいあらすじ

中流階級の家に生まれながら、航海に憧れを抱いていたロビンソン・クルーソーは、両親から反対を受けながらも船乗りになりました。最初の航海で嵐に遭遇し難破寸前となるものの、再びアフリカ行きの船に。しかし、海賊に襲われ囚われの身となり、2年もの間、ムーア人の奴隷になってしまいます。

どうにか脱出したロビンソン・クルーソーは、今度はブラジルに上陸し、農園の経営に成功します。そして、働き手となる奴隷を求めて再び航海に出ると、またもや船が難破し、今度はひとりで無人島に漂着してしまいました。そして、28年もの間、彼はひとりでのサバイバル生活を送ることとなったのです。

無人島では、水や食料、物資を確保。限られた物資で住居を建て、狩りや農業で食料を増やし、貯蔵庫に保存します。犬やオウム、海鳥、羊など動物も飼い始めたりしながら、はじめは困難を伴ったものの、時には孤独と恐怖に耐えつつも、島での生活に前向きに向き合うクルーソー。自然と調和する技術や知識、そして、孤独な生活における心の糧となる信仰心を身につけて、生き延びていきます。

無人島生活がはじまって10年が経ったある日、クルーソーは原住民に襲われている男性を助け出しました。フライデーと名付けられたその人物はクルーソーに忠誠を誓い、クルーソーに自分たちの文化を伝えていきます。

さらに月日が経ち、無人島にイギリスの船がやってきました。船内で起きていた反乱を止めたクルーソーは、故郷への帰還をためらいながらも、フライデーとともに島を発ち、ふたたび人間の世界へと戻っていきます。

これで、28年にもおよんだ無人島での生活は終わり。持ち金もなく途方にくれてしまったクルーソーでしたが、昔の仲間たちに助けられたりしながら、以前経営していた農園の権利を取り戻して、大金持ちになります。家庭を持ったクルーソーは、妻の死後は甥の船に乗って、ふたたび旅に出ていくのでした。

簡単にまとめると…

船乗りに憧れて航海へと出たクルーソーは、旅先で船が難破したことで、無人島に漂着してしまいます。さまざまな困難に立ち向かいながら、創意工夫によって28年間ひとりきりで生き延びたクルーソーのサバイバル生活の物語。

物語から得る教訓

 

『ロビンソン・クルーソー』から得られる教訓のひとつが、「どんなに絶望的な状況でも、決して諦めないこと」ではないでしょうか。

無人島に漂着したロビンソン・クルーソーは、孤独でかなり絶望的な状況に置かれていながらも、あきらめずに工夫を凝らして生き延びていきます。つらい状況に直面したときも、ロビンソン・クルーソーのことを思い出せば、その生命力・精神力にきっと勇気づけられるはず。

欧米で刊行された『ロビンソン・クルーソー』の挿絵。Wikimedia Commons(PD)

主な登場人物

ここでは、ロビンソン・クルーソーの主な登場人物を押さえておきましょう。

ロビンソン・クルーソー

親の反対を押し切って船乗りとなった主人公。ブラジルで農園の経営で成功しますが、アフリカに働き手となる奴隷を探しに行く途中で船が難破します。そして、漂流した先の無人島で暮らしていくことになり……。

フライデー

無人島で、人に食べられそうになっていた捕虜。自分を助けてくれたクルーソーに忠誠を誓う。

ロビンソン・クルーソー島との関連

 

南米チリ沖のファン・フェルナンデス諸島のなかに、「ロビンソン・クルーソー島」という島があるのをご存じですか?

ロビンソン・クルーソーのモデルとなったと言われるアレキサンダー・セルカークは1704年から1709年までの間に無人島で暮らしていましたが、この無人島というのが、ファン・フェルナンデス諸島の島でした。

そのことから、1966年、チリ政府は諸島のなかのマス・ア・ティエラ島を観光客を引きつけるための策として「ロビンソン・クルーソー島」に改名。
ただし、小説に登場する島はカリブ海を舞台としているので、実際には『ロビンソン・クルーソー』とは無関係です。

ロビンソン・クルーソー島のサン・ファン・バウティスタの町から海をのぞむ。Photo by Richard N Horne , Wikimedia Commons

「ロビンソン クルーソー」を読むなら

最後に、『ロビンソン・クルーソー』を読む際におすすめの書籍をご紹介していきます。

少年少女世界の文学 ロビンソン・クルーソー(小学館)

カラー名作 少年少女世界の文学 ロビンソン・クルーソー

1969年に小学館より刊行されたカラー版名作全集『少年少女世界の文学』シリーズの『ロビンソン・クルーソー』。カラーイラスト&子どもに読みやすい文章で構成されているので、はじめての『ロビンソン・クルーソー』におすすめの一冊。ルビのふられていない漢字もあるので、小学校高学年以上の子に向いています。

ロビンソン・クルーソー (河出文庫)

ロビンソン・クルーソー (河出文庫)

河出文庫から刊行された『ロビンソン・クルーソー』。一人称を「ぼく」とし、「イケメン」や「ヘタレ」など、現代語もふんだんに盛り込まれた新訳版です。軽い読み口にはなるものの、現代人にも親しみやすいと定評がある一冊です。

ロビンソン・クルーソー 上 (岩波文庫)

ロビンソン・クルーソー 上 (岩波文庫)

1967年発刊の完訳版。上巻には『ロビンソン・クルーソー』の物語として一般的に知られる漂流物語が、下巻にはその続編が収録されています。オリジナルの雰囲気を味わいたい方には本書がおすすめです。

大人も十分に楽しめる迫力満点の冒険譚!

今回は『ロビンソン・クルーソー』のあらすじや教訓、作者についてをご紹介してきました。

昨今では「子ども向け」のイメージが強い作品ではありますが、実際には、大人でも十分に楽しめる迫力満点の冒険譚です。未読の方は、ぜひこれを機に読んでみてくださいね。

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文・構成/羽吹理美

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