アイルランド(アイルランド共和国)とは?
まずは、アイルランド(アイルランド共和国)がどんな国なのか、その周辺国との位置関係や基本情報を見ていきましょう。
どこにある国?
アイルランド島はヨーロッパの北西、グレートブリテン島の西隣に位置する島で、そのなかでも、“アイルランド=アイルランド共和国”は南西部の大部分を指します。
北部に位置する“北アイルランド”と呼ばれる地域は、グレートブリテン島のイングランド・スコットランド・ウェールズとともに、イギリス(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)の一部となっている地域です。
基本情報
ここからは、アイルランド共和国の基本情報をチェック。
首都
アイルランドの首都はダブリンです。アイルランド島の東部に位置します。
人口
人口は約450万人で、イギリス領の北アイルランドを含めたアイルランド全島でも600万人程度とされています。これは、日本でいえば千葉県の人口にほぼ等しい数。25歳以下の若年層の人口が多く、人口の約36%を占める点も、この国の特徴です。
面積
7万300平方キロメートル。北海道と同じくらいの面積と言われます。
言語
アイルランドの公用語は、アイルランド語と英語です。
元々は大部分がアイルランド語話者でしたが、イギリスに植民地化されていた時代に英語話者が大半となり、現代のアイルランド人のほとんどが英語を母語としています。
時差
日本とアイルランドとの時差は9時間です。日本の方が9時間進んでいます。サマータイム採用時は、8時間差に変わります。
アイルランドの歴史
複雑な歴史を持つアイルランド。そのざっくりとした概略と、イギリスとのデリケートな関係についてを簡単にお伝えします。
アイルランドの歴史・概略年表
・紀元前8000年頃〜:先史時代
・紀元前数世紀頃〜5世紀はじめ頃:ケルト民族による支配がはじまる
・5世紀初め頃~8世紀頃:キリスト教が布教される
・8世紀~11世紀:ヴァイキングに侵略される。
・12世紀~14世紀:ノルマン人に侵攻されるが、アイルランドに入植したノルマン人の勢力をイングランドが抑える。イングランドの支配下に。
・14世紀~15世紀:アイルランド人の抵抗により、イングランド支配が減衰する。
・16世紀~19世紀:再びイングランドによる支配が強まる。
・19~20世紀:アイルランド独立運動が起こり、独立する。
アイルランドとイギリスの関係について
概略からでも見て取れるとおり、アイルランドはさまざまな民族からの侵略や支配を受けながら変遷してきた国です。その中でも、最も長期にわたっていたのが、イングランドによる植民地支配。
なかでも特筆すべきは、1840年代、アイルランドで主食であったジャガイモが不作となり、多くのアイルランド人が亡くなった「ジャガイモ飢饉」の際に、それでもイギリスが小麦の輸出を緩和しなかったために、大量の餓死者や移民が発生し、アイルランドの人口が激減したという出来事。このことが、両国の対立をより深めたと言われます。
以降、両国の間ではさまざまな独立運動や戦争が勃発。1949年に、アイルランドの南部は独立しましたが、現在もイギリスの一部となっている北アイルランドの独立問題は解決していません。
現在のアイルランドとイギリスは、基本的には対等な関係を保てています。しかしながら、いまだにアイルランドとイギリスに関する話題はデリケート。アイルランド人と話す際、迂闊にイギリスとの関係性や北アイルランド問題を話題にするのは避けるほうが無難です。
アイルランドの特徴は? 食文化から、文化、気候まで
ここでは、アイルランドの食文化や文化、風習など、独自の魅力をご紹介していきます。
代表的な食べ物・食文化
アイルランドの主食はジャガイモとパンで、肉は豚肉や羊肉に加えて、牛肉もよく使われます。
アイルランドを代表する料理としては、羊肉を使ったアイリッシュシチューや、牛肉を使ったギネスシチューなどが有名です。一年を通して雨が多く、比較的涼しい気候のアイルランドでは、このような身体のあたたまる食べ物も人気のようです。
アイリッシュパブ発祥の地
アイリッシュパブは、その名のとおり、アイルランドのパブを指します。
「パブ(=パブリック・ハウス/Public House)」とは、イギリスで発達した、気楽にビールやウイスキー、おつまみなどを楽しめる酒場のこと。
しかしながら、アイルランドにおけるパブは、飲食だけでなく雑貨屋などと兼業しているお店が多い点が特徴です。現地のパブによっては、アイリッシュ・ミュージックや、伝統楽器を使った生演奏を聞かせてくれるものもあるのだとか!
自然災害が少ない
また、アイルランドは、地震や火山、台風などがなく、日本と比べれば自然災害が少ない国としても有名です。
雨の日が多く、短時間で天気が変わりやすい一方で、年間を通して極端な気象はなく、積雪や、厳寒も少ないと言われます。
妖精の逸話が多い国
ケルト人が伝承した神話や物語には、妖精たちがたびたび登場します。そんなケルトにルーツを持つアイルランドには、妖精の逸話が多い点も特徴です。
妖精にまつわるジンクスを信じて、ドアの外へ水をまいたり、ウイスキーの最初の1杯を妖精のためにとっておいたりすることは、少し前までは当たり前の風景だったのだとか。現在でも、妖精に関する信仰やジンクスは、アイルランドに根強く残っているそうです。
人気の観光スポット4選
自然が豊かで、歴史ある建造物も多数残っているアイルランドは観光スポットも充実しています。ここでは、アイルランドに行ったら是非立ち寄りたい観光名所をチェックしておきましょう!
ダブリン城
首都・ダブリンに位置するダブリン城は、アイルランドの定番観光スポット。ヴァイキングの砦があった地に1204年に建てられ、1922年まではイギリスの総督府が置かれていた、アイルランドが歴史が凝縮された古城です。ステンドグラスで彩られた内部や、美しい庭園も見どころ。
聖パトリック大聖堂
同じくダブリンに所在する聖パトリック大聖堂は、1191年に創設されたアイルランド最大の大聖堂です。ゴシック様式の荘厳な装飾や、礼拝堂のステンドグラスは誰もが見惚れる美しさ。
『ガリバー旅行記』の作者でもあるイングランド系アイルランド人の諷刺作家および司祭のジョナサン・スウィフトが、司祭を務めた時期があることでも有名です。
テンプルバー
せっかくアイルランドに行くのなら、ぜひ立ち寄りたいのがアイリッシュ・パブです。テンプルバーは、1000軒近くのアイリッシュパブ、レストラン、映画館などが集まる「アイリッシュパブの聖地」と呼ばれるエリア。同名のパブもまた、1840年から愛され続ける名店です。お酒はもちろん、タイミングによっては伝統音楽の生演奏が楽しめる場合も!
ニューグレンジ
アイルランドを代表する世界遺産・ニューグレンジは、ダブリンの北西に位置します。
ケルト時代以前に建てられたとされる巨大古墳で、その歴史はなんと5000年。アイルランド神話では妖精の塚とされているのだとか! 個人では見学できないので、ツアーに参加しましょう。
好奇心が刺激される国! 気になるポイントを深掘りしてみては
今回は、アイルランドの基本的な情報から、歴史、観光名所等をご紹介してきました。
豊かな自然に恵まれているほか、独自に発展したパブ、ケルトにルーツのある文化等々、好奇心の刺激される要素がたっぷりの国でしたね。旅行で訪れる際は、気になるポイントを深掘りしてみてくださいね。
こちらの国もチェック!
文・構成/羽吹理美