特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」とは
![会場入り口の様子](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530150457.jpg)
従来の恐竜展といえば、主役は「化石」ですが、こちらでは「パレオアート(=古生物美術)」のロマンあふれる世界、想像の旅を楽しむことができます。「恐竜といえば子どものもの」という先入観を打ち壊す、「大人たちが楽しむ美術空間」を、どうぞお楽しみください。
特別展「恐竜図鑑展」のみどころ
2大巨匠が競演「ナイト」と「ブリアン」を堪能して
パレオアートの2大巨匠である彼らの作品は、日本の図鑑などにも模写され、恐竜イメージの普及に大きな影響を与えました。
「子どもの頃は恐竜が好きだったんだ」という大人の方は、彼らの絵が掲載された恐竜図鑑を見て育ったはずです。
![チャールズ・R・ナイト《白亜紀―モンタナ》1928年 油彩・カンヴァス 38.1×96.5cm プリンストン大学 © Trustees of Princeton University / Image courtesy of the Princeton University Art Museum](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530155338.jpg)
チャールズ・R・ナイトは、19世紀末から20世紀前半にかけてアメリカで活躍した人です。
もともと野生動物画家だったナイトは、生物学的知見に基づき、恐竜をいきいきとした姿で描いて現代によみがえらせました。彼の作品は、アメリカ自然史博物館やフィールド博物館で使用された他、映画「ロストワールド」(1925)や、「キング・コング」(1933)にも影響を与えました。
![ズデニェク・ブリアン《タルボサウルス・バタール》1970年 油彩・カンヴァス 56 x 42.5 cm モラヴィア博物館、ブルノ © Jiří Hochman - www.zdenekburian.com and Fornuft s.r.o. / Moravské zemské muzeum, Brno](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/E198-2584-1.jpg)
ズデニェク・ブリアンは、20世紀半ばから後半にかけてチェコで活動した人です。
当時の化石発掘の中心地であったアメリカから遠く離れた東欧圏は、直接化石を研究できる機会が限られていました。その環境にありながら、ヨーロッパ美術のリアリズムの伝統を踏まえた彼の作品は、国際的に高く評価されました。
会場では、かつての恐竜少年、少女だった皆さんが夢中で読んだ恐竜図鑑に描かれていた恐竜画のオリジナルが大集結しています!
奇妙な恐竜たちの復元画
![ジョン・マーティン《イグアノドンの国》1837年 水彩・紙 30.2×42.6cm ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ、ウェリントン Gift of Mrs Mantell-Harding, 1961. Te Papa (1992-0035-1784)](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530151350.jpg)
本展では、19世紀の「恐竜発見」から間もない時期に描かれた、貴重な作品も出品されています。
ジョンマーティンによる「イグアノドンの国」は、イグアノドンの化石を発掘し、恐竜を発見した男として知られるギデオン・マンテルの依頼によって描かれたものです。
19世紀の復元画は、イグアノドンが四つん這いで鼻の上に角が生えた姿で描かれるなど、現代の我々からすると奇妙にうつりますが、歴史的価値とともに、その奇妙さもまた魅力です。
現代の恐竜画の旗手たちが集結
![小田隆《篠山層群産動植物の生態環境復元画》2014年 アクリル・カンヴァス 115×160cm 丹波市立丹波竜化石工房 ©小田隆/丹波市](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/E198-2587-1.jpg)
1960年代から70年代にかけて、恐竜像に「鈍重な生き物」から「活発に動く恒温動物」へと「恐竜ルネッサンス」とも呼ばれる大きな変革がもたらされます。それにともない、恐竜画もさらなる進化をとげ、新たな恐竜のアーティストが次々と登場します。なかでも、現代日本を代表するパレオアーティスト、小田隆の作品は圧巻です。CGを使わず、圧倒的な迫力を生み出す肉筆画は必見です。
美術館のマナーを守って、親子で観賞しよう!
![会場には、こんなジュニアガイドもあります。](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530150404.jpg)
- 恐竜についてある程度の興味と知識があって、落ち着いて鑑賞できる年齢のお子さんなら、本展はとても楽しめる内容です。
- ですが、美術館は美術作品が多数ある場所なので、館内を走ってしまうと、周りの方への迷惑だけでなく、作品を傷つけたり壊したりしてしまう危険性があります。行く前にお子さんとしっかりお約束ができているといいですね。
我が家も、今回は年少娘は留守番で、小1の息子と夫の2人で行ってもらう予定です。ぜひ、貴重な機会をお子さんとも楽しんでくださいね。
ちょっとした予備知識でワクワク感をーお子さんと楽しむためキーワード
お子さんと行かれる際には、事前に少しだけ準備をしておくと、より楽しめると思いますので、3つのキーワードをご紹介します。
パレオアートってなに?
![](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530155543-1.jpg)
パレオアートとは、「科学的証拠に従って、文字による資料のない時代の生活を描写しようとするオリジナルの芸術作品」のことです。
恐竜展といえば化石の資料が主役で、それを生物学的に、古生物学の見知からどういったものだったのかを検証するような展覧会が、博物館で開催されることが多いですね。
今回は、そういった化石資料などの横に、ちょっと脇役っぽく置かれている「生態復元図」といわれるもの。
それぞれの恐竜や、太古の昔に生きていた爬虫類が「どういう姿をしていたのか」「どんなふうに動いていたのか」想像で補いながら絵にしたものが集められています。
そういったものは、化石の横によく、実物の絵画とは限らず複製などが置かれるものですが、そちらにあえて着目して、それを1つの絵画として捉えたのが今回の展覧会です。
「デイナの恐竜図鑑」の化石ガール「メアリー・アニング」覚えてる?
Eテレで大人気だったデイナの恐竜図鑑「第8回 化石ガールズ」を観て、メアリーアニングの名前を知ったお子さんもいらっしゃるでしょう。このメアリー、今回の恐竜図鑑展にも登場しますよ!
![デイナの恐竜図鑑「第8回 化石ガールズ」](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG_20230606_102316.jpg)
知らない人も大丈夫。
メアリーは1799年イギリスに生まれた女性です。
貧しく、化石を掘り出し、お土産として売る商売をしていましたが、それまで知られていなかった未知の生き物をたくさん見つけて、19世紀の古生物学の発展に非常に大きく寄与した人です。
彼女の功績を称えるために、また、彼女に経済的に見返りが少なかったのを補うために、
友人が、彼女が見つけた生き物を図鑑のように集めた絵を描いて、彼女の功績を知らせました。どんな絵でしょう?ぜひ会場で探してみてくださいね。
\メアリーの事がわかる、おすすめ絵本/
イグアノドンの姿の「どこがどう変わっていくか」観察してみよう。
![会場ではこんな映像コーナーで、子どもにもわかりやすい解説があります。](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530150757.jpg)
今回の展覧会では、恐竜という存在が人間に知られてから今日にかけて、約200年の間で変わっていった経過を知ることができます。
その時々の生物学的な知識が増えるのに従って、恐竜の姿がどんどんクリアになっていく。「どこがどう変わったか」というところに着目してぜひ観察してください。
![恐竜図鑑展公式キャラクター「イグアノドンさんきょうだい」](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/img-special.15424a8c.jpg)
公式グッズ
会場では絵画のポストカードはもちろんのこと、他にも公式グッズが多数ありましたよ。
おすすめ! 公式図録
![図録 全264ページ 220㎜×210㎜](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230603124341.jpg)
本展の図録は表紙の金箔が豪華で美しい一冊です。全出品作品の図版をカラーで掲載されている他、エッセイも多く収録されていて、読み応え抜群です!(¥3,000)
リサとガスパールのコラボグッズ
![](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530162123.jpg)
![](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530162203.jpg)
イグアノドン3兄弟のグッズ
![](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530162412-1.jpg)
恐竜図鑑展公式グッズ
公式HPに掲載しきれていないグッズも沢山ありました!
![](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530162247.jpg)
楽しみ方が幾通りも!
![こんな写真スポットも!](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2023/06/IMG20230530160506.jpg)
今回、これからご覧になる方の楽しみを奪わないよう、実際の絵画の写真は少なめにしてありますが、会場の絵画はどれも大変美しく、見ごたえがあります。
しかしそれだけでなく、これが描かれたその背景やその時代、また当時それを観た人々の反応を想像したりと、楽しみ方が幾通りもあり。想いを馳せ、じっくりと眺めたい作品ばかりです。
現在上野では、国立科学博物館にて「恐竜博2023」も6月18日まで開催中です。
恐竜の化石標本とパレオアート、両方が上野で見られる大変貴重な機会ですので、ぜひ足をはこんでみてくださいね。
開催概要
会期 | 2023年5月31日(水)~7月22日(土) |
会場 | 上野の森美術館 (東京都台東区上野公園1-2) |
開館時間 | 会期中無休開館時間10:00 ~ 17:00(土日祝は 9:30 ~ 17:00) ※入場は閉館の 30 分前まで |
公式サイト | 公式HP |
おすすめ恐竜おもちゃもチェック!
![](https://hugkum.sho.jp/wp-content/uploads/2022/12/12D9FC05-30D2-408C-A2D4-26C8E827D315-150x150.jpeg)
【ホウボウ/プロフィール】
6歳息子、3歳娘の母親です。
コロナ禍の子育てを通して、当たり前だった「体験ができること」の大切さとありがたみ、そして「子どもの興味のきっかけは心動く体験だ」と強く感じました。そこで、生き物の中でもとくに恐竜・古生物を愛する長男をきっかけに、「全国の恐竜イベントを探せる恐竜メディア」探究舎https://hnmamablog.com/を制作、運営中。2022年8月月間19万pv超達成。