コミックエッセイ『学校に行かない君が教えてくれたこと』(オーバーラップ)の著者、今じんこさんの息子「もっちん」は小学校に入学して間もなく、「学校に行きたくない」と言い始めます。何とかなだめながら学校に通わせていたら、次第にもっちんに様々な変化が現れたといいます。
落ち着いた性格だった「もっちん」は、入学とともに家で感情を爆発させるように
−−コミックの中に「(もっちんが)入学してから人格が急に変わったみたい」というじんこさんの言葉がありました。もっちんの変化でどんな部分が気になりましたか?
じんこさん:もともともっちんはイヤイヤ期もほとんどなく、落ち着いた子でした。保育園も楽しく通っていて、泣いて暴れることなんてありませんでした。
それなのに、小学校に入学してから、徐々に家で感情を爆発させるようになっていきました。普段わがままなんて言うことのないもっちんがそんなに泣くなんて、よっぽどのことなんだなと思いました。
「荒れた筆箱」がSOSのサインだった
−−そして、じんこさんが気づいたのがもっちんの使っていた筆箱ですよね。具体的にどんな状態だったのでしょうか?
じんこさん:もっちんが小学校に入学してから、そんなに時間が経たないうちに、筆箱が信じられないほど荒れた状態になっていました。
具体的には、
消しゴムがみじん切り(これには激怒してしまいました)
折れた鉛筆の芯がたくさん
短すぎるのに削られていない鉛筆多数(残り数本はランドセルの底に)
筆箱の表側のビニールが裂け、中から綿が出ている
- のような状態です。
「壊れにくい」というレビューを見て購入した新品の筆箱も、あっという間にセロテープの補修だらけになり、黒い塗りつぶしが・・・。
もともと物を大事に扱う子だったので、初めて筆箱の状態に気づいたときは、とても驚きました。
しかし、同じように不登校の子を持つママに話を聞いてみると、「うちもそうだった!」と共感されることがよくあります。他にも名札をぐちゃぐちゃにしたり、服を切り刻んだり・・・という子もいました。でも、学校から離れることで、多くの子の破壊が止まるのです。
身近なものが荒れるというのは、子どもがストレスを抱えているサインのひとつになっているのかもしれません。
子どものストレスサインを見逃さないで!
−−「学校に行きたくない」と言葉に出していなくても、子どもの抱えているストレスに気づくことが必要ですね
じんこさん:もちろん、筆箱がぐちゃぐちゃというのは「低学年男子あるある」でもあるので、すぐにストレスサインとは断定できません。しかし当時、授業参観で見たところ、もっちんほど筆箱が荒れている子はいませんでした。ですから、ちょっと度を超えた荒れ方だったり、「今まではこんなことなかったのに・・・」と思うことがあったら、お子さんの様子をよく見てみてください。
−−今のもっちんの筆箱はどうですか?
じんこさん:もっちんが学校に行くのをやめてからは、このようなことはなくなりました。もっと早いうちからあれがストレスサインだったと気付いてあげられたらよかったです。
筆箱はボロボロになってしまったけれど、子どもが自分自身を傷つける前に身代わりになってくれてありがとう、ごめんねという気持ちです。
「特に低学年のうちは、溜まったストレスをなかなか言語化できないと思う」というじんこさん。この筆箱のように子どもの発する小さなサインや、「学校に行きたくない」という気持ちを軽く見ず、見逃さないようにしたいものです。