人間の体は浮かない!静かに、一瞬で沈む
皆さんは、人間の体が水中にドボンと落ちた時、どうなると思いますか?
事故のニュースを聞いた第三者からは「どうせ親が目を離してたんでしょ?」という声が上がりますが、実際は「親が魚捕り網を岸に置いて、振り返ったらもう子どもの姿がない」という一瞬の出来事だったりすることもあるそうです。その時、水が濁っていたら?流れがあったら?悲しいニュースの背景はさまざまです。
カヤック競技者だった森重さんが小学校教諭として現場に出ると、当たり前のライフジャケット着用が当たり前でない現実を目の当たりに。自分の勤務校では、全児童分のライフジャケットを準備してもらった矢先、市内の児童が亡くなってしまう…という事故が起こってしまい、動かずにはいられなくなりました。
「ライフジャケットをつけて、ようやく顔が出るんです。ライフジャケット着用が子どもを守る鍵になります」(森重さん)
香川から全国へ「ライフジャケット レンタルステーション」設置
こうして森重さんは、まずは地元・香川県からライフジャケット普及活動を展開することにしました。
2019年、企業からの支援を受け、香川県に50着のライフジャケット寄付からスタート。学校などの行事で子どもたちが水辺で活動する際、無料で借りることができるようになりました。県に寄付したライフジャケットは貸し出し開始と同時に、2カ月先までの予約が埋まるほど盛況だったことを受け、誰もが借りたいときに借りられる仕組みを全国自治体に広げたいと奮闘中です。
香川県を除く46都道府県にライフジャケットの寄贈とともにレンタルステーションの設置を打診したところ、受け入れを表明してくれたのは秋田、埼玉、静岡、長野、大分の5県。今春、この5県への寄贈などを目標にしたクラウドファウンディングが成功すると、さらに三重、群馬県も続き、各地に広がり始めました。
一方で、支援を重ねた香川県は県内自治体に1,000着を超えるライフジャケットが配備され、民間でも独自に設置する動きがあるそうです。
守れる命は守りたい…!
きっと誰もが「あった方がいい」「必要だ」と頭でわかっているけれど、なかなか手にする一歩が踏み出せないところもあるでしょう。
筆者自身も知人が水難事故で家族を失ったことがきっかけで意識が変わりました。ある日突然大切な人が亡くなることほど、つらく、苦しいものはありません。可愛いお子さんを守れる立場にいる人には、避けられる事故を防いでほしい。
過去の事故の裁判では、子どもたちを引率する立場の学校や園などが、「子どもにライフジャケットを着用させる義務があった」と認定された例もあります。
事故が起きてから考えるのは簡単です。というより、考えざるを得ません…。起こる前の今、少し行動してみませんか?どうか手に取る一歩を、着用を習慣化する一歩を踏み出してください。水辺で遊ぶ時はライフジャケット着用を!
おすすめのライフジャケット「フリーダム Kid’s」|montbell(モンベル)
大人用モデルの機能や浮力体を装備しながら、子どものための安全機能と使いやすさを考慮して作られたライフジャケット。水中でのずり上がりを防ぐクロッチ(股)ベルト付き。フロントオープンで着脱しやすいタイプなので、水辺で遊ぶ際にも使いやすい。柔らかくてへたりにくい高性能フォーム(浮力体)を使用。耐久性の高さも魅力。
色はピンク、イエロー、ブルーの3色。
キッズサイズは、85〜125cm、125〜155cmまでの2サイズ。
●85〜125cm用
●125〜155cm用
子どもたちと読んでほしい絵本「かっぱのふうちゃん」
シートベルトをせずに車を運転していた昔(1992年より一般道での着用義務化)が信じられないように、「ライフジャケットなしで水辺に近づくなんて信じられない」と思う日がすぐそこまで来ている予感がしました。
そんな近い未来を担う子どもたちと読んでほしい絵本があります。
『かっぱのふうちゃん ライフジャケットでスイスイ』は、ライフジャケット着用の大切さ、つけ方、水辺で遊ぶときのルールをわかりやすく紹介しています。“ライジャケサンタ”として活動している森重さんが絵本の世界でも活躍!図書館に所蔵されていることもあるので、ぜひ小さなお子さんと一緒に読んでみてください。
子どもたちにライジャケを!
かっぱのふうちゃん紹介ムービー
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文・構成/中井 緑