消極的でママべったりの4歳の息子。 小学校に入っても、友達とうまく 遊べなかったらどうしよう【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

内向的な息子のおとなしさが物足りなく感じてしまうのですが…

年中になる4歳の息子は、赤ちゃんのころからおとなしくて内向的。外遊びも得意ではありません。公園でお友達と遊ぶように言っても、すぐ私の元に来て、離れません。夫も私も小さいころからずっと活発なタイプだったので、我が子のおとなしさが物足りなくて仕方ありません。「うちの子はやんちゃで」と言ってみたかった、なんて思ってしまいます。これから小学校に向けて、もっと活発に遊んでほしいのですが。

心配するよりも、まず子どものありのままを受け入れて。人は花開く時期もまちまちです

『大器晩成』という言葉、ご存じですよね? 大きな器ほどでき上がるのに時間がかかるもの。人は花開く時期もまちまちです。

ママ自身に質問です。あなたが今の自分になったのはいつ? 自分を振り返ってみましょう。人見知りすることなく、周囲の人にあいさつできるようになったのは何歳くらいか覚えていますか?

子どもにこうなってほしい、はママ自身の自分への願いかも

「子どもにこうなってほしい」「こんな子になってほしい」という願いは、本当はママ自身の自分への願いではないかしら。やきもきしても子どもは変わりません。

子どもでなくて「私」が今、輝いているかどうか。自分の人生をママ自身が、まずは磨きましょう。

親のあなたにできることは子どもを心配することより、今の状況を受け入れること。先を追いかけると、今を否定することになってしまいます。まずは、現状の我が子をよしと認めてください。

幼児のママほど親が力を入れていい人に育てようとする傾向があるのだけど、外で遊べない子だから一生外で遊ばない子になるわけじゃない。

おとなしすぎて物足りないというのも、一生そのままとは限りません。だって、まだ年中さんですから。今、満開に花開く必要はないはずで、成人した後で十分じゃない。熟成するのが、中年以降という人だっているわけですから。

私事ですが、去年、中学校の同窓会に参加したんです。そこで55年ぶりに再会した同級生たちは、それは変わり果てていました。

給食の牛乳が飲みほせないほど、食が細くて影が薄かった男子が、今や何人もの従業員を抱える社長さんになっていたりね。早咲きのスポーツマンタイプで、目立っていた男子はちょっとしょぼくれちゃってたかな。孫が○人いますって人もいれば、3度目の結婚しましたって人もいれば、これから初婚ですって人もいました。もともとは同じ中学で同じように勉強をしていた同級生だったのに、人生ウン年たつと、こうも変わるのね。

焦らずにこれからの子どもの成長を楽しみにして

まさに“人生いろいろ”。さっさと熟していく子もいれば、ゆっくり熟していく子もいる。だから、幼稚園時代の子どもの性格で、これからの人生すべてが決まるなんてこと、絶対にないですから。焦らずにこれからの子どもの成長を楽しみにしましょう。

そうはいっても、子どもが小さければ小さいほど期待が強いのは仕方ないこと。だって、可能性がたっぷりあるんですもの。で、活発でやんちゃな子がうらやましいっていうけれど、やんちゃな子はやんちゃな子でこれまた大変なんですよ。

隣の芝生は青く見えるものです。ないものねだりはやめて、まずは、ありのままの子どもを引き受けましょう。

記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。

イラスト/海谷泰水

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