「水うちわ」って何? 普通のうちわとの違い、その他の夏向け伝統工芸品もあわせてチェック

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「水うちわ」という名称を、初めて耳にした人は多いのではないでしょうか。普通のうちわとは一味違った、水うちわのデザインや使い方を解説します。風鈴・扇子・提灯など、日本の伝統的工芸品の中から夏向けのアイテムも確認し、暑い夏を乗り切りましょう。
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水うちわとはどのようなアイテム?

あまり聞き慣れない水うちわは、どのようなアイテムなのでしょうか。まずは、水うちわが誕生した地域や特徴を解説します。

岐阜の伝統的工芸品

岐阜県美濃市で誕生した水うちわは、竹と手すき和紙で作られた伝統的工芸品です。竹林や川が豊富な岐阜県と、手すき和紙の製造が盛んな美濃市の風土から、水うちわが誕生したといわれています。

岐阜のうちわ Photo taken by Opqr ,Wikimedia Commons

ちなみに、伝統的工芸品の条件は以下のような五つがあり、全てを満たす必要があります。

●主に日常生活に使われるもの
●製造過程における主要部分が手工業的
●伝統的な技術、または技法によって製造
●伝統的に使われてきた原材料を主として製造
●一定の地域で、少なくない数の者が製造を実施または従事している

その上で「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて経済産業大臣からの指定を受け、伝統的工芸品として登録される流れです。なお、2022年11月時点で、水うちわを含めた240品目が伝統的工芸品に指定されています。

参考:
伝統的工芸品|経済産業省
伝統的工芸品産業の振興に関する法律 | e-Gov法令検索

水うちわと一般的なうちわの違い

水うちわと一般的なうちわは、どのような点が違うのでしょうか。一般的なうちわにはない、水うちわの特徴を紹介します。

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透明感のあるデザイン

水うちわの大きな特徴は、向こう側が透けて見えるほどの涼しげなデザインです。透明感があるといっても、プラスチック・ガラスなどの素材を使用しているわけではありません。水うちわの透明感の正体は、「雁皮紙(がんぴし)」です。

「美濃手すき和紙」とも呼ばれる雁皮紙は、職人たちが1枚ずつ手作業で仕上げます。雁皮紙を貼った上から防水性のある天然ニスを塗るため、一般的なうちわよりも透明感が出るのです。

水に浸して使える

ニスでコーティングしている水うちわは、水に浸して使えます。夏の暑い日、うちわであおいでいるにもかかわらず、それほど涼しくならないという経験をした人は多いのではないでしょうか。うちわはあくまでもその場の空気をあおいでいるだけなので、暑い場所だと生ぬるい風が送られてきます。

一方で水うちわは、うちわを濡らした水が蒸発する際の気化熱を利用できるため、一般的なうちわに比べると涼しい風を感じやすいのです。しかしニスを塗っているとはいえ、水うちわの材料も一般的なうちわと同じ竹と和紙です。完全な撥水加工を施しているわけではないので、水に長時間浸して使うと劣化のスピードが速まる恐れがあるので注意しましょう。

通販で買える水うちわ

ここでは実際に水うちわを入手したい方のために、ネットで購入できる水うちわの一部をご紹介します。工芸品なのでお値段の張るものもありますが、美しいデザインと手になじむ造りにすっかり魅せられてしまう人も多いでしょう。数ある絵柄のうち、お気に入りの一品を見つけてみてください。

カミノシゴト(家田紙工)水うちわ

安藤商店 瓢型 水うちわ

竹製 透明 水うちわ

水うちわ以外の夏向け伝統的工芸品

日本には、水うちわ以外にも涼しげな伝統的工芸品が存在します。特に夏向けな、4種類の伝統的工芸品を確認しましょう。

青森県「津軽びいどろ(風鈴)」

津軽びいどろは、陸奥湾の近辺で作られていた漁業用浮玉の製法を生かしたガラス工芸品です。津軽半島の西側にある「七里長浜」の砂が、昔ながらの「宙吹き」という技法でガラス製品へと生まれ変わります。

宙吹きの技法とは、1,000度以上の高温で溶解したガラスを巻き取り、職人が息を吹き込む技術です。従来の緑色に加えて、ピンク・青・黄・白といった鮮やかな色の商品も誕生しています。

特におすすめなのが、津軽びいどろを使った風鈴です。繊細な色づかいの風鈴は、涼やかな音色が夏の暑さを和らげます。暑い夏には津軽びいどろの風鈴を飾り、海岸の涼しい雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。

参考:青森県の伝統工芸品(津軽びいどろ)|青森県庁ホームページ

【津軽びいどろ 風鈴 涼 (すずみ)】

滋賀県「近江上布(浴衣)」

近江上布(おうみじょうふ)は、滋賀県の湖東地域・愛知郡周辺で作られており、涼しげな麻生地とかすり模様が特徴的な織物です。湖東地域で作られる麻布は品質がよく、江戸時代には「高宮布」として重宝されていたといわれています。

肌ざわりのよさはもちろん、吸水性と乾燥性に優れた麻で作られた近江上布の浴衣は、汗をかきやすい夏にぴったりの商品です。花火・祭りといった夏のイベントにも向いているでしょう。

参考:近江の麻織物について伝える・育む|近江上布伝統産業会館

近江上布の反物

京都府「京扇子」

約1,200年の歴史を持つ京扇子は、竹・紙・絹などを使用した伝統的工芸品です。工程ごとに専門の職人がおり、一つずつ手作業で商品を完成させています。扇面の絵付けにもこだわっており、より高級感を演出してくれるでしょう。

開くと扇型になる扇子は、末広がりの形から縁起がよいアイテムとして知られています。専門家の技術が結集した高品質な京扇子は、多くの人から愛されており、国内で生産されている扇子の大半を占めているほどです。上品なデザインなので夏はもちろん、結婚式や七五三といった和服を着る際にも使えます。

参考:京扇子・京うちわ[京都府の伝統的工芸品等]|京都府ホームページ

【白竹堂 颯蒼(さっそう)扇子セット】

福岡県「八女提灯」

福岡県八女市周辺の「八女提灯(やめぢょうちん)」には、和紙・竹ひごなどが使われています。控えめに描かれた花鳥草木の彩色画が、上品な雰囲気を演出した提灯です。

仏壇の前に飾る盆提灯はもちろん、長い筒型が特徴的な「住吉(すみよし)」やつり下げ型の「御殿丸(ごてんまる)」まで、3,000種類もの商品があります。技法を活用したランプシェードも販売されているので、部屋のインテリアにするのもおすすめです。

参考:八女提灯|公益社団法人・福岡県観光連盟

八女提灯 Photo taken by 高山朱美, Wikimedia Commons

水うちわで夏の暑さを和らげよう

岐阜県美濃市で生まれた伝統的工芸品の水うちわは、竹に雁皮紙を貼った上から天然ニスを塗っているのが特徴です。ニスでコーティングしているため、一般的なうちわと異なり、水に浸して涼しい風を送れます。透明感のある見た目と使いやすさから、アウトドアの場面でも注目されているほどです。

地域住民から愛され続けている伝統的工芸品には、夏の暑さを和らげる素材やデザインといった職人たちの知恵や技術が詰まっています。日本の歴史・文化を感じられる水うちわで、暑い夏を少しでも涼しく過ごしましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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