扇子のおすすめ8選。男性と女性とで持ち方が違う? 扇子トリビア&使うときのマナーもチェック

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扇子は夏の必需品の一つです。屋内・屋外問わず「暑い」と感じたときには、扇子の風が心地よく感じられるでしょう。しかし、種類が多すぎて選べないという人もいるかもしれません。扇子を選ぶポイントを、おすすめや知っておきたい使い方とあわせて紹介します。

扇子の歴史を知ろう

扇子が日本で考案されたことをご存じでしょうか。中国や西洋の絵画に多く描かれているため、外国にルーツがあると思っている人が多いかもしれません。扇子がどのように生まれ、日本で使われてきたか、その歴史を見ていきましょう。

初めはメモ代わりだった?

扇子の原型となる檜扇(ひおうぎ)は、奈良時代には登場していました。当初は木簡(短冊状の板)を連ねたもので、宮中の儀式や式典の順序の覚え書きや、備忘録代わりに使われていたとされます。

平安時代には、扇面に文字だけでなく絵も描かれるようになり、貴族の必須アイテムとして広まっていきました。「蝙蝠扇」と呼ばれる紙張りの扇子が現れたのは、平安時代中期とされています。

現在では雛人形の飾りでしか、ほとんど見る機会がない「檜扇」

日本の扇子(扇)は、もともと片面張りです。しかし、輸出先の中国で開発された両面張りの扇子が逆輸入されて人気を博して以降、そちらが主流となりました。

鎌倉時代に入ると能や狂言、舞などの芸事や茶道などの礼法にも扇子が使われ始めます。戦で指揮をとるのにも用いられるなど、貴族だけのものだった扇子は、時代とともに武士や庶民にも広まっていきました。

海外へも広まる

扇子は長らく、日本の主要な輸出品でした。明治時代になっても、国内で生産される扇子の半数は輸出用だったという説もあります。

海外への輸出が始まったのは16世紀です。美しい絵柄と繊細な作りの扇子は、ヨーロッパ、特にフランスの貴族の間で大流行しました。女性が男性に扇子の動きで気持ちを伝える「扇言葉」もできたほどです。

また、ヨーロッパでは独自の扇子も作られるようになります。扇面に絹やレースを、扇骨には象牙などを用いた「絹扇子」は、一大ブームを巻き起こしました。

17世紀には、パリだけで約150の扇子店があったとされています。日本にも逆輸入され、布張り扇子が広まるきっかけを作りました。

「扇子を持つ女」ルノワール(エルミタージュ美術館) wikimedia.commonsより(PD)

扇子選びのポイント

扇子は専門店や工房だけでなく、アパレルブランドや雑貨店など、さまざまなメーカーから発売されています。どれを選べばよいのか分からない人のために、多くの製品の中から自分に合った扇子を選ぶポイントを紹介します。

素材で選ぶ

扇面の素材は大きく二つで、絹・綿・麻・ポリエステルなどの布製と、和紙でできた紙製です。それぞれに特徴があるので、メリットの感じられる方を選ぶとよいでしょう。

布製は丈夫で水濡れにも強いのが特徴です。扇面を水洗いできるものもあります。紙製に比べるとコンパクトな扇子が多いので、持ち運びの際にも便利です。

紙製は一あおぎでしっかり風を送れます。光沢がある扇面や、グラデーション、ラメなどを用いた扇面などバリエーションも豊富です。

両面に紙を貼ったものなら、どちら側でも絵柄を楽しめます。ただし、水や湿気に弱いので注意が必要です。

骨の本数で選ぶ

扇骨(扇子の骨)の数を、間数(けんすう)といいます。間数は扇子の印象や耐久性、使い心地にも関係するので、選ぶ際には参考にするとよいでしょう。

扇面の絵柄を重視する場合は、間数の少ないものがおすすめです。扇面の凹凸が少なくなるので、絵柄がはっきり見られます。

風を送るという機能性重視なら、間数の多いものを選びましょう。普段使いなら20~35間で十分です。一般的に、間数が多くなるほど価格も高くなります。

扇骨には竹が多く使われています。軽くてよくしなり、効率的に風を送れるからです。

布製の扇子の場合は、アルミやプラスチックも用いられます。竹製よりさらに軽く、デザイン性が高いためです。デザインを重視する人は併せてチェックしてみましょう。

ブランドで選ぶ

江戸扇子や京扇子など、有名な産地の扇子を選ぶのもおすすめです。価格は高めですが、歴史と職人の技術が生きている扇子なら、長く愛用できるでしょう。以下、主な扇子のブランドを紹介します。

「江戸扇子」の骨の数は、15~18本です。シンプルで粋なデザインのものが多くあり、閉じたときにパチッと音がするのが特徴になります。

「京扇子」は材料調達から製造まで、京都・滋賀を中心とした国内で行った扇子です。ただし現在京扇子を名乗れるのは、京都扇子団扇商工協同組合の組合員のみとされています。間数は多めで、華やかで雅な絵柄が特徴です。

「名古屋扇子」のルーツは京扇子にあります。重めの色やはっきりした色の絵柄が特徴で、男性物や祝儀・儀礼用が主流です。

その他、国内の扇骨はほとんどが滋賀県で作られています。「近江扇子」は、扇骨の生産地で骨だけでなく和紙まで張って完成品にしたものです。

さまざまな種類の中からお気に入りのものを

女性向けの扇子おすすめ4選

優しい色遣いや華やかな絵柄など、女性向けの扇子はデザインも楽しめるのが特徴です。和装・洋装を問わずコーディネートのアクセントにもなる、おすすめの扇子を紹介します。

白竹堂「美桜香扇子セット」

柔らかなグラデーションの扇面に八重桜が描かれた京扇子です。ほんのり乗せられたラメが輝き、上品ながらモダンな表情も楽しめます。裏面にも銀の真砂風の装飾、竹製で塗りの親骨には螺鈿象嵌など手の込んだ作りです。

タッセルには正絹の糸と銀糸を用いているので、開いたときだけでなく閉じた状態でも高級感が伝わるでしょう。絵柄をイメージした刺しゅう入りの扇子袋や、本白檀を含んだ香り袋も付帯しています。

550円(税込)で名入れもできるので、自分用としてはもちろん、ギフトにもピッタリです。

保赤軒「扇子 アールヌーボー」

シフォンの涼し気な扇面にシルクスクリーンでアールヌーボー調の模様を描いた、大人っぽい印象の扇子です。グリッタープリントが、シックな中に華やかさも演出してくれます。

製造元の保赤軒は、上絵職人(布の白く染め抜いた部分に紋や模様を描く職人)が立ち上げたブランドです。現代的なデザインと職人の技術が融合した、さまざまな製品を生み出しています。

多くの百貨店で取り扱われており、製品の質も確かです。和装だけでなく洋装にもなじむ、おしゃれなデザインと使いやすさを両立した扇子は、長く愛用できるでしょう。

HAVILAH MODE「花柄 扇子」

綿100%の生地に花柄の刺繡が施されたキュートな扇子です。扇面は丸みのあるシェル型で、洋服のときでも違和感なく使えます。

他の人とかぶりにくい個性的なデザインなので、コーディネートのポイントにしてもよいでしょう。優しいピンクと控えめな花柄の刺繍は、どんな装いにもなじみます。

扇骨の本数は少なめですが、竹製でしっかりした作りです。おそろいの扇子袋に収納すれば、持ち歩きに便利なだけでなく、傷や汚れの心配もありません。

花かんざし「鉄線柄 扇子セット」

光沢のある紺色の扇面に、白と水色で鉄線(キンポウゲ科の植物)の花やつるを描いたシックな扇子です。春から初夏にかけて花を咲かせる鉄線柄は、季節をまたいで長く使えるでしょう。

落ち着きの中に華やかさもある、シックなデザインです。裏面はツヤのある深い紺色一色で、扇面とは違った表情があります。

和紙製の扇面はやや大きめで、しっかり風を送れるだけでなく、製造工程で施された加工であおぐたびにほのかな和の香りも楽しめます。持ち運びや収納に便利な扇子袋付きです。

男性向けの扇子おすすめ4選

男性にはシンプルで落ち着きのあるデザインと、しっかりした大きめの作りの扇子がおすすめです。ビジネスシーンでも違和感なく使える扇子を紹介します。

大阪 長生堂「扇子 かげろう ハンカチ付セット」

80年以上の歴史がある、結納・伝統工芸品の専門店が手掛けたこだわりの扇子です。綿100%でやや厚めの扇面が、しっかり風を送ってくれます。持つ人の年代や服装を選ばない、上品なデザインです。

親骨には塗りを、十分な本数の扇骨には中彫りを施すなど、細部にも職人の技が生きています。裏面は扇骨が見えるようになっており、男性らしい印象です。

オリジナルのハンカチと扇子袋がついているので、プレゼントにもよいでしょう。リーズナブルな価格も魅力です。

白竹堂「紋様土佐和紙扇子セット」

綿100%の扇面に、シンプルな線で描かれたとんぼが目を引くデザインの扇子です。大きめでしっかり風を送れます。落ち着いた色合いで、和装・洋装のどちらにも使えるでしょう。

前にしか進めないとんぼは、「勝ち虫」の呼び名もあります。決して後退しないことから、戦勝を願う武士にモチーフとして好まれました。商談を決めたいときなどに、縁起をかついで携帯してもよいでしょう。

汚れが気になったら手洗いもできます。毎日使うからこそ、清潔さを保ちたい人におすすめです。

青竹京堂「扇子 黒白扇黒骨竹」

黒白に染め分けた一級竹の扇骨が特徴的な扇子です。頻繁にあおいでも手が疲れにくいよう、軽量に仕上げています。

透明感のあるシルクを使用した涼し気な扇面は、見るだけでも清涼感を味わえるでしょう。洋服向けのモダンなデザインですが、落ち着きのある色なので和装にも似合います。おしゃれな男性用扇子を探している人におすすめです。

また、デザインだけでなく品質もしっかりしています。扇骨は十分な本数があり丈夫で、親骨には塗りを施して高級感を持たせています。閉じたときのフォルムもスタイリッシュです。

扇子の使い方

扇子は涼をとる道具ですが、ただ開いてあおげばよい訳ではありません。せっかく使うなら、周囲の人に「涼し気で素敵」と思われたいものです。扇子の基本的な使い方を紹介します。

扇子の開閉は丁寧に

扇子は親骨に手を添えて、ゆっくり滑らせるように開くのが基本です。汚れたり破れたりする恐れがあるので、扇面には触らないようにします。全部開かないのが粋とされていますが、自分の好みでよく、こだわる必要はありません。

閉じるときも同様に、親骨を持ちます。丁寧に扱うことで「落ち着きがある」「上品」というイメージを演出できるだけでなく、扇子を長持ちさせるのにも役立ちます。

左利きの人は、一般的な扇子は開閉しづらく、左手であおぐと自然に閉じてきてしまうかもしれません。近年では左開きの扇子も多く発売されているので、試してみるとよいでしょう。

扇子を使うときの注意点

扇子を使うときは、マナーにも気を配る必要があります。自分にとっては快適でも、周囲に迷惑をかけてしまう可能性があるからです。どのような点に注意すればよいか知っておきましょう。

あおぐときはゆったりと

扇子はゆったりと動かすようにします。暑いとうちわのように使いたくなりますが、扇子で勢いよくあおぐ姿はせわしない印象です。

また、バタバタあおぐと周囲の人に風が当たってしまうことがあります。自分にとっては気持ちよい風でも、隣に座った人は髪が乱れる、読んでいる本がめくれるなどと不快に感じるかもしれません。

自分の胸元からあごへ風を送るように、静かにあおぐことを心掛けましょう。高い位置であおがないのもポイントです。

男性と女性で持ち方が違う?

男性と女性で扇子の持ち方が異なることをご存じでしょうか。持ち方が違う=マナー違反という訳ではありませんが、扇子を持つ手の美しさも大切です。扇子を持っている姿がさまになるよう、持ち方を知っておきましょう。

男性は扇子を持ったときに親指が外側になります。正面から親指が見えるように持つ、と覚えると分かりやすいでしょう。

女性は反対に親指が内側です。指4本を外側にそろえることで、きれいに見えるだけでなく優雅な印象にもなります。

持つのは男女ともに扇子の要(扇骨を留めている部分)に限られます。汚れや破損を防ぐために、扇面や扇骨は持たないようにしましょう。

女性は外側に親指以外の4本の指をそろえて持つと美しい

扇子で夏を涼やかに乗り切ろう

扇子は涼をとるだけでなく、日本の夏らしさも感じられるアイテムです。1本持っておくと、さまざまな場面で活用できるでしょう。夏の暑さの中でも、ゆったりと扇子を使うことで涼し気なイメージも演出できます。

素材や間数、絵柄など自分の好みに合ったものが見つかれば、夏の間手放せない相棒になってくれるはずです。長く使えるお気に入りの扇子で、今年の夏を涼やかに乗り切りましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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