風鈴のおすすめ12選|スタイリッシュなデザインも。素材・産地別で音色がちがう、風鈴の奥深さを楽しむポイント

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風鈴の音色は、夏の熱気も涼し気に感じさせてくれます。清涼感のある響きに癒される、という人も多いのではないでしょうか。日本の夏を象徴するアイテムの一つ、風鈴を選ぶ際のポイントを歴史やおすすめ商品とあわせて紹介します。

風鈴のルーツは「魔除け」?

日本の夏の風物詩として知られている風鈴ですが、もともとは「魔除け」だったことをご存じでしょうか。まずは奈良時代から始まる風鈴の歴史を見ていきましょう。

風鈴の音は聖域を表していた

風鈴の起源は、唐(当時の中国:618~907年)で使われていた「風鐸(ふうたく)」とされています。青銅製の鐘のような形をした風鐸を竹林に吊るし、その音や風向きで吉凶を占いました。

日本へは、仏教とともに奈良時代に伝来したと考えられています。日本では当初、風鐸を寺院の四隅の軒に吊るしていました。風鐸の音がするところは聖域であり、災厄や疫病を防ぐ効果があるとされたためです。

やがて貴族が真似て、風鐸を魔除けとして自分の屋敷でも使うようになりました。平安時代に入ると「風鈴」と呼び名も変わります。

江戸時代以降は「音を楽しむ」ものへ

ガラス製の風鈴が登場するのは、江戸時代半ばです。当初は長崎の商人が、大阪や江戸といった大都市へ売りに来ていました。

しかし、現在の貨幣価値に換算すると1個200~300万円もしたという説もあるほど、当時は高価なものでした。そのため所有できたのは、ごく一部の特権階級だけだったとされています。

江戸時代後期にはガラスの製法が広まり、ガラス製の風鈴も庶民に手が届くものとなりました。涼しさや風情を楽しむアイテムとして定着しただけでなく、浮世絵の題材や俳句の夏の季語にもなっています。

また、屋台に風鈴を吊るした蕎麦屋「風鈴蕎麦」や、天秤棒にたくさんの風鈴を吊るして売り歩く「風鈴売り」も登場しました。「売り声もなくて 買い手の数あるは 音にしらるる 風鈴の徳」と風鈴売りを歌った狂歌も残っています。

現代でも地域によっては風鈴売りの姿を見かけることも

風鈴の種類と特徴

風鈴は素材によって音色が異なります。自分の好みの風鈴を見つけるために、それぞれの特徴を知っておきましょう。

金属製

金属製の風鈴には、鋳鉄(鉄を材料とした鋳物=溶かした金属を型に流し込んで成型するもの)製や銅製、真鍮製などがあります。仏具のおりんのように響き渡る、澄んだ音が特徴です。空気もきれいになりそうな透明感があります。

金属製の風鈴の中でも特に有名なものを見ていきましょう。

・南部風鈴

南部鉄器を使った南部風鈴

岩手県の盛岡市や奥州市を中心に作られる鉄鋳物、南部鉄器を用いた風鈴です。外観は素朴で重厚感があり、澄んだ高い音で鳴ります。近年では従来の釣鐘型だけでなく、デザインに凝ったものも増えてきています。鉄を主原料としているため、さびやすいので注意が必要です。

・小田原風鈴

砂張(さはり:銅にスズや鉛を加えた合金)や真鍮を用いた小田原鋳物製の風鈴です。仏具のお鈴に似た、涼やかで余韻のある音がします。小田原鋳物は現在の神奈川県小田原市周辺を中心に、室町時代から作られていたとされる伝統工芸です。

・高岡風鈴

国産銅器の約90%を占める富山県高岡市の高岡銅器(銅を材料とする鋳物)や真鍮などを用いた風鈴です。透明感のある伸びやかな音が特徴になります。銅は耐食性に優れているので、屋外で使用してもさびる心配がありません。

仏具の生産が盛んな高岡銅器の風鈴

ガラス製

ガラス製の風鈴は、涼し気な雰囲気と「ちりん」「ころん」といったかわいらしい音が魅力です。形や色、絵柄などさまざまなデザインの風鈴が販売されています。比較的手頃な価格で購入できるのもメリットです。

・ 江戸風鈴

江戸風鈴はガラス製風鈴の代表格です。江戸時代から同じ製法で作られていることから、老舗・篠原風鈴本舗の二代目当主によって命名されました。

篠原江戸風鈴(Amazonより)記事内に購入リンクあり

江戸風鈴を名乗れるのは、二代目が認めた2人の後継者とその一門のみで、現在も2カ所の工房で一つひとつ手作りされています。音がよく鳴るように、口の部分がギザギザしているのが特徴です。

・津軽びいどろ風鈴

青森県の伝統工芸品に指定されている「津軽びいどろ」を用いた風鈴で、色鮮やかなものが多いのが特徴です。青森県・七里長浜の砂を原料に加えたところ、深みのある緑のガラスになったのがきっかけとされています。チリンチリンという軽やかな音色の風鈴です。

陶磁器や竹などその他の素材

他にも風鈴には、陶磁器や竹、炭などさまざまな素材が用いられています。

陶磁器製は、軽量で素朴な音が特徴です。原料の土や焼き方などによって音が変わります。デザインが豊富なのも魅力で、シンプルなものからカラフルなものまで、自分の好みや部屋の雰囲気に合わせて選びやすいのがメリットです。

竹製の風鈴

竹製の風鈴は、木琴のようなまろやかな音がします。遠くまで響かないのも特徴です。バリ島製など海外産が多く、アジアングッズのショップでよく見られます。

アジアンテイストが好きなら、カピス貝の風鈴もおすすめです。真珠貝のような艶を持つ貝殻の薄片を連ねた風鈴は、ガラス製に似た音がします。

意外なところでは、備長炭製の風鈴もあります。金属のような澄んだ音が特徴です。炭の大きさや太さによって音が異なるので、選ぶ楽しさも味わえます。

風鈴を選ぶポイント

風鈴は素材や音、デザインなど、自分が重視する条件を基に選ぶのがおすすめです。購入の際にチェックしたい、それぞれのポイントを紹介します。

素材と音

風鈴の音は素材によって異なります。澄んだ余韻のある音が好みなら金属製、涼し気でかわいらしい音ならガラス製を選ぶとよいでしょう。

ポイントは、自分が聞いて心地よく感じられるものを選ぶことです。夏の間、日常的に耳にする音になるので、よく吟味しましょう。

ただし、風鈴は素材やデザインが同じなら音色も同じという訳ではありません。少しずつ音色が異なるので、実際の音を聞いて選ぶのがベストですが、難しい場合は動画をチェックしてみましょう。

風鈴の音を動画で紹介しているメーカーも多くあります。いろいろ聴き比べができるのもメリットです。

風鈴のデザイン

風鈴は音色だけでなく見た目も大切です。夏の間中使うので、見て楽しめるデザインのものや、涼しさを感じられるものを選びましょう。

形や色、絵柄などデザインに凝った風鈴や、動物をかたどった風鈴も多く販売されています。見比べて検討するのがおすすめです。

金属製や竹製の棒がたくさん下がったウィンドチャイム型の風鈴なら、風に揺れる様子を見る楽しみもあります。インテリアとして、部屋の雰囲気に合うものを選ぶとよいでしょう。

ブランドで選ぶのもおすすめ

種類がたくさんあってなかなか選べないときは、南部風鈴や江戸風鈴などの「ブランド」的存在の風鈴を選ぶのも一つの手です。長く愛されてきただけに信頼できます。

名産の風鈴は、職人が1個ずつ手作りしていることがほとんどです。材料や技術など、伝統的な製法が用いられているので、品質面でも安心です。近年ではブランド風鈴でも、デザインに凝ったものが多くあります。現代的なセンスと伝統技術のコラボレーションが楽しめるでしょう。

おすすめの金属製風鈴

金属製の風鈴は、澄んだ音がよく響くのが特徴です。魔除けに使われていたという歴史も納得の、清らかな音が魅力の風鈴を紹介します。

川本屋茶舗 「梵鐘」

岩手県水沢市産の南部鉄器製風鈴です。梵鐘(釣鐘)をかたどったベーシックなデザインで、和室だけでなく洋室にもなじみます。手の平サイズなので吊るす場所も選びません。

環境省による「残したい日本の音風景100選」にも選出された、南部鉄器特有の透き通った奥行きのある音色です。暑い日に涼しさを演出してくれるため、リラックスしたときにぴったりです。

販売元の川本屋茶舗は、神奈川県横浜市で明治年間に創業した老舗で、茶や鰹節、海苔の他に茶道具も専門に扱っています。また風鈴をはじめ、鉄瓶など南部鉄器の品揃えも豊富です。

柏木美術鋳物研究所「鈴虫風鈴」

室町時代から現代まで作られてきた小田原鋳物の風鈴です。伝統の製法を受け継ぐ鋳物工房が、独自の配合で製造した真鍮を使用しています。

「リンリン」という軽やかな音のモチーフは、鈴虫の鳴き声です。小田原鋳物の特徴である余韻も耳に心地よく響きます。

余計な装飾のないシンプルな本体は、どのような部屋にもしっくりなじむでしょう。風をとらえる短冊には、小田原箱根の伝統工芸・寄木細工を用いています。目と耳で一度に伝統技術を楽しめる風鈴です。

能作「スリム シルバー」

能作は、日本の銅器(銅を材料とする製品の総称)の約90%を占める富山県高岡市のメーカーです。1916(大正5)年に創業し、高岡銅器の特徴を生かしたデザインの風鈴を製造しています。

「スリム」は、洗練されたスタイリッシュなデザインが魅力です。真鍮に銀メッキを施した「シルバー」は落ち着きがあり、洋室はもちろん和室にも溶け込む雰囲気です。職人が一つひとつろくろ仕上げをした滑らかな本体は、高級感があり澄み切った音色が楽しめます。

川本屋茶舗「三重奏」

南部鉄器製の大きさの異なる鐘を三つ使用した風鈴です。「三重奏」の名の通り、それぞれの音が共鳴し合って涼やかなハーモニーを生み出します。

重厚感のあるデザインは、和室の軒先にぴったりです。風が吹けば空気まで浄化されるような、清らかな音色に包まれるでしょう。

また、三つの鐘による不規則なリズムは、鳥のさえずりや流水音など自然の音に通じるとされています。リラックスしたい人にもおすすめです。

おすすめのガラス製風鈴

ガラス製の風鈴は、涼し気な見た目と豊富なデザインが特徴です。金属製の風鈴とはまた違う魅力の軽やかな音を楽しめる、おすすめのガラス製風鈴を紹介します。

篠原江戸風鈴「あじさい ピンク」

江戸時代と同じ製法で作られたガラス風鈴で、製造元の「篠原江戸風鈴本舗」二代目・篠原儀治氏によって江戸風鈴と名付けられました。江戸風鈴と名乗れるのは、「篠原江戸風鈴本舗」と「篠原まるよし風鈴」の2店だけです。

型を使わず、空中で膨らます「宙吹き」という技法で作られているため、一つひとつ音色が異なります。特徴は、口の部分を切り落としてからギザギザに仕上げることです。この一手間が江戸風鈴の音色を、美しく涼やかにしています。

ガラスの本体に素朴なタッチで描かれたあじさいが、華やかに夏を彩ります。夏の間中、目でも楽しめる風鈴です。

アデリア「津軽びいどろ 祭り花火」

カラフルな色粒を混ぜ込むことで、祭りの楽しさや花火の輝きを表現しています。津軽びいどろの職人が手作りで仕上げた風鈴は、見た目の美しさだけでなく澄んだ音も魅力です。

製造元の北洋硝子は、もともと漁業用の浮玉を作っていました。その成形技術が、風鈴をはじめとするガラス製品作りに生かされています。確かな技術と美しさを兼ね備えた津軽びいどろは、青森県の伝統工芸品にも指定されました。

また、日本を代表するハンドメイドガラスの一つとしても、高い評価を受けています。

グラスキャリコ「澄」

神奈川県小田原市のガラス作家・岩沢達氏による、ハンドメイドのガラス風鈴です。縦長の本体は透き通ったガラスの美しさを引き立て、光を反射して輝きます。

舌(ぜつ)には音がきれいに響くよう、特殊加工を施しています。また、短冊には風をしっかりとらえて耐久性もある特殊和紙を用いるなど、デザインだけでなく音にもこだわった作りです。

シンプルながらスタイリッシュなデザインは、インテリアとしてもおすすめです。ギフトにしても喜ばれるでしょう。

 京都日用品うろこ「薄青」

京都の日用品ブランドと篠原江戸風鈴のコラボレーションで生まれたガラス製風鈴で、一つの風鈴に京都と江戸の伝統的な技術が凝縮されています。竹林にそよぐ風(清風)をイメージした、爽やかな音色が魅力です。

気泡やムラの見られる本体には、吹きガラスならではの味わいがあります。うっすらとした青みも、夏の曇りのない青空にぴったりです。

舌には京都の竹職人が加工した真竹を使用しています。塗装を施していない無垢の真竹なので、経年変化も楽しめます。

その他の素材の風鈴おすすめ

陶磁器や竹などを用いた風鈴もおすすめです。金属製やガラス製のものとは違う音や、インテリアのアクセントとなるようなデザインが楽しめます。

ベルクベルグ「アンティーク風 バンブー 風鈴」

竹とココナッツシェルを使用した、アジアンテイストの風鈴です。シンプルな構造ながら長さの違う複数本の竹が、複雑な音色を奏でます。素朴なデザインと木琴のようなまろやかな音に、懐かしさを感じる人も多いでしょう。

竹を主材料としているため、約40cmの長さがあっても軽量で扱いやすく、簡単に設置できます。玄関ドアに吊るして、ドアチャイム代わりにしてもよいでしょう。落ち着いた色合いなので、エスニックなインテリアはもちろん和室や洋室にも意外になじみます。

長谷川陶磁器工房「インテリア風鈴」

シンプルモダンなデザインの磁器製風鈴で、磁器表面の千筋加工が上品なアクセントになっています。お椀を伏せたような形で余分な装飾がないので、どのような部屋にも似合うのが魅力です。

微風でも磁器製特有の柔らかな音色が楽しめるよう、短冊に工夫を施しています。防水紙を使用しているので、屋外に吊るしておいても安心です。

また、短冊の表裏には違う色合いの縞模様が描かれています。風に吹かれて回転するたびに、違った表情が楽しめるでしょう。

スミヤ・紀州備長炭倶楽部「紀州備長炭・風鈴」

紀州のウバメガシを使用した備長炭の風鈴です。備長炭は非常に硬く、打ち合わせると金属のような音がするため、「炭琴」という木琴や鉄琴のような楽器も作られています。

炭の持つ消臭性や吸湿性もそのままです。部屋に吊るしておくと、臭い消しや湿度の調整効果も期待できます。

無骨な見た目からは想像できない、澄んだ音が楽しめる風鈴です。微風でも鳴るので強風のときは注意しましょう。また水に弱いため、雨の日は室内に入れることをおすすめします。

‎STARTIST「シェル風鈴」

手作業で磨かれたシェルの薄片を連ねた風鈴です。ガラス製の風鈴にも似た、自然な柔らかい音で鳴ります。シェルが奏でる音と青空に映える色合いは、夏を涼やかに演出するのにぴったりです。

長さは約38cmありますが、軽量なので簡単に設置できます。窓辺や屋外に吊るして音を楽しむのはもちろん、室内用のインテリアにしてもよいでしょう。空中に泡が浮いているような涼し気なデザインは、洋室だけでなく意外に和室にもマッチします。

風鈴を使う際は周囲へ配慮を

風鈴は夏の風物詩の一つですが、誰もが「心地よい音」と感じる訳ではありません。思わぬトラブルを避けるためにも、周囲への配慮を欠かさないようにしましょう。

設置場所に気をつける

住宅密集地やマンション・アパートでは、風鈴の音が隣近所との騒音トラブルになる可能性があります。風鈴を吊るす場所や音量には注意しましょう。小さめの風鈴にする、夜は室内へ入れる、風の強い日には外して音が響かないようにするといった配慮が必要です。

どうしても風鈴を吊るしたいなら、屋内に吊るすという手もあります。扇風機やエアコンの風が当たる場所に吊るしたり、風鈴スタンドを使ったりしてもよいでしょう。

風鈴スタンドがあれば、テーブルの上や家具の上などに風鈴を飾っておけます。インテリアとして活用するのもおすすめです。

風鈴で日本の夏を楽しもう

一口に風鈴といっても、素材によって音はさまざまです。金属製やガラス製など、それぞれの音色の特徴を知ることで、自分の好みの風鈴を見つけやすくなります。

南部風鈴や江戸風鈴など、伝統的なブランドを選ぶのも一つの手です。また、見た目も大切という人は、デザインにもこだわってみましょう。インテリアにもなるような、おしゃれな風鈴も多く発売されています。お気に入りの風鈴を選んで、日本の暑い夏を涼やかに楽しみましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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