「合弁花」「離弁花」ってどう違うの? 共通点は? 花のつくりから植物の分類について考えよう

合弁花(ごうべんか)・離弁花(りべんか)とは、植物のどのような特徴のことを指すのでしょうか。共通点や相違点はもちろん、合弁花・離弁花と分類される花を、図を使って解説します。植物の知識を深めて、子どもと一緒に花の観察を楽しみましょう。

合弁花・離弁花の共通点と相違点

合弁花・離弁花とは、花を含めた植物の分類に関係する言葉です。植物を分類する流れを踏まえながら、合弁花・離弁花の共通点と相違点を解説します。

【共通点】どちらも双子葉類

合弁花・離弁花は、いずれも双子葉類(そうしようるい)に属する植物です。

日本を含めた世界中には、花の咲く植物が約20万種類あるといわれています。名称はそれぞれ異なるものの、育ち方やつくりには共通点もあるため、植物をグループ分けし、ある程度の特徴をつかめるようにしているのです。

合弁花・離弁花に分類される双子葉類の植物には、以下のような共通点があります。

1.種子植物(種で仲間を増やす)
2.被子植物(胚珠が包まれている)
3.双子葉類(双葉が芽生える)

双子葉類は、子葉(しよう)と呼ばれる最初に出る葉が2枚ある植物を指す言葉です。一方、子葉が1枚しかない植物は、「単子葉類(たんしようるい)」と呼ばれます。植物の分類には上記のような順序があるため、双子葉類・単子葉類はどちらも種子植物かつ被子植物に該当すると覚えておきましょう。

被子植物の分類図。合弁花・離弁花はともに被子植物の双子葉類に属する。
被子植物の分類図。合弁花・離弁花はともに被子植物の双子葉類に属する

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【相違点】花びら(花弁)のつき方

種子植物・被子植物・双子葉類と分類していくと、当初の約20万種類よりは少ない数に絞られます。とはいえまだまだ数は多いため、双子葉類のグループをさらに細かい特徴で分けていきましょう。

同じ双子葉類にあたる合弁花・離弁花の決定的な違いは、花びら(花弁)のつき方です。アサガオとサクラはいずれも双子葉類ですが、花びらのつき方が異なります。アサガオやヒルガオは合弁花、アブラナやサクラは離弁花に該当しますが、それぞれの特徴や種類は次の項で詳しく見ていきましょう。

合弁花の特徴・種類

合弁花に分類される植物は、どのような花びらのつき方をしているのでしょうか。まずは、合弁花の特徴や種類から確認していきます。

花びらが1つにつながっている

「合弁花」という漢字からも分かるように、花びらが一つにつながっているのが大きな特徴です。早朝に花を咲かせるアサガオは、合弁花の代表的な花といえます。模様が入っているものもあり、花びらが離れているように見える場合もあるかもしれません。

しかしじっくりと観察してみると、花びらが分かれていないことに気づくでしょう。メガホンのような形をした1枚の花びらが、茎の部分で一つにつながっていることが分かるはずです。

アサガオの花のつくり

合弁花に該当する花の種類

アサガオを含めたヒルガオ科のヒルガオ・ヨルガオ以外に、合弁花に分類される花の例は以下の通りです。

●キキョウ
●トマトの花
●ピーマンの花
●ジャガイモの花
●ツツジ
●キク

トマト・ピーマン・ジャガイモといったナス科の植物が咲かせる花も、合弁花に該当します。

さらに間違えやすいのが、キク・タンポポ・ガーベラといったキク科の花です。一見離弁花のように見えますが、実際にはいくつもの合弁花が集まってキク科の花を構成しています。例としてタンポポの一つの花を取って見てみると、花びらはうっすらと筋で分かれていますが根元はつながっています。

タンポポの花のつくり

離弁花の特徴・種類

続いて、離弁花の特徴や該当する花の種類を解説します。あわせて、合弁花に見える離弁花も確認していきましょう。

複数枚の花びらが独立している

花びらが一つしかない合弁花とは対照的に、離弁花の花びらは1枚ごとに独立しています。2〜5月ごろに花を咲かせるアブラナは、離弁花に該当する植物です。

アブラナの花を分解した図からも分かるように、おしべ・めしべの周囲についた花びらは1枚ずつ取れます。合弁花に属するキク科のような例外はありますが、独立した花びらが複数枚あるというのは、離弁花を見分ける目安になるでしょう。

4枚の花弁からなるアブラナの花
4枚の花弁からなるアブラナの花

離弁花に該当する花の種類

アブラナ以外の、離弁花に分類される花は以下の通りです。

●ホウセンカ
●サクラ
●バラ
●ツバキ

枯れると花が丸ごと落ちるツバキは、合弁花と間違えやすい花といえます。しかし、ツバキの花が丸ごと落ちる理由は、花びらとおしべがつながっているからです。花の基底部で花びらとおしべがつながっているため、アブラナのように簡単には花びらを摘めません。しかし花びら自体は複数枚あって、1枚ずつ独立しています。

花弁が離れにくいだけで、ツバキは花弁がつながっていない離弁花の一種。
花弁が離れにくいだけで、ツバキは花弁がつながっていない離弁花の一種

合弁花・離弁花に関するQ&A

合弁花・離弁花ごとの特徴や花の種類を知り、興味を持った人もいるかもしれません。最後に、合弁花・離弁花に関するよくある疑問を解説します。

合弁花・離弁花はどちらが先に誕生した?

先に誕生したのは、離弁花だといわれています。種で仲間を増やす被子植物は、もともとは離弁花だったとされているからです。時代の流れとともに花びらが1枚につながっている植物が誕生し、合弁花・離弁花と区分けするようになりました。

ただし、誕生したのが先なだけで、離弁花のほうが数が多いというわけではありません。例えば合弁花に該当するキク科は種類が豊富な一方、キク科より種類の少ない離弁花も存在します。花の数の多い・少ないは種類にも左右されるため、誕生した順番は関係ないのです。

親子で合弁花・離弁花を探してみよう

合弁花・離弁花は、いずれも種子植物・被子植物・双子葉類に該当する植物です。国・都道府県・市区町村へと細分化していくように、植物もつくりによって段階的に分類されています。

双子葉類をさらに細かく分ける際、花びらがつながっているものを「合弁花」、花びらが独立しているものを「離弁花」と分類するのです。図鑑で双子葉類に該当する植物を調べて、子どもと一緒に合弁花・離弁花を探してみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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