「すだち」に含まれるスダチチンって? 汁は上に向けて搾るのがポイント? 活用法やおすすめレシピを紹介!

すっきりとした酸味で料理を美味しくしてくれる「すだち」。そんなすだちは果汁を絞ると、包まれる爽やかな香りにも効果があるといわれています。本記事では、すだちの魅力や使い方、おすすめのレシピを紹介していきます。

突然ですが、「すだち」を漢字で書けますか?

正解は「酢橘」です。「橘」は生食されていた柑橘類の総称。すだちは昔から食酢として料理に用いられていたため、「酢橘(すだちばな)」と呼ばれていたことに由来するといわれています。

特にすだちは和食によく合い、料理に爽やかな香りと酸味をプラスしてくれます。そんなすだちとは、一体どんな食材なのか一緒に見ていきましょう。

すだちってどんな食べ物?

すだちは香酸柑橘類(こうさんかんきつるい)の果実です。キリッとした酸味があるため、みかんなどの柑橘類と違って、果実を食すには向いていません。主に料理に香りをつけるために果皮や果汁が使われます。

すだちの主な産地

すだちの主な産地は、徳島県。全国の生産量の98%を占めていて、徳島県を代表とする特産品です。徳島県の中でも主な産地としてあげられるのは、神山町、佐那河内村、阿南市、徳島市、勝浦町。「すだち焼酎」など、すだちを使用した製品が多く開発されています。

すだちの旬とは?

スーパーなどで売られているすだちは、栽培方法などによって旬の時期が変わります。すだちの主な栽培方法は「露地すだち」「ハウスすだち」「貯蔵すだち」の3つです。

・露地すだち

露地すだちとは、自然な環境で栽培されたもの。太陽の光をたっぷりと浴びて育った露地すだちの旬は8~9月です。果皮が厚く、しっかりとした香りと酸味が楽しめます。

・貯蔵すだち

露地ものすだちを収穫して乾燥させて冷蔵保存したものが、貯蔵すだちと呼ばれるものです。この貯蔵すだちは、順次出荷され、翌年の3月頃まで出回ります。

・ハウスすだち

温室で育てられたハウスすだちは、3月中旬~8月頃に出回ります。ハウスすだちは、露地すだちに比べると果皮が薄く、果汁が多いのが特徴。また香りや酸味がまろやかなものが多いでしょう。

すだちとかぼすの違いは?

すだちと同じ緑色の外見の柑橘類、かぼす。すだちとかぼすの違いについて見ていきましょう。

すだちとかぼすの違いは、産地や大きさ、果肉に違いが見られます。すだちは徳島県の特産品ですが、かぼすは大分県の特産品。ピンポン球くらいの大きさのものが多いすだちに比べて、かぼすのサイズは、テニスボールくらいの大きさのものも。酸味は、すだちよりもまろやかなのが特徴です。

すだちの栄養価は?

すだちにはクエン酸やビタミン類、スダチチンという栄養素が含まれています。

クエン酸

すだちの酸味には疲労回復効果のあるクエン酸が多く含まれています。クエン酸が疲労物質である乳酸の生成を抑制する働きがあり、疲労回復効果が期待できるのです。また、すだちの酸味には、胃液の分泌を促し、食欲を増進させる効果も。すだちは夏の疲れや食欲不振に効果的な食材なんです。

スダチチン

スダチチンとは、すだちの果皮に多く含まれるポリフェノールの1つです。スダチチンは、体内の骨格筋に働きかけ、エネルギー消費量を増やして、内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積を抑制する効果があるとされています。その結果、糖代謝や脂質代謝を改善することがわかっているのです。

ビタミンC

すだちに含まれるビタミンCの含有量はレモンの1.1倍といわれています。ビタミンCは強い抗酸化作用を持ち、細胞の老化を防いだり、免疫力を高めたりする効果が。また、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の発生を抑える働きがあるため、美白効果も期待できるでしょう。

ビタミンE

ビタミンEは、強い抗酸化作用やコレステロールや体内の脂質が活性酸素で酸化するのを抑制する効果があり、「若返りのビタミン」ともいわれています。そのため、動脈硬化や高血圧など、加齢にともなってなりやすい疾患の予防も期待できるのです。

ビタミンA

すだちに含まれるビタミンAは、レモンの20倍。ビタミンAは、目や皮膚の健康を維持するために必要な栄養素です。

果汁だけじゃない! すだちの香りにも嬉しい効果が

すだちを絞ると、一気に爽やかな香りに包まれますよね。すだちの果皮や果汁にはリモネンといわれる精油成分が多く含まれています。

この香り成分は、不安や緊張を和らげ、イライラ解消にも効果的なんです。リラックスしたいときに、すだちの香りを嗅いでみるのもいいですよ。

すだちの風味や栄養を効果的を余すことなく摂取する食べ方は?

せっかくのすだちの栄養や風味を損なわないおすすめの切り方、食べ方を紹介していきます。

輪切りにするときはなるべく薄く!

すだちを輪切りにする際、厚く切ってしまうと皮の苦味がでてしまいます。そのため、スライスする場合は、透けて見えるくらい薄く切るのがおすすめです。

皮をすりおろす

絞った後のすだちの皮を捨てていませんか? すだちは皮も丸ごと食べることが可能なんです。

すだちの皮には、スダチチンが多く含まれています。すだちの皮をおろし金ですりおろして、そうめんにトッピングしたり、ご飯に混ぜて食べたりするのがおすすです。

絞るときは上を向けて

すだちの果汁を絞る際、断面を下に向けて絞りがちですが、断面を上に向けて絞るのがおすすめ。すだちの果汁が皮を伝い、より香りがよくなります。

すだちを使ったおすすめレシピ

暑い夏を爽やかに乗り切るおすすめレシピを紹介します。

徳島では定番!すだち味噌汁

【材料(2杯分)】

・すだち… 1個
・山芋… 10cm程度
・だし汁… 500ml
・味噌… 大さじ2

【作り方】

1、山芋は皮をむいてすりおろしておき、すだちはトッピング用に数枚、薄くスライスしておきます。

2、鍋にだし汁を入れ、軽く沸騰させたら、火を止めて味噌を溶き入れます。

3、2にすりおろした山芋を入れ、軽く混ぜます。

4、器に3を入れ、すだちを絞り入れます。

5、最後にスライスしたすだちをトッピングして完成です。

ひんやり美味しいすだちのソルベ

【材料】

・すだち… 4個
・ハチミツ… 大さじ1~2
・グラニュー糖… 50g
・お湯… 200cc

【作り方】

1、すだちは果汁を絞り、種は取り除いておきます。

2、お湯にグラニュー糖、ハチミツを溶かします。

3、2にすだちの絞り汁を入れ混ぜます。

4、3を容器に流し入れ、冷凍庫で凍らせて完成です。

すだちの皮を刻んで入れても美味しいですよ。

すだちの爽やかな香りでリラックス

すだちは暑く、紫外線の強い夏に摂りたい栄養も豊富で、疲れた体を癒すのにもぴったりな果実です。魚や麺類、飲み物にすだちを加えて、暑い夏を爽やかに乗り切りたいですね

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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