元衆議院議員 金子恵美さん教えて!「異次元の少子化対策」ってどんな内容?こども家庭庁に期待することも

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元衆議院議員で、現在は企業顧問やテレビのコメンテーターとして活躍されている金子恵美さんにインタビュー。2023年初めに岸田総理が表明した「異次元の少子化対策」についてや、プライベートでの家事負担などについてお話いただきました。

異次元の少子化対策って、いったい何?

2023年1月に岸田総理が検討を表明した「異次元の少子化対策」という言葉。いったいどんなことが変わり、どんな点が異次元なのでしょうか?

子どもの権利を守るための法律がやっとできた

―4月に「こども家庭庁」ができましたが、一連の動きについて教えてください

金子さん:子どもに関する政策はこれまでも行われていて、児童虐待に関しては厚生労働省、教育に関することは文部科学省…など、あらゆる省庁をまたいで行われていました。今回立ち上がった「こども家庭庁」は“こどもまんなか”がコンセプト。これまで政治の真ん中に置かれることのなかった子どもを、中心に置いた組織です。

日本の子どもたちは、生存という観点で見れば途上国の子ども達と比べ恵まれていると言われてきました。しかし今、児童虐待、いじめ、保育現場の問題など、子どもの命が危ぶまれる状況が増えていますよね。こういった問題意識がある中で、子どもの権利を守る法律が必要という流れになり「こども基本法」ができました

法律ができるのは、とても重要なこと。努力義務と違い、法律があることで国や自治体に責任を与えることができます。そのひとつとして、当事者である子どもの意見を聞くことが国と自治体に義務付けられました。遅いですが、子どもの声がやっと政治に反映されようとしています。

―「こども未来戦略方針」はどんな内容ですか?

もらえるお金が増える! 児童手当てが高校生まで延長

金子さん:複数の政策がありますが、HugKum読者の皆さんがまず関わるのは「児童手当の拡充」でしょう。これまで中学卒業までだった給付期間が高校生年代まで延長され、所得制限も撤廃されます。また、3子以降のお子さんには月額30,000円が支給されるところもポイント。子どもがいない方への支援に回すべき、といった議論もありましたが、多子世帯は負担が大きいということで、このような内容になりました。

児童手当の拡充の表
自民党HPより作成

また、出産時の負担軽減も目玉のひとつ。出産一時金が42万円から50万円に引き上げられるほか、妊娠の届け出時と子どもが産まれたタイミングで、計10万円相当の「出産・子育て応援交付金」が支給されます。妊娠した方が安心して出産できるようにという意図で、この2つは既に開始しされています。

児童数当たりの保育士数を75年ぶりに見直し

金子さん:お仕事をされている方は、保育園の問題も気になりますよね。これまで国は、待機児童を減らすために保育園の量を増やしてきました。しかし、そこで事件や事故が起きてしまっては安心して預けることができないので、保育の質を上げようという流れに。具体的には、児童数当たりの保育士の人数が見直されようとしています。これまで、1歳児は子ども6人に対して保育士1人であったところが、5人対1に、4・5歳児は 子ども30人に対して保育士1人、から 25人対1人に変更する案が出ています。保育士の配置基準の見直しは実に75年ぶり。ただ、保育士不足は今以上に起こるでしょうし、今後の動きを見守りたいところです。

保育所保育士配置基準
厚生労働省HP、子ども家庭庁HPより作成

必要な費用は年間3兆円! 財源の確保に注目

―嬉しい内容も多いですが、これらの政策は全て実行されるのですか?

金子さん:ここにある内容は自民党の方針ではありますが、閣議決定されたため方向性は変わらないでしょう。ただ、一斉に行うことが難しい内容もありますよね。自治体や保育園の状況を調査しながら、開始が遅れるものも出てくると思います。

また、大きな課題は財源です。これら全てを行うためには、年間3兆円が必要と言われていますが、新たな税負担は行わず、今ある事業を見直し浮いた予算を回すことになっています。高齢化が進み社会保障費がどんどん増えている今、安定財源をどのように確保するのか。これについては、2023年末までに発表することになっていますので、皆さんも是非、注目していただきたいと思います。

異次元と言うのなら…金子さんが踏み込んで欲しい内容は?

現在行われている政策の拡張といった印象もある「こども未来戦略方針」。金子さんは、さらに踏み込んでもらいたい内容があるそうです。

―金子さんが政策を追加できるとしたら、どんな内容がありますか?

金子さん:私は、今後子どもを産みたいと思っている方への支援も必要と考えています。現在、私自身も不妊治療をしているのですが、周りにも二人目不妊の方が意外と多く驚きました。男性中心の政治では見過ごされがちですが「子どもはいらない」、「作らない」のではなく、「欲しいのにできない」人がたくさんいます。

卵子凍結については賛否ありますが、個人的には子どもが欲しい人の可能性を支援したいと思っていて。いつかは子どもが欲しいけれど結婚していなかったり、キャリアを積んでいるところだったり。女性にはタイミングがありますよね。卵子凍結はとてもお金がかかるので、「異次元」というのであれば、そこにも切り込んで欲しいと思っています。

後編では、少子化と男性の家事参加の関係性や、金子さんのご家庭での役割分担についてご紹介!

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お話を伺ったのは

金子恵美|元衆議院議員
2007年に新潟市議会議員選挙に当選し政治の道を歩み始める。その後、新潟県議会議員を経て、2012年に衆議院議員に。総務大臣政務官を務めるなど10年間の議員生活ののち、2017年に政界を引退。現在はテレビ番組のコメンテーターや企業顧問など、活躍の場を広げている。著書に『もし日本から政治家がいなくなったら』(内外出版社)がある。

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もしも日本から政治家がいなくなったら

日本中からありとあらゆる政治家がいなくなったら年間いくらのお金が浮くのか、そのお金は何に使えるのか、から始まり、2年後はどうなる? 25年後は? と妄想します。併せて現実社会の日本での政治家の役割や選挙にお金がかかりすぎること、キャリア官僚と政治家の関係など、リアルな政治の場に携わった著者だからこそ語れるいろいろも。
政治に興味のない人にこそ楽しく読める一冊です。

取材・文/寒河江尚子

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