生ハムやバターとも合う!「市田柿」が高級和菓子である理由、一般の干し柿との違いを解説

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市田柿(いちだがき)とは、長野県などの南信州を代表する渋柿の品種です。これを干したものは、自然の甘さともっちりとした食感のドライフルーツとなり、高級和菓子のひとつとして位置づけられています。そんな市田柿の特徴や魅力を解説しましょう。

市田柿とは

市田柿(いちだがき)は南信州の特産品で、渋柿の品種名です。これを干し柿にしたものは、砂糖を加えていないのに自然で上品な甘さがあり、オレンジ色に輝き、更にもっちりとした食感もあって、高級和菓子のひとつにもなっています。市田柿といえば、干し柿になったものを指すことが多いそうです。

場所・エリア

もともと市田柿は、長野県下伊那郡高森町の市田地域というエリアで栽培されていました。長野県は干し柿の出荷量が日本でトップクラスの県です。その長野県で販売されている干し柿のほとんどが、飯田や下伊那地域で栽培・加工された柿です。つまり、市田柿は南信州で生まれている柿ということです。

いつ、どんなときに食べる?

古くは、市田柿を干し柿にして保存食として食べられていました。また南信州では、正月の歯固めという行事に市田柿を食べる習慣があります。これは、歯ごたえのある固い食べ物を食べて健康を願う行事です。

市田柿は固い食べ物ではありませんが、昔の干し柿は現代のものより固かったのかもしれません。また、種が出てきたら幸運と思われていたという説も。

現代では、市田柿は高級品のため、贈り物などに利用されることが多いでしょう。また干し柿は12月から2月頃までの寒い季節にしか作られませんから、季節限定のお菓子です。

由来、言い伝え

市田柿の栽培は500年以上前からと言われています。江戸時代に、市田地域に「焼柿」と呼ばれる原木があり、この木でとれた柿が焼いて食べてもおいしかったそうです。大正時代になると、これを「市田柿」の名前で出荷することになったと言われています。これが市田柿の始まりで、それから100年以上も人々から愛されています。

歴史

柿の種類には、生のまま食べておいしい「甘柿」と、そのままでは渋くて食べられない「渋柿」があります。市田柿は渋柿の一種で、古くは東南アジアなどに分布していた種類と言われています。

市田柿の特徴

見た目にもきれいな市田柿。
見た目にもきれいな市田柿。

市田柿の特徴を見てみましょう。

特徴1:スイーツの女王

市田柿はスイーツの女王と言われています。表面にはブドウ糖の結晶が白い粉のようになってついていますが、中はきれいなオレンジ色。自然で上品な甘さから、一度食べれば、スイーツの女王と言われていることに納得できるでしょう。

特徴2:ねっとりとした味わい

市田柿は渋柿のため、収穫したそのままを食べても渋さを感じます。しかし、干して渋みを抜くと、甘味が引き立つおいしさに変わっていきます。特に特徴的なのは、羊羹のようなもっちり食感。ねっとりとした独特の弾力も感じられます。

特徴3:ビタミンや食物繊維が豊富

市田柿は干し柿にしているため、一般的な果物より、ビタミンAや食物繊維が豊富。特に鮮やかなオレンジ色は、カロテンが多く含まれている証拠です。

カロテンは、体内でビタミンAになるもので、免疫力をつけたり、視力を正常に保ったりする働きが期待できます。また、ポリフェノールの一種であるタンニンも多く、抗酸化効果なども期待できます。

特徴4:表面の白い粉はブドウ糖の結晶

市田柿の表面には、白い粉がたくさんついています。これは、柿霜(しそう)と呼ばれるもので、ブドウ糖の結晶。

柿を乾燥させてよくもむと、果実の中の糖分が外に出てきます。これが乾燥すると結晶となって白くなるのです。粉が薄く均一についている市田柿は極上と言われるもの。安心してそのまま食べられます。

特徴5:35%の重さまで乾燥している

市田柿は、皮をむいたときと比べて35%の重さになるまで乾燥していきます。35%程度までなったら、乾燥の具合を見ながら柿をもんでいく工程があります。もんで寝かせる工程を何度か繰り返すことで、中の水分と糖分が外に出てきたおいしい市田柿ができあがるのです。

特徴6:地理的表示(GI)に登録

市田柿は「地理的表示(GI)」に登録されています。

特定の地域で生産されている農産物や商品の知名度が上がると、他の地域の生産者も同じようなものを作って販売することがあり、これではその地域の生産者が守られません。GIとは、商品の名前から産地を特定できる地域のブランド品を知的財産として守るために生まれた制度なのです。市田柿はそんなGIに登録されています。

特徴7:高温多湿の場所を避けての保存が必要

市田柿は、常温保存では2~3日程度しか持ちません。さらに直射日光があたる場所においておくと、表面についた白い粉がなくなりベタベタしたり、水分が増えてカビが生えやすくなってしまいます。そのため、高温多湿の場所は避けて保存することが大切です。

心配なら、ラップをして冷蔵庫で保存するのがおすすめ。もし長期的に保存したいなら、冷凍庫で冷凍してもいいでしょう。

市田柿の食べ方アレンジ

市田柿はそのまま食べてもおいしいですが、アレンジして楽しむ方法もあります。

食べ方1:市田柿×バター(チーズ)

こってりとしたおいしさの柿田柿は、バターとの相性が抜群。市田柿に切り込みを入れて、バターやチーズを挟むと、おしゃれなスイーツやオードブルになります。紅茶やワインにも合う一品になります。

食べ方2:生ハムとあわせて

市田柿を薄くスライスした生ハムでくるむと洒落たオードブルに。生ハムの塩味が柿の甘さを引き立たせて、お酒のおつまみや前菜として美味しくいただけます。

食べ方3:市田柿×ラム酒

市田柿はスイーツの材料にもなるのですが、ラム酒につけてもいいでしょう。ラム酒に数日程度漬け込むと、ラムの香りが相まって市田柿がさらに高級な味わいになります。

食べ方4:パウンドケーキ

市田柿を細かくカットして、レーズンなどのドライフルーツと同じように、パウンドケーキに入れてみてもいいでしょう。オレンジ色の見た目がきれいなので、仕上がりも美しくなります。ラム酒に漬けた市田柿を使ってもおすすめです。

市田柿とほかの干し柿との違い

市田柿は、いわゆる一般的な干し柿とどんな違いがあるのでしょうか?

収穫した柿を干して作る干し柿は、「あんぽ柿」と「ころ(枯露)柿」の2つに分類されます。あんぽ柿は水分量が50%程度ある、やわらかい干し柿で、ころ柿は水分量が25~30%程度と少なめという違いがあります。

市田柿は水分量が35%前後のため、ころ柿に分類されます。一般的なあんぽ柿に比べると水分量が少ないのですが、表面にブドウ糖が白い結晶となってついているという違いがあります。

市田柿の作り方

市田柿は、収穫から出荷までは1か月半から2か月くらいかかり、栽培から考えると、1年の時間をかけて作ります。ここでは、市田柿が栽培から出来上がるまでの、作り方の流れをご紹介します。

  1. 市田柿を栽培します。花が咲くのは5月の終わり頃です。
  2. 市田柿を収穫します。10月の終わりから11月中旬頃にあたります。
  3. 収穫した市田柿の皮をむいて、菌の繁殖や酸化を防ぐために燻煙を行います。
  4. 燻煙を終えたら、1か月ほどの時間をかけて乾燥させます。
  5. ベストな水分量になるまで天日干しして、出来上がりです。

市田柿のおすすめ

さて、ここからは通販で購入できる市田柿のおすすめをご紹介します。

わらいみらい 市田柿

長野県で市田柿を作っている「わらいみらい」。その年にとれた最高級の柿を使用しています。高級感のある黒いボックスにきれいに並べられていますから、贈答品としても素敵です。

山下屋荘介 市田柿

市田柿専門店「山下屋荘介」の逸品。柿をもぎ採り、皮をむき、糸で吊して乾燥させる、という各工程を熟練の職人が一粒一粒、丁寧に手作業で行っています。注文から到着まで約10ヶ月程度(栽培~加工まで)時間がかかりますが、それだけ待つ価値がある商品のはずです。

市田柿 ご家庭用

ふっくら&もっちりの実は、市田柿ならでは。凝縮された濃厚な甘味は、自然だからできる味です。家庭用の簡易包装に入っています。

市田柿 ミルフィーユ サンド

市田柿を1つずつ切り、チーズやバターと一緒にミルフィーユのように層にして重ねたスイーツです。バター味はさっぱりした味わい、チーズ味は濃厚と、どちらがお好みか試してみて。ワインのおつまみとも相性抜群で、おしゃれなオードブルにもなりそうです。

栗柿

肉厚でやわらかい長野県飯田産の最高級の市田柿を使い、柿の中にある種を丁寧に1つずつ取り出して、栗きんとんをつめた和菓子です。市田柿と栗きんとんの相性は抜群。意外性があるのに、しっくりくるおいしさです。

ブランド柿の「市田柿」を楽しもう

500年以上も前から栽培されていたという市田柿。独特の食感と自然な甘みは、高級和菓子にも匹敵するおいしさです。市田柿を食べたことのない方は、ぜひこの機会に一度味わってみてはいかがですか?

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文・構成/HugKum編集部

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