「空気」って一体何? 主な成分・性質から成り立ちまで分かりやすく解説【親子でプチ科学】

空気は生物にとって大変身近で、欠かせない存在です。とはいえ、あまりにも身近なため、日常生活で意識する機会は少ないかもしれません。空気とは何なのかを親子で学べるように、主な成分・性質・成り立ちについて分かりやすく解説します。

空気とは何?

そもそも空気とは、何を指しているのでしょうか。「大気」との違いや成分など、空気の定義を見ていきましょう。

地球を覆う大気の一部

空気は、地球を覆っている「大気」の一部です。地球以外にも、表面が気体で覆われている天体は存在します。このように、天体をとりまく気体のことを、大気といいます。

地球の大気の厚さは数百kmもありますが、地上数十kmまでは、成分もその割合もほぼ一定です。この部分の大気のことを、一般的に空気と呼んでいます。

 

いくつかの気体で構成される

空気は窒素や酸素など、いくつかの気体が集まってできています。それぞれの割合は以下の通りです。

●窒素:約78%
●酸素:約21%
●その他(アルゴン・二酸化炭素など):約1%

「乾き空気」の組成

なお、実際の空気には水分も、気体である水蒸気として含まれています。水蒸気を含まない理論上の空気を「乾き空気」、水蒸気を含んだ空気を「湿り空気」といいます。

空気を構成する主な成分と特徴

空気を構成する成分のうち、特に押さえておきたいのが、窒素・酸素・二酸化炭素の三つです。それぞれの役割や特徴を紹介します。

形を変えて役立つ「窒素」

窒素は、生物の体をつくるタンパク質の素「アミノ酸」やDNAに必ず含まれるほか、植物の成長にも欠かせない元素です。人間の体を構成する元素の質量のうち、約5%を占めています。

ただしほとんどの生物は、空気から窒素を摂取できません。植物は、土壌中にわずかに含まれるアンモニアなどの窒素化合物を取り込み、動物は植物を食べることで、必要な量を得ています。

また、窒素は沸点がマイナス約200℃と低いため、液化させた液体窒素が低温実験やイボの除去などに活用されています。気体のままではなく、化合物や液体に形を変えて役立つのが、窒素の特徴といえるでしょう。

生命活動の源「酸素」

酸素は、地球上に最も多く存在する元素です。空気の約2割を占めるほか、水や岩石などの中に化合物として含まれています。

酸素には、他の物質が燃えるのを助けて酸化物をつくる性質があります。例えば鉄は、空気中でどれほど熱しても、ただ熱くなるだけで燃えません。しかし酸素の中に入れるとよく燃えて、酸化鉄となります。

また、生物は呼吸によって空気中の酸素を体内に取り入れ、栄養分を燃やして生命活動に必要なエネルギーを得ているのです。

温室効果のある「二酸化炭素」

二酸化炭素は「他の物質の燃焼を妨げる」「水に溶けやすい」などの性質を持ちます。植物が光合成に利用することや、温室効果があり地球温暖化の一因とされていることでも有名です。

現在、空気中の二酸化炭素の割合は約0.04%ですが、18世紀の中頃までは約0.03%に満たない数値でした。しかし18世紀後半以降、人類が石炭や石油などの化石燃料を大量に燃やしたために、濃度が上がったと考えられています。

農地や工業用地などの開発で森林が減少し、光合成による二酸化炭素の消費量が減ったことも、濃度上昇に影響しているといえます。

空気にまつわるQ&A

空気についてよく考えてみると、さまざまな疑問が湧いてくるかもしれません。空気が生まれた経緯や性質など、三つの疑問に答えます。

空気はどうやってできた?

空気は、地球誕生当時からあったわけではありません。地球ができたとき、火山噴火や隕石の衝突などによって、大量のガスが放出されます。

地球には強い重力があるため、ガスは宇宙空間に逃げず、表面にとどまり大気となりました。この頃の大気は、二酸化炭素・水蒸気・窒素などで構成されており、酸素はありませんでした。

しばらくして地球の温度が下がってくると、大気中の水蒸気が水になり、海ができます。水に溶けやすい二酸化炭素は、ほぼ海に吸収され、残った窒素が大気の主成分となりました。

やがて海の中で光合成をする植物が生まれ、地上にも進出します。こうして酸素がつくられ、現在の空気となったのです。

空気にはどのような性質がある?

空気には、主に二つの性質があります。

●温度によって重さが変わる(温かいほど軽い)
●熱を伝えにくく、逃がしにくい

空気の重さは温度20.0℃、湿度65.0%の場合、1L当たり約1.2gです。それよりも温度が上がると軽くなり、下がると重くなります。

この性質を利用した乗り物が、熱気球です。熱気球は内部の空気を温めて、周囲の空気よりも軽くすることで空に浮かびます。

熱を伝えにくく逃がさない性質は、気泡シートや断熱材に使われ、住宅やビニールハウスなどの保温に役立っています。

空気がなくなるとどうなる?

もしも地球から空気がなくなったら、生物は生きていけません。その理由は主に四つあります。

●呼吸ができない
●形を保てない
●寒くなる
●有害な紫外線にさらされる

空気がなければ呼吸ができないので、そもそも生命活動の維持は不可能です。また生物の体は、気圧と体内から押す力のバランスによって形が保たれています。空気がない場所では体の形を保てず、仮に酸素ボンベで呼吸だけはできたとしても、やはり生きていけません。

空気がなくなると、地球の環境も大きく変わります。温室効果が失われるため、地表はマイナス約18℃と、まるで冷凍庫の中のようになってしまうでしょう。

また地球の上空には、オゾンと呼ばれる酸素原子からつくられる気体の層があり、有害な紫外線を吸収しています。空気がなくなるとオゾンもできないため、大量の紫外線が直接地表に届くことになります。

空気の存在を意識してみよう

地球誕生以来、空気は気が遠くなるような長い時間をかけて現在の組成となりました。空気を構成する主な成分は、いずれも生物にとって重要なものです。中には二酸化炭素のように、濃度が変化することで環境に大きく影響する成分もあります。

人類はもちろん全ての生物と密接にかかわる空気について、親子でじっくり考えてみると、さまざまな気付きを得られるかもしれません。

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文・構成/HagKum編集部

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