「胆のう」の謎解き!どんな役割? 体内で何をしているの?【親子で人体を学ぶ】

胆のうの基本情報

胆のうは、名前を聞いたことがあっても、実はよく知らないという人が多いのではないでしょうか。ここでは、胆のうの基本情報、機能や役割、胆のうと食べ物の関係、万能の病気、予防とケアを紹介します。

胆のうの基本情報

胆のうは、名前を聞いたことがあっても、からだの中のどこにあるのか? どんな形をしているのか? どんな役割や働きをしているのか? などはよく知らないという人が多いのではないでしょうか。ここではからだの中で大切な役割を担っている「胆のう」について詳しく解説していきます。

胆のうとは

胆のうは、消化器官のひとつで、肝臓が作り出した胆汁を濃縮し、保存しています。食事などで刺激が与えられると、胆のうは縮小し、胆汁を胆管を通して十二指腸に送り込みます。胆汁は脂肪を分解する働きを持っています。

胆のうの位置はどこにあるの?

胆のうは、肝臓の下にあり、胆管を通じて肝臓、十二指腸と繋がっています。肝臓と十二指腸の中間にあるとも言えます。

胆のうの形と大きさ

胆のうは、小さな袋状をしています。洋梨を横にしたような形をイメージするとわかりやすいでしょう。

胆のうは、個人差はありますが、長さ10cm、幅4cm程度で、胆汁を50ml程度、貯めることができます。食事のあと、消化に備えて胆汁を貯めているときは膨らみ、空腹時には縮んでいます。

胆のうの機能や役割

肝臓や消化とかかわっている胆のう。機能や役割を具体的に見ていきましょう。

機能や役割1:胆汁(胆液)の貯蔵

胆のうの一番の機能・役割は、肝臓で作られた胆汁(胆液とも言います)を貯めておくことです。肝臓は胆汁を常に作り続けているので、胆のうに貯めておき、消化が必要になったとき、つまり食事の後に十二指腸に送り込みます。

機能や役割2:胆汁の濃縮

胆のうは、胆汁をただ貯めておくだけでなく、貯めている間に胆汁から水分を吸収して、胆汁を濃縮します。胆汁は脂肪を消化する機能を持っており、濃縮されるとこの機能が一層高まります。

機能や役割3:脂肪の分解

胆のうで濃縮され、保管された胆汁は、食事で取った食べ物が胃で消化され、十二指腸に入ると、胆のうから胆管を経て、十二指腸に流れ出します。食事による刺激で、胆のうが収縮し、胆汁を十二指腸に向かって押し出すのです。

胆汁は、脂肪を分解して、脂肪酸とグリセリンに変え、より吸収しやすくします。

胆のうと栄養│食べ物とどう関連している?

胆のうは脂肪を分解して、栄養として吸収しやすいものに変えます。胆のうと栄養、食べ物の関係を見ていきましょう。

食べ物が胆のうにもたらす直接的な影響は?

私たちが食事で取った食べ物は、胃で消化されて、十二指腸、小腸に送られます。一方、肝臓や脾臓は消化に必要な消化液をつくり、十二指腸に流し込んでいます。つまり十二指腸では、胃で消化された食べ物と消化液が混ぜられ、小腸で栄養素が吸収されやすいように分解しています。

脂肪をたくさん含む食事を取ると、胆のうは胆汁をたくさん十二指腸に送り込もうとします。脂肪を分解し、栄養素を取り込むためです。つまり、脂肪の多い食事を取り続けると、胆のうに負荷がかかることになります。

胆のうを守る食べ物

脂肪が多い食べ物は胆のうに負荷を与えます。つまり、低脂肪な食べ物は胆のうを守ることにつながります。コレステロールも脂質の一種なので、低コレステロールの食べ物も胆のうに良い食べ物になります。

また食物繊維を多く含む食べ物は、胆汁の流れを良くし、胆石を予防するとされています。

胆のうを守る飲み物

水分が不足すると、胆汁が濃くなりすぎ、流れが悪くなって、胆石につながる可能性があります。こまめな水分摂取は、胆のうを守ります。一方、アルコールやコーヒーを飲みすぎると、胆汁が濃くなってしまいます。

胆のうの病気胆石とは

胆のうを健康に保つためには、どのようにすればよいのでしょか。胆のうの代表的な病気とその予防方法を解説します。

胆石とは│胆のうが病気になる原因

胆のうの病気として、よく知られているのが「胆石」です。胆石は簡単に言うと、胆のうや胆管で胆汁が何らかの理由で固まってしまったものを言います。

胆石ができる直接的な原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、胆石には食事が関係しています。脂肪を取る量が増え、胆石ができやすくなっているのです。

また胆のうは、胆汁を貯めたり、送り出したりして、食事のたびに膨らんだり、縮んだりしています。胆汁を十分に送り出すことで、実は同時に胆のうや胆管の中を掃除しているのですが、食べ過ぎやストレス、加齢などで、胆のうの働きが鈍ると、胆汁が残ってしまうことがあります。これも胆石につながります。

胆石はからだに悪い?│痛みは要注意

胆石そのものは、いわば胆汁の残りカスが固まったようなものなので、特に有毒なものではありません。健康診断などで胆石が見つかっても「特に治療などは必要ありません」と言われた方も多いでしょう。日本人の10%強は、胆石があると言われています。

ただし、痛みがある場合は別です。小さな胆石でも、胆のうと胆管がつながる部分などに詰まってしまうと、痛みが出ることがあります。すぐに医療機関を受診してください。

胆のうの健康予防とケア│胆のうを健康に保つためにできること

胆汁を貯め、脂肪の消化を促進している胆のう。胆のうを健康に保つためのポイントを見ていきましょう。

低脂肪・低コレステロールな食事

胆のうを健康に保つための基本は、低脂肪・低コレステロールな食生活です。よく言われていることですが、私たちの日々の食事は欧米化が進み、脂肪やコレステロールが多くなっています。バランスの取れた、健康的な食事を取ることは胆のうの健康はもちろん、健康の基本になります。

食物繊維の多い食事

なかでも食物繊維の多い食べ物を意識することは、胆汁の流れをスムーズにし、胆石ができるリスクを低くするとされています。野菜や穀物などを積極的に取るようにしてください。

適切な水分の摂取、アルコールやコーヒーを控える

十分に水分を取り、アルコールやコーヒーを控えることは、胆のうを健康に保つことにつながります。水分が不足したり、アルコールやコーヒーを取りすぎると、胆汁が濃くなりすぎて、胆石ができやすくなってしまうのです。

胆のうは肝臓の重要なパートナー

胆のうは肝臓の重要なパートナー
胆のうは肝臓の重要なパートナー

ここまで見てきたとおり、胆のうは肝臓が作る胆汁を貯め、濃縮して、適切なタイミングで十二指腸に送り込むという大切な役割を担っています。いわば胆のうは肝臓の重要なパートナーと言えます。

胆のうの健康を守るためには、脂肪やコレステロールの取りすぎに注意し、水分を適切に取るようにしてください。

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