学校にケーキを持ち込んで、パーティ!
子どものバースデーパーティ。
楽しいし幸せだけど面倒くさくもある、冬の日の温泉みたいなこのイベント。
みなさま、毎年どんなふうに過ごしてますか?
うちの場合、日本にいるときは、私の実家・富山に帰省して毎年バースデーパーティしていました。なぜなら、富山に住む甥っ子が息子と1年違いの同じ誕生日で、ダブル・バースデーパーティをするのが恒例行事だったから。(ちなみにこの甥っ子、息子と同じ病院で生まれ、同じ誕生日、同じ星座、同じ血液型、そして左利きまでいっしょ。少女マンガなら運命の親友でしょうこれ!)冬の富山ですから、当然、寿司&刺身天国のパーティデイズ。要するに親に頼りまくってました。えへん。
では富山から遠く離れ、スペインにいる今はどんなかんじかというと…。
私の知る限り、息子の通うバルセロナのブリティッシュスクールもスペイン現地校も、パーティのやりかたにそんなに大差はありません。
まず、いちばんシンプルな形は、学校でのパーティ。
誕生日当日(休みの場合はその前後)に、登校時に親が先生にバースデーケーキを渡す(こちらの学校は親が送り迎えするので)。→先生がクラスでそのケーキを出してくれて、皆でお祝いしてくれる。→子どもによっては、ケーキの他にキャンディなどの小さなお菓子を配ることもある。→当日か翌日、以前この連載で紹介した学校SNSアプリに先生が写真をアップしてくれる、という流れ。こんなかんじの写真です。
へぇ〜、誕生日の子が学校に自ら持ち込むんだ!学校で皆で祝ってくれるんだ!
と、最初はビックリしたのですが、どこかで買って持ち込むだけだし(親によっては手作りだけどうちはもちろん買ったよね)、子どもは喜ぶし、親は楽。あと、これは全員がやるというわけではなく、やりたい人はやっていいよ、持ってくれば協力するよ、みたいなゆるいシステムだったりします。
ちなみに、この「誕生日の人が周りにふるまう」はスペインでは大人も共通のバースデー文化らしく、会社でも小さなお菓子を配ったりするんだとか。「ハッピーバースデー、自分!」みたいなかんじなんでしょか。誕生日プレゼントを自分で配りまくるっておもしろい。きっと「誕生日なの?じゃあ今夜呑みにいこうか?おごるよ!」を期待してのアピールなのでしょう。ナイスアイデア!(え、違う?)。
以上がいちばんシンプル篇。
友達を招待して、パーティ!
この学校でのお祝いプラス、多くの家庭が、週末や放課後にバースデーパーティを開催します。
息子学校クラスのチャット(日本のLINEみたいなアプリwhatsappを使ったグループ)で、いちばん飛び交う話題がこのバースディパーティについて。息子のクラスは20人ちょっといるので、ひと月に一回くらいパーティのお誘いメッセージが送られてきます。同じ月生まれの子が、合同開催するのもしょっちゅうです。
息子のクラスの場合は、全員招待→来れる人はよかったら来てね!というかんじのシステム。開催する人もしない人もいるし、参加する人もしない人もいるし、このあたりはかなり自由です。参加できない家庭も、返事スルーだったり、「その週末はスキーなの!残念。でも楽しんで!」みたいにさらっと断ったりしています。そのあたりの軽いかんじはけっこう好き。とはいえ、もうちょっと高学年になると、仲のいい子に絞って招待したりするので、そうなると予定あって断る、とかはもうちょっと気を使うそうです。
そして、パーティの開催場所についてのパターンは3つあります。
(1)公園
いちばんカジュアルなやりかた。公園にケーキや飲み物を持ち込んでお祝いするだけ。木に風船などで飾り付けすることも。
スペインに住んで最初の頃、公園で何かパーティしてる人がよくいるな…と思ってたのですが、バースデーパーティと知ってビックリしました。でも場所代タダだし、家の掃除とか気を使わなくていいし、子どもは楽しいし、これなかなかよいやりかたではないですか?1度だけ参加しましたが、ほんと〜にサクッとしたカジュアルパーティでした。
(2)自宅
息子の学校クラスで自宅開催はいままで一度だけ。自宅開催の場合は、行って納得、学校のすぐ近くの家で、広いテラスも庭もある素敵ハウス。「なるほど、これなら自宅でやるわ〜!」とうっとり&納得でした。私の中では「海外のお金持ちの家を見れた楽しいイベント」位置づけでした。
(3)屋内プレイパーク
息子クラスのほとんどのパーティは、この屋内プレイパーク開催。バルセロナ市内には、こんなかんじの遊具がある施設が何カ所かあって、パーティ会場としても使われているのです。バースデーセットみたいなものがあるらしく、飲食の準備をしなくていいし、施設によってはスタッフが誕生日を盛り上げてくれるので、子どもはそりゃあもう楽しいし、親はむちゃくちゃ楽です。
ちなみに、こういう施設でやる場合は、参加家族の入場料は主宰家族が負担。参加者は、バースデープレゼント代を出します。息子のクラスの場合は、パーティ当日に参加者でお金を集めて(ひと家族5ユーロ前後。参加者の有志が集金係をする)、そのお金をそのままバースデーの主宰家族に渡すシステム。そのお金を足しにして豪華なプレゼントにしたり、または施設利用費に利用する仕組み。これ、シンプルでなかなかいいと私は気に入っています。呼ばれたほうの負担も少ないし、好みに合わないプレゼントをもらうこともないし、なかなかに合理的。しかも、仲のいい子で個別にプレゼントを送りたいって場合は、この集金からは外れて個人的に渡すのもアリ、という自由度もあったりします。
ただ、いろんな人の話を聞くと、このバースデープレゼントのやりかたは、学校やクラスによっていろいろみたい。それなりにお金持ちが多い学校(クラス)の場合、個別プレゼント義務、というのも多いらしく「バースデープレゼントってけっこうな出費!」の声も。そりゃそーだ。しょちゅうパーティはあるのに、毎回買いに行くのもそれなりに大変だしなあ…。息子クラス、シンプル&合理的で助かった!!
この自宅&室内プレイパーク開催のパーティ、目からウロコのことがいろいろあったのですが、この体験談詳細を描くのは別の機会に譲るとして…。
最後に、このバースデーパーティの痛い思い出を描こうと思います。
バースデーパーティで、骨を折る
息子クラスのバースディパーティにうちが初めて参加したのは、転校して3カ月くらい経ってから。学校にもなじんできて、友達もできて、息子仲良しの男の子のパーティに誘われたので、そろそろデビューするか!と家族で参加したときのこと。
会場は大きな屋内プレイスペースで、息子はそりゃもうおおはしゃぎ。すぐに友達と巨大遊具の中に消えていきました。私たち夫婦は、ビールを飲みつつ、ドキドキしながら、他のママパパと交流。
普段の学校では、他の親とはすれ違ったら挨拶程度なので、このバースデーパーティはママパパ同士がゆっくり交流できる場でもあります。今まで正体不明だったママパパたちにちゃんと挨拶したりできて、「いや〜子どもは子ども、大人は大人ってかんじで、こりゃいいな〜」なんて呑気に思っていたら…。
しばらくしたら、えんえんと泣きながら戻ってきた息子。
「あちゃー、またどっかにぶつけたかコケたか〜」と軽く思っていたら、いつまでたっても泣き止まない。痛みに強い息子にしてはどうもおかしい。急遽、休日診療の病院にタクシーで駆け込み、診察してもらったら、なんと腕の骨にヒビが入ってました。その結果、ここから数ヶ月のギプス生活がスタート。幸いにも利き腕とは逆でしたが、それでもかわいそうだったよね…。そして着替えなどいろいろ面倒になり、親の私も死んだよね(涙)!!もちろん、パーティにもしばらく参加できませんでした…。
しかしバースデーパーティに参加して骨折るってどういうこったい!!!
原因は、だいぶあとでわかったのですが、友達同士のこぜりあいから遊具のどっかにぶつけた、みたいなことでした。息子クラスのアメリカ人男子ママが「本当に男子は目を離すと、ケガをして帰ってくるわよね!」と言ってて、ああ、うちだけでなくて世界共通ですかい…と遠い目で思ったものでした。うちの息子ぽっちん、カラダはとても健康なんだけど、昔からケガが多いんだよね…。でも、実は私も夫も子ども時代は同じタイプ。息子よ、すまん、血筋でした!!
というわけで、いまでも、我が家の初めての海外バースデーパーティの思い出は、ギプスの思い出とセットなのです。ああ、パーティデビューして、皆になじむ前にいきなり病院直行!なんてせつない我らジャパニーズ・ファミリー!!全日が泣いたよね…(「全米が泣いた」はよく聞くけど「全日(本)が泣いた」はなぜか聞いたことないので試しに使ってみました)。
そしてこのパーティ骨折り事件から1年後、ついに我が家も学校の友達を呼んでバースデーパーティを主宰することになるのですが…そんな話はまた別の機会に!
ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月よりスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。スペインに住んでからは、「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。6歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを英語とスペイン語つきで発信中。
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