連絡プリントゼロの小学校
桜の季節がついに到来〜!
今あちこちで桜を見かけるバルセロナ。たいていは日本で見るような大木の桜じゃなくてしょぼめで華奢な桜なのだけど、日本人としてはやっぱり嬉しい。ああ、我が身に流れる花見大好き民族の血よ…!でもたまに、桜の木の横にオレンジの実がたわわになったの木が並んでたりして「スペインの春って!?」と驚いたりもしています。
さてさて。
前回は息子が通うブリティッシュスクールの登校時の持ち物が少なくて軽いことについて書いたのですが、今回のテーマは、小学校のプリント事情についてです。
結論から言うと、息子の学校では「学校から親の連絡プリント」は、
「ゼロ」
……でした。
どえええええええええ!!
だって日本では、「プリントがとにかく多すぎる」「内容が整理されてなくてわかりにくい、重複も多い」「プリントの仕分けにひと苦労」「子どもがプリントをなくしたり出すのが遅かったりしてイライラ」「保育園は働くママのことを考えてくれてたけど、小学校は全然違った」ていう、いわゆる「プリント地獄」話をよく聞いていたのに…。
それってプリン体ゼロのアルコール並みに謎ではないですか!?(ダジャレは余計ですねそうですね)
連絡はアプリ、サイト、メール
じゃあプリントのかわりで何で連絡が来るかといえば。
息子の学校の場合は、メイン連絡手段は、アメリカの企業が開発した「Edmodo」というアプリ。現在世界190カ国で使われている、学校SNSとかedutechとか呼ばれてるジャンルのプラットフォームらしく、こんなかんじです。
IDやパスワードを教えてもらってログインすると、ここでクラスと学校の情報いろいろを見ることができます。息子の学校の場合、ここでチェックできるのは、
- ・行事や持ち物や注意事項のおしらせ
- ・今後の授業内容、指導計画のおしらせ
- ・宿題の説明とデータ(宿題がプリントのときは持って帰ってくるのだけど、紛失した場合は、ここからプリントアウトできる)
- ・授業や行事のリポート(写真や動画の閲覧&ダウンロード可能)
- ・勉強の参考になりそうなアプリやサイトやyoutubeの紹介
などです。投稿がアップされるとメールでおしらせがきて、そのリンクからページに飛んでチェックする仕組み。ちなみにこのアプリ、もっと高学年になると、生徒自身もアカウントを持って参加したり、この中で小テストができたりの幅広い使い方ができるそう。
さらにそのほかの連絡方法は…
【メール】
- ・行事や持ち物や健康情報などの重要なおしらせ
- ・生徒個別の連絡
- ・給食メニュー紹介(PDF添付)
- ・親からの連絡(病欠や遅刻など)
【学校サイト(学校サイト内の親しかログインできないページ。たいていメールからリンクが張られててページにいく)】
- ・入学や進級のときの情報記入フォーム
- ・行事や保護者会の参加申し込みフォーム
- ・制服購入申し込みフォーム
- ・成績表
【Whatsapp(海外ではかなりメジャーなLINE的なメッセージアプリ)】
- ・クラスのママパパチャットグループ。行事や宿題などでわからないことはここで質問しあっている。PTA的なものに参加しているママからおしらせが来ることも。
というかんじ。重要なおしらせはアプリとメールのWで連絡が来るので、見落としを減らせるところが、私のようなうっかり者には嬉しいところ。書き込みが必要なものもすべてネット上で入力するので、プリントなしで基本問題なくまわっています。というか、むちゃくちゃに楽です…!(だって私の場合、長文だったり難しい文章だと翻訳アプリに頼るのだけど、翻訳アプリはデータのが断然使いやすいってのもあるし…。これがプリントだったら死んでたよ)
世界の小学校はアプリをどんどん導入し始めている
慣れてしまったらとても便利なこのシステム。
でもそこで思ったのは、「うわあ…。うち、いずれは日本に戻るのに、こんなのに慣れちゃって、日本でやっていけるのかなあ…。というか、そもそも、これって私立のインターだからだったりするの?」ということでした。
そこで、個人的な興味もあって、小学校の連絡システムについてあちこちでアンケート取ったり、自分で調べたりしてみたのです(ハイ、興味を持つとしつこい性格ですよ)。
アンケート協力をお願いしたのは、私のTwitterとfacebook、そしてバルセロナの「Mamas chat」(バルセロナの日本人ママ約180人が集うWhatsappグループ。新しいラーメン屋情報から育児情報まで飛び交っててむっちゃ便利。いつもお世話になってます♡)。おかげさまで、日本やスペイン、そしてスペイン以外の海外のいろんな情報が集まりました。
その結果わかったのは、日本でも、プリントや連絡帳だけではなく、ネットシステムを利用している学校があること。なかでも多かったのは「マチコミ(不審者情報や、今日明日に必要な連絡の一斉メール配信)」や「ミマモルメ(ICタグを利用して、安全に登下校できたかが親にメール配信される&緊急時の一斉メール配信)」でした。
なるほど〜。スペインだと小学生はまだ親といっしょに登下校するけど、日本だと子どもがひとりで登下校するからそういうシステムが存在するのだねえ。
ただ、いずれもメール配信のシンプルなもので、息子の学校で使っているような学校SNSアプリはほとんど導入されてないよう。なので、プリントや連絡帳の使用はかなり多め。その一方で、プリント地獄を解消するためのアプリというのがあって、たとえば「ポスリー」や「おたよりBOX」は、紙のプリントを撮影してそのデータを整理できる専用アプリ。えええ、なにその逆転現象!日本、技術があるんだかないんだかよくわからないぞ…!!!
一方、海外だって、プリントや連絡帳やママパパチャットグループやメールのみという学校ももちろんたくさんありました。でも、どうも日本よりはアプリを導入している学校は多いし、しかも導入してるのが私立の学校とも限らないし、いま現在、アプリの導入実験中、つまりこれから導入する学校もけっこうあるようで…。
ちなみにアプリを導入している場合、使われているのは上で紹介した「Edmodo」のほか、「ClassDojo」(アメリカ発。世界180カ国以上で使用されている)、「Classroom」(アメリカ発。googleと米国内の教育者が協力して開発)、「Tapestry」(イギリス発)、「Classting」(韓国発。韓国のかなりの小学校で使われていて、他国にも展開中)、「educamos」(スペインと中南米各地で利用されている)、「Dinantia」(これはバルセロナのあるカタルーニャ地方が中心ぽい)などなど。
それにしたってちょっと調べただけでこのアプリの数。つまりは、私の想像以上に、学校SNSアプリって世界にどんどん浸透してきてるってことだよね?しかも日本のお隣の韓国の小学校でかなり普及してるってビックリ…!
これだけ幅広く、しかも公立校でも使われてるんだったら、日本でももっと普及してもよくない?…と、どうしたって思ってしまうのです。
でも実は「Edmodo」や「Classting」などは数年前から日本進出もはじまっていて(なんとあのZ会がEdmodoと提携)、実験的導入している学校もまだ少ないけどあるそう。そして日本発の「ednity」という学校アプリもあるそう。へ〜!
将来的に、日本にあういいカタチで広まるといいなあ。だって、そのほうがママパパも、たぶん先生も楽だし、アプリによっては教育効果もありそうだから。
ところで、今回調べて驚いたのは、世界的にシェアされている学校SNSはアメリカ西海岸発が多かったこと。今回紹介した息子の学校の連絡アプリ「Edmodo」も「ClassDojo」もそう。私はいま「twitter」「Facebook」「google」「YouTube」「whatsapp」「Edmodo」を毎日のように使っているから、スペインに住んでいても、いかにアメリカ西海岸企業のお世話になってるかをあらためて思い知ったのでした。
シリコンバレー、恐ろしい子…!!
というわけで、思いがけず、スペインからアメリカ西海岸にたどりついてしまった、小学校のプリント事情でした。
(※学校SNSアプリの世界シェア数についてですが、この数は、小学校だけではなく、中学校、高校、大学、塾、教室なども含まれていると思われます)
さて次回は、もうちょっとゆるめに、最近あった子どもイベントを紹介したいと思います。お楽しみに!
ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月よりスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。スペインに住んでからは、「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。6歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを英語とスペイン語つきで発信中。
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