目からウロコ!子ども仮装ウィークで「人助け」【ハラユキの 「発見!子育てダイバーシティ in バルセロナ」4】

2月は世界のカーニバルシーズン!

お祭りは好きですか?

私ことハラユキは、お祭りは見るのも参加するのも大好き。

日本では各地の盆踊り大会で踊っていたし、浅草サンバカーニバルにも2回出場(あのセクシー衣装着たの!?と驚くかもですが、答えはNOです。サンバは露出度高い衣装のイメージが強いけど、実はそうじゃない衣装のダンスパートや楽器パートや子どもパートもあるのです。親子3代で楽しめる最高に楽しい祭りだよ〜!)

さらにスペインに住んでからは「セビージャの春祭り」でフラメンコ衣装を着て踊り、「パンプローナの牛追い祭り」で疾走する牛を人ごみに混じって見物し、南スペイン各地の「聖週間(セマナ・サンタ)」では厳粛なパレードに心が震えたりしてきました。

ちなみに「カーニバル」という言葉、日本ではただのお祭り的な意味で使われていますが、本来の意味は「謝肉祭」。

キリスト教カトリックを信仰する地域では、2月〜4月は祝祭ラッシュで、「謝肉祭(カーニバル)」→「四旬節」(節制期間。最終週は「聖週間」と呼ばれる)→「復活祭(イースター)」の順に祝祭が行われます。

 

 

最初の「カーニバル(謝肉祭)」は、いろいろ我慢しなきゃいけない節制期間「四旬節」の前にどんちゃん騒ぎしちゃおうぜ!きゃっほー!的な祭り。今や宗教的な意味を離れて、世界でも謝肉祭の時期はお祭りシーズンとして定着。実は、ブラジル・リオのサンバ・カーニバルも、仮面で有名なイタリア・ヴェネチアのカーニバルも「謝肉祭」の時期にあわせて開催されているのです。

そんな「カーニバル」、スペインでは「カルナバル」と呼ばれて、仮装イベントという位置づけ。仮装といえばハロウィンを思い浮かべる人も多いと思いますが、ハロウィンの本場はアメリカ。ヨーロッパでは、ハロウィンもやるはやるけど、仮装でいちばん気合いを入れるのはこのカーニバルシーズン!らしいのです。

そんなわけで今回は、今年2月の終わりに行われたスペイン式カーニバル「カルナバル」について紹介しますよ〜。

毎日が違う仮装!スペインの「カルナバル」

カルナバルの時期になると、バルセロナでは学校行事として仮装が行われます。登下校の子どもたちが仮装しているので、もうむちゃくちゃにかわいい…!毎日が目の保養です。

とはいえ、うちの息子が通っている学校はブリティッシュスクールだからか、いかにもカルナバル!な行事は残念ながらやりません(バルセロナの日本人学校ではガッツリやってるのにね〜)。

そこで、お子さんが現地校に行ってる友人に聞いてみたら、学校でのカルナバル行事はこんなかんじだったそう。

 

バルセロナの現地校(幼稚園&小学校)では、1週間毎日違う仮装をするところが多いようですが、友人の学校では前日の夕方(!)に「明日はこんな格好をしてきてね」という仮装テーマが発表されるとか。仮装テーマは毎年違って、今年のテーマはこんなかんじ。

…変な髪型
…キャラクターの格好
…パジャマ
…服を表裏前後後ろ逆で着てくる
…授業で先生といっしょに作ったクラスお揃いの衣装を着て、学校の周りを1時間くらいかけてパレードする

金曜以外のテーマは前日発表ということで、ママパパは戦々恐々とするらしいけど、その代わりに、仮装しない子もけっこういたり、それも全然OKというゆるさなんだとか。もちろんもっと事前に発表する学校もあって、そういう学校だと、もっと親子でガッツリ気合い入れて仮装準備をするそう。

それにしても毎日違う仮装って面白いな〜!そして、服を逆に着るとか、パジャマとか、ビミョーで超カンタンな仮装の日があるってのも面白い(うん、そういう日がないと親は死んじゃうよね笑)。うーん、私の知らない仮装の世界!

仮装して、病気の子どもを応援する

さて、いかにもなカルナバルな行事はない息子の学校ですが、実はその時期に1日だけ仮装イベントはありました。

それは「クレイジーヘア&ハットデイ」。

服装は制服のままで、頭だけは、髪を染めたり、帽子やかぶりものOKという日。そのイベントの翌日から5連休だったので、染めた髪の毛は、連休明けまでに色を戻せばいいというルール。こんなかんじでした。

 

むちゃくちゃかわいかったし、面白かった…!!特にタコさんヘアーの女の子、最高すぎだよ…!制作者のママかパパ、ブラボー!!

さて、なぜにこのイベントがカルナバルとは直接関係ないかというと、このイベントには別の目的もあったから。実は、この仮装に参加するには、最低2ユーロからの参加費を払う必要があり、そのお金はある寄付にまわされるという仕組みだったのです。

その寄付とは、病気のお子さんの治療費。

実は、この学校に以前勤めていた先生が、お子さんが海外での治療も必要なほどの難病でかなりのお金が必要という状況。そこで息子の学校では、今回のように行事とセットにしたり、手を変え品を変え、いろんな形でしょっちゅう寄付金を集めているのです。

つまり今回は「カルナバルに便乗!仮装で人助け」的なイベントだったわけですが、これには私、むちゃくちゃ感心してしまいました。

だって、日本だと、寄付とかボランティアって、姿勢をピシリと正してやるようなマジメイメージないですか?

それなのに、このクレイジーヘア&ハットデイときたら、子どもたちはいつもと違うハデハデヘアーになれて楽しくて、親はその様子を見て楽しくて(しかも頭だけだから準備も楽)、さらには、病気の子どもを助けることができて、子どもに参加費を持たせるときにはお金の趣旨も説明するから子どもも「寄付」について学べる。もう、WINがいくつあるんだよ!!!っていうくらいよくできすぎシステムなのです。

寄付ってこんなに楽しくできるんだ!!と目からウロコだったし、私の中の寄付のイメージがガラッと変わりました。楽しく過ごすことで誰かを助けられるなんて、そんなの最高に決まってます。なんて賢いんだ…!

ちなみにこの難病のお子さんの愛称は「テディー」といって、息子の学校ではテディーイベントはもうすっかりおなじみ。というか、うちの学校イベントの半分以上にテディーくんが絡んでいると言っても過言でないくらいなのです。

そして最近、学校からのメールで、テディーくんの近況がわかるFacebookページを知りました。小さなテディーくんは、鼻に管をつけながらも、ほとんどの写真が笑顔でした。

 

会ったこともないテディーくん。

君のおかげで、うちの家族は寄付についてとてもいろんなことを学べたよ。

病気と戦う君とご家族を心から応援します。

これからも、できるかぎり寄付は続けるよ。

早く治療費が集まりますように!

そして、どうか病気が君の体から早く消えてしまいますように。

 

(テディーくんの治療費はまだまだ足りないそうです。もし興味ある方は「Team Super Ted」で検索してみてください。英語ページになりますが、一般でも寄付金を募集しています。かわいい子なんだよ〜!)

 

 

そんなわけで、スペインのカーニバルいろいろでした。

次回は「子どもと語学」について書きますよ〜。

 


ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月よりスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。スペインに住んでからは、「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。6歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを英語とスペイン語つきで発信中。

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