子どもが英語を始めるベストタイミングって?【ハラユキの 「発見!子育てダイバーシティ in バルセロナ」5】

英語とスペイン語を話す7歳の息子

「歯と英語は親の責任」

以前、東京の某子ども英語塾の書籍に仕事で関わったのですが、その教室に通うあるご両親が言われていたのがこの言葉です。

ひょえええええ…!!
な、なんて恐ろしいことを言うんだ!
歯はともかく、英語まで責任持てるか〜い!!!

と、そのときはビックリ&軽く引きました。多少触れさせるくらいならともかく、幼児期からガッツリ英語やらなくても…というのがそのときの私の考えでした。通っていた保育園も英語レッスンはなかったので、息子の日本での英語教育はゼロ。とはいえ、4歳のときに一度だけ子ども英語教室に連れていったことはあります。住んでた地域の子育て応援券でタダで受講できるから、という理由でした。でも入り口でむちゃくちゃに嫌がられ、教室に入る前に挫折…(涙)。

それが人生は摩訶不思議、スペインはバルセロナに住んで息子がいま通っているのは、いろんな理由でブリティッシュスクール!保育園年長の年齢から、英語ペラペラワールドに突入することになったのです。

そして現在。スペインに引っ越して2年弱、日本人学校からブリティッシュスクールに転校してから1年3カ月。息子の語学力はといえば…。

 

バ、バイリンガルどころやない…!!

息子の学校は基本英語で、授業でスペイン語とカタルーニャ語があるというシステム。スペイン人の生徒も多く、休み時間は英語以外で喋ってもOKルールということもあって、スペイン語力も伸びたようです。(英語インターは、休み時間でも英語以外禁止という学校もある)

でも語学より何より、友達もいっぱいできて楽しそうなのがとにかくよかった…!ほっっ!!(感涙)

なぜそんなに嬉しいかといえば、息子が転校したのが5歳の終わり頃だったから。もっと小さい時期だと自然に溶け込む確率が高いけど、5歳はかなり自我がしっかりしている年齢。私がスペイン渡航前に集めた情報によれば、5歳前後だと、海外の学校への反応はかなりバラバラ。「すぐに慣れたよ!」から「時間かかった」から「だんだん目に生気がなくなって笑顔がなくなって、結局、日本人学校に転校した」みたいな話までありました。まさに個人差…!そんなこともあって、最初は日本人学校に入れたし、日本人学校が遠くて転校を考えたときもかなり悩んだのでした。かつて息子が英語教室を断固拒否したというのもひっかかっていました。

でも、息子は、いまや海外の学校にも慣れて語学も習得。というか、ブリティッシュスクールに入れた時点でスペイン語は伸びないと思ってたので、予想以上にうまくいってます。なんでかな?今にして思えばこれがよかったのかな?そんなことを今回は書こうと思います。

いろいろやってみた、語学的環境づくり

バルセロナは、公用語がスペイン語とカタルーニャ語で、さらに英語も飛び交う街。大人の私ですら頭が混乱する世界です。なので、スペインに来て最初に私がやったのはこれでした。

(1)単語カードを作って壁に張りまくる

 

 
 

私の勉強も兼ねて、A5サイズの紙に書いて家中にベタベタ張っていたのがこの単語カード。「に」は日本語、「え」は英語、「す」はスペイン語、「か」はカタルーニャ語です。

なぜにこれを作ったかといえば、職業柄、私はビジュアルにしたほうが記憶できる人間だから。1日1枚、息子にリクエストされた言葉で、イラストは私が描いたり息子が描いたりで少しづつ増やしていきました。これのおかげで、息子に言語の種類分けが理解してもらえた気がします。

ちなみに、今はもうこの張り紙はすべて取ってしまったのですが、息子が描いた「タクシー」の紙だけ額装して飾ってます。息子が書いた絵がかわいいし、「タクシーだけ、何語でもタクシーなんだね〜!」と息子が喜んでたのが懐かしい思い出なので。

このやりかた、絵を描くのが好きな親子にはオススメです。楽しいし記念になるよ〜!

(2)テレビは見放題(ただし英語かスペイン語で)

日本にいるときはテレビの時間制限をしてたのですが、こちらに来てから上限なしにしました。ただし英語かスペイン語ならという条件。スペインのテレビは、アニメを中心とした子ども番組を1日中やっている局がいくつかあり、その制作国の言葉に切り替えて見ることもできます。「ドラえもん」など日本のアニメは日本語にも切り替えられるのですが、切り替えできることは、最初の1年間はナイショにしてました。

子どもは、アニメだと何語だろうがわりと普通に見るので、息子は、これによってかなりスペイン語に慣れた気がします。ちなみにスペイン語の先生にも、テレビアニメのスペイン語は語学勉強にかなりいいよとオススメされました。Youtubeもいろんな言葉で見てました。

(2)親も勉強する

私の語学力はかなりヘタレなので、スペインに住み始めた当初はかなりあせって勉強してました(主に生活に必要なスペイン語を)。昼間は仕事をしてて勉強できなかったこともあり、上で紹介した単語カードつくりなどいろんな勉強を息子の前でやっていたのです。息子に「勉強しなさい」というより「ママはがんばってるよ〜!いっしょにやる?」的な姿勢だったのは、今考えるとすごくよかった気がします。ちなみに、そのころ息子によく話したのが、

「英語は世界中で通じる便利な言葉。英語を喋れると旅行が楽しくなるよ。でも今住んでいるのはスペイン。だからスペイン語を喋れると、生活が楽しくなるよ」

ということでした。

息子が今の学校に見学に行ったとき、日本人がクラスに誰もいない英語の学校だとわかっているのに、自分から「ここに転校する!」と言い出してビックリしたことがあります。だいぶ経ってから「英語は喋れると便利でしょ?だから勉強してみようかと思ったの」と言ったので、「うわ!親の言うことって影響力あるな!」と我ながらビックリしたことがあります。ちなみに「スペイン語は喋れると楽しくなるから」も息子はよく言います。言葉の力はすごいな…!

(3)レベルはだんだん上げていく

スペインに来て、息子が外国語デビューをしたのは公園でした。

言葉が通じない子と遊ぶ場合、男子のほうが他の子の輪に入りやすい、と聞いたことがあります。一般的には、女子は言葉を使って遊ぶし、男子は言葉以外で遊ぶ子どもが多いからだとか。これは、息子が公園で遊んでいるときの様子を見てたら本当にそうでした。息子はまだ英語もスペイン語も挨拶しか喋れなかったのに、他の男の子といっしょに遊ぶようになったのです。

 

結果的にはだんだんとレベルを上げて行くことになった息子の語学教育。そのおかげか、ブリティッシュスクールに入ってからのなじみがむちゃくちゃ早かったし、結果的には息子のストレスは最小限で済んだ気がします。なので、海外に転居するけど、子どもの適応力がいまいち不安…というお子さんの場合この作戦はオススメ(転校は親は面倒だったけど…)。参考までにうちの場合はこんな順番でした。

 

❶遊びに行った公園でスペイン人の子と遊ぶ(スペイン語を初めて使う。挨拶程度)

❷日本人学校に転校(5歳。週1で英語の時間あり、ここで初めて英語に触れる)

❸夏休みにスペイン語のサマースクールに行く(2週間。最初の1週目はバルセロナ在住長い知人の日本人姉弟といっしょ、2週目は日本人ひとり。内容はスポーツなので語学できなくてもついていきやすい。行くときは嫌がったけど迎えに行くと楽しげだった。ここで海外の洗礼を受けたかんじがする)

❹教会の日曜学校など、現地の子と遊ぶ時間を増やした。

❺英語教室(6日間1日数時間。転校が決まったのでその直前に)

❻ブリティッシュスクール転校(6歳になる直前)

 

息子、今では、遊ぶ相手によって、日本語、スペイン語、英語と使い分けてます。相手がいちばん得意な言葉で話してるっぽい。この短期間でそうなるのか…!!

結局、ベストなタイミングって?

そんなわけで、子どもの語学に関しては今のところわりとうまくいってるんじゃないかな?という我が家。(私の語学力が、超最低限レベルで止まってるのはさておき…オイオイオイ!!)

ちなみに、英語にスペイン語にカタルーニャ語ってそんなにいろいろ!?と驚かれた方も多いと思うのですが、言語教育学的には、数カ国語をいっしょに勉強するのは全く問題ないそう。こちらに住んでいると、もっと多くの語学を勉強しているお子さんに会うこともあります。ただ、母語となる言葉がしっかりしてないとどっちつかずになる場合もあるとのこと。息子の場合、スタートが5歳だから、母語がそれなりに確立してた、というのはタイミング的にはよかったのかも。

もちろん語学の種類を増やすほうがいいなんてことはありません。でも、周りもほぼ同じ人種で、ひとつの言語だけで問題なく生きていける日本の環境のほうが、世界では実は特殊。そして日本も今後は変わっていく可能性だってあります。そう考えていくと、いろんな語学に触れる機会を親が作るのはいいことなんだなと今は思うようになりました。「英語は親の責任」は言いすぎにしても、「親の優しさ」ではあるのかも…。

とはいえ、「◯歳までに英語を始めないと英語耳はつくれない!ネイティブな発音はできない!」とけたたましく言うのはちょっと違う気もします。日々、ネイティブじゃない人たちに囲まれて、多少ブロークンでも、ネイティブ発音じゃなくても楽しくコミュニケーションできてる人々を見ていると、そこまで完璧じゃなくても、通じればいいんじゃない?ハリウッドスターとか目指してる人以外はいいんじゃない?と思うからです。

それに、今こんなにペラペラ喋っていて英語大好きな息子も、4歳のときには英語教室を全力で拒否してたわけだし、その子それぞれにあったタイミングてのはきっとある。本人が望んでいるならまだしも、急ぎすぎもよくないだろな、とやっぱり思ったりするのです。日本で生活してるなら特に。

 

ところで。

息子の英語教育は頑張った我が家ですが、ガッツリ虫歯は作ってしまいました…。

あかんやないかーーーーーーーーーーい!!!(反省)


ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月よりスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。スペインに住んでからは、「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。6歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを英語とスペイン語つきで発信中。

連載1回目はこちら

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