「堆積岩」ってどんな岩石? 種類によって異なる特徴と、その覚え方を紹介【親子でプチ地質学】

堆積岩とは、砂や泥といった堆積物が固まってできた岩石です。非常に長い時間をかけて作られる堆積岩は、材料となる堆積物が何かによって6種類に分けられます。種類ごとに異なる岩石の特徴や、種類を覚えるための語呂合わせを見ていきましょう。

堆積岩(たいせきがん)とはどんな岩石?

岩石は主に3種類に分かれ、溶岩が冷えて固まった「火成岩」、温度や圧力によって変成した「変成岩」、そして「堆積岩」があります。その中で、堆積岩がどのような特徴を持っているのか、どのようにして作られるのかを解説します。

堆積物が積み重なってできる岩石

堆積岩は、砂などの細かい粒子が運ばれて降り積もることで作られます。岩石のもとになる堆積物は風や水の力によって運ばれるため、地表だけでなく水中にもできるのが特徴です。

川や海などの流れによって沈殿した堆積物は長い年月をかけて固まり、多くは層状の岩石になります。堆積岩の材料となる堆積物は、細かい砂や泥の粒、岩石が風化などで削れたものに加えて、火山灰や生き物の死骸などさまざまです。

堆積岩の6つの種類

堆積岩は砂や泥などから作られたものと、その他の堆積物からできたものに分けられます。

前者は、粒の大きさで礫岩・砂岩・泥岩に分類され、後者は堆積物の種類により3種類に分類されます。主な堆積岩6種類について、見た目や特徴などをそれぞれ見ていきましょう。

礫岩

礫によってできる礫岩(れきがん)とは、礫という字を「つぶて」とも読むように、比較的大きめの粒子からできている岩石です。

礫岩の一例 Photo by Halvard : from Norway. Wikimedia Commons

材料となる礫は、火成岩などの岩石が壊れて破片になったものとされています。直径2mm以上の粒子からできており、粒の一つひとつが肉眼でも確認できるのが特徴です。

礫同士がさらに細かい砂や粘土などで固まっており、全体が崩れてしまうこともあります。大小さまざまな礫が含まれており、表面が凸凹した触り心地の岩石です。

砂岩

砂岩(さがん・しゃがん)は名前の通り、主に砂が堆積してできた岩石で、一つひとつの粒子は礫岩よりも細かく、直径がおよそ1/16〜2mmです。

砂岩の一例 Wikimedia Commons(PD)

砂の粒子が固まった砂岩は、花こう岩のように建築物として利用される岩石に比べて柔らかいのが特徴です。もろく崩れやすい分、削って加工しやすいため、墓石の材料として使われた時代もありました。

また砂からできているため、比較的水分を吸収しやすいのも砂岩ならではのポイントです。砂の質感に似たざらざらとした手触りで、見た目はグレー・ベージュ・白といった淡い色味になっています。

泥岩

泥岩(でいがん)は、直径約1/16mm以下と粒子が細かい泥からできているため、肉眼で一つひとつの粒子を確認することは困難です。クレイと呼ばれる粘土質の泥が堆積して作られており、層状の構造を持っています。

泥岩の一例 Wikimedia Commons(PD)

粒が細かいため表面は滑らかな手触りで、砂岩に比べて黒っぽい色味をしているのが特徴です。長い時間をかけてできた地層の中には、泥岩と砂岩の層が交互に堆積したものが数多く見られます。

堆積岩のうち礫岩・砂岩・泥岩の三つは、岩石などが風化して削れた破片からできていることから、これらをまとめて砕屑岩(さいせつがん)ともいいます。

凝灰岩

噴火などによって放出された火山灰が堆積してできた岩石を、凝灰岩(ぎょうかいがん)といいます。凝灰岩は小さな穴がいくつも開いた多孔質の岩石で、火や熱に強く、軽量で柔らかいのが特徴です。

凝灰岩の表面(一例)

火山灰が固まってできたものや軽石が含まれたものなど、いくつかの種類に分けられます。白や赤など色味は多岐にわたっており、緑色をした凝灰岩は「グリーンタフ」と呼ばれることでも有名です。

凝灰岩と同様に火山噴出物から作られる岩石には、マグマが冷えて固まってできた火成岩があります。しかし凝灰岩はあくまで堆積岩の仲間であり、火山灰が時間をかけて積み重なることで作られているのが火成岩との違いです。

石灰岩

石灰岩(せっかいがん)は、サンゴや貝殻など生き物の死骸が堆積して作られた岩石です。死骸は主に炭酸カルシウムなどの成分から構成されているため、石灰岩は塩酸に溶けて二酸化炭素を発生させます。

フズリナ(紡錘虫)の化石を含んだ石灰岩の表面 CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=70879

石灰岩の中には、石の中に貝殻やサンゴなどの化石を含んだものも存在するのが特徴です。含まれている海の生き物から、比較的暖かい気候の海で堆積したと考えられています。

石灰岩は白やグレーの淡い色味をしており、建築材料であるセメントの原料としても有名です。比較的柔らかい岩石なので、ハンマーなどで傷が付きやすくなっています。

チャート

川原などでもよく見かけるチャートは、放散虫(ほうさんちゅう)というプランクトンなどが海底に堆積してできる岩石です。放散虫は非常に小さい生き物で、ガラスの主成分である二酸化ケイ素でできた殻を持っています。

チャートの一例 Wikimedia Commons(PD)

放散虫は単細胞の原生生物で、古生代カンブリア紀に出現したといわれる生き物です。チャートはその死骸でできていることから、ガラスのような質感を持っています。

チャートは滑らかな質感ながらとても硬く、叩いても傷が付きにくいのが特徴です。顕微鏡で見ると、ごく小さな放散虫の化石を含んでいる岩石もあり、白・赤・黒などさまざまな色味のものが存在します。

堆積岩の種類の覚え方もチェック

堆積岩の主な種類は、名前やそれぞれの特徴などをまとめて覚えておくと便利です。堆積岩の種類を覚えるのに役立つ語呂合わせや、暗記する方法を確認しましょう。

語呂合わせで覚えよう

堆積岩は、どのような堆積物からできたかによって主に6種類に分けられます。中でも礫・砂・泥から作られた岩石は粒子の大きさによって分類されるため、大きい順に「レキサデイ(礫・砂・泥)」とまとめて暗記しましょう。

残り3種類の凝灰岩・石灰岩・チャートは、火山灰や生き物の死骸などが堆積してできたものです。こちらもそれぞれの頭文字を並べて、「行設置(凝・石・チ)」という語呂合わせで覚えるのがおすすめです。

礫岩のもとになる礫は2mm以上の粒子ですが、泥岩を形作る泥の粒子は0.06mm以下ととても細かくなっています。凝灰岩と火成岩、石灰岩とチャートは特に混同しやすいため、それぞれの違いや特徴をしっかりと理解しておきましょう。

時間をかけて作られる堆積岩はロマンの塊

堆積物が積み重なってできる堆積岩は、長い時間をかけて形になった岩石です。砂や泥の粒子が水の流れや風の力によって運搬され、少しずつ堆積して堆積岩が作られます。

サンゴなど、生き物の死骸がそのまま化石として残っているものもあるため、はるか遠い昔のロマンを感じられるのも堆積岩の魅力です。

堆積岩のうち、礫岩や砂岩など砂や泥がもとになっている砕屑岩は、粒子の大きさで種類が異なるのもポイントです。それぞれの岩石がどのように作られたのかを理解して、堆積岩の種類を覚えましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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