脂肪を分解する消化酵素「リパーゼ」。体内での働きを知って健康生活を意識しよう【親子で人体を学ぶ】

「リパーゼ」という言葉を聞いたことがありますか? リパーゼは、体の中にある消化酵素のひとつです。この記事では、リパーゼがどのようなものなのか、その役割を解説していきます。またリパーゼの働きをサポートする食事や、リパーゼの量が減る・増えるとどのような影響があるのかについても説明していきます。

リパーゼとは?

まずは「リパーゼ」がどのようなものなのか、また、体のどの部分で作られるのか解説していきましょう。

リパーゼは消化酵素のひとつ

リパーゼは、膵臓で分泌される膵液に含まれる消化酵素です。中性脂肪を分解、消化する酵素であることから「脂肪分解酵素」とも呼ばれます。

なお、消化酵素には脂肪を分解する「リパーゼ」のほかに、でんぷんを分解する「アミラーゼ」、タンパク質を分解する「トリプシン」、核酸を分解する「ヌクレアーゼ」などがあります。それぞれの消化酵素は役割が異なります。

体のどこで作られるの?

リパーゼは、膵臓の外部泌部に存在する腺房細胞で作られます。この腺房細胞は、膵臓全体の90%を占めています。なお腺房細胞は、リパーゼのほかにもアミラーゼ、トリプシンなどの消化酵素を分泌し、胃液や膵液、腸液といった消化液に含まれています。

リパーゼの役割

リパーゼには、中性脂肪を分解する役割があります。そのプロセスを解説していきましょう。

脂肪の分解プロセス

リパーゼは、次のようなプロセスを経て脂肪を分解します。

食べ物から摂取した脂肪は、消化するプロセスで胆汁と混ざり合います。脂肪と胆汁が混ざり合うと脂肪が乳化し、膵液に含まれるリパーゼといっしょになって分解し、脂肪酸とグリセロールになります。その後、小腸上皮細胞や腸管から吸収されて全身に運ばれ、エネルギーとして使われます。

なぜリパーゼは必要なの?

リパーゼには、脂肪を分解して消化を助けるはたらきがあります。もしリパーゼがなければ、食べ物の消化や吸収が十分にできなくなってしまいます。

リパーゼの働きをサポートする食事

食事の内容や食事の仕方によって、リパーゼの働きをサポートすることができます。ここでは脂質を分解する酵素を含む食べ物や、健康的な消化を促す食生活のポイントを説明していきましょう。

リパーゼの活動を助ける食品

脂質を分解する酵素が多く含まれる食べ物には、みそ、納豆、漬物、チーズなどの身近な発酵食品や、アボカド、ホウレンソウ、大根、トマトといった野菜、果物などがあります。

気をつけたいのは、野菜や果物から酵素を取り入れる場合です。というのも脂質を分解する酵素は、鮮度が落ちると減少してしまう性質があります。またリパーゼはタンパク質からできており、熱に弱いのも弱点です。タンパク質は、熱が加わると形が変形してしまいます。そのためリパーゼに熱が加わると、酵素のはたらきが失われてしまうのです。

よって野菜や果物から酵素を摂取する場合には、なるべく新鮮なものを加熱しないでそのまま食べるか、低温調理方法で食べるようにしましょう。

健康的な消化を促す食生活のポイント

健康的な消化を促す食生活のポイントは、次の4つです。毎日の食事の際に少し気をつけてみてください。

よく噛んで食事をする

食事をするときに、よく噛んで食べることで消化を促すことができます。

よく噛むと、唾液の分泌が促進されます。この唾液には、でんぷんを分解する「アミラーゼ」という酵素が含まれていて、胃腸は食べ物をしっかり分解することができます。またたくさん噛むことで食べ物が細かくなり、体への分解や吸収がスムーズに行え、消化しやすくなります。

食事をするときには、一口30回程度噛むように心がけましょう。

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食物酵素を多く含む食べ物を摂取する

食物酵素は、食べ物に含まれる酵素のことです。この食物酵素を多く含む食べ物を摂取することで、消化酵素を助け、消化活動をサポートするはたらきがあります。

食物酵素を多く含む食べ物には、次のようなものがあります。

・野菜:レタス、キャベツ、大根、にんじん、セロリ、ほうれんそう
・フルーツ:パパイヤ、アボカド、キウイ、バナナ、マンゴー
・発酵食品:納豆、味噌、ぬか漬け、漬物、醤油
・海藻類:わかめ、昆布

これらの食べ物を食べるときには、高い温度で加熱しないようにしてください。酵素は熱に弱いという性質があります。なるべく生のまま加熱せずに食べるか、極力低温で調理するようにしましょう。

アミラーゼとリパーゼがふくまれている大根おろしは、消化をサポートしてくれます

温かい食べ物を食べる

食事のときにはなるべく冷たい飲み物や食べ物は避けて、温かい食べ物を摂るようにしましょう。またぬるめのお風呂に長時間浸かって体を温める、適度な運動で血行をよくするなども、体温を高く維持するのに効果的です。

脂肪分が多い食べ物は控えめに

脂肪分が多い食べ物を摂取すると、消化酵素を分泌するために膵臓に負担がかかります。そのため、脂肪分が多い食べ物は控えめにするようにしましょう。

なお脂肪分が多い食べ物の例は、バターや油類、マヨネーズ、脂の多い肉類、揚げ物などです。これらを摂りすぎないように気をつけてください。

リパーゼの不足・過剰と影響

リパーゼは、血液生化学検査でどのくらいの量があるのか調べることができます。リパーゼの基準値は、45~50U/lです。おもに膵臓の異常を調べるときにリパーゼの数値をみます。

このリパーゼが少なかったり、反対に多かったりすると、どのような影響があるのでしょうか。リパーゼの量による体への影響を解説していきます。

リパーゼが少ないとどうなる?

膵臓の機能が低下すると、血液中のリパーゼが少なくなります。リパーゼが少ないと、慢性膵炎非代償期、膵癌(膵実質の広汎な破壊)、膵嚢胞性繊維症、糖尿病、急性肝壊死といった病気が疑われます。

リパーゼが多いとどうなる?

血液中のリパーゼが多くなるのは、膵臓に異常があるときです。よくあるケースはアルコールの飲み過ぎなどで、膵細胞が破壊されると血液中にリパーゼが増加します。

リパーゼが多いと、急性膵炎、慢性膵炎、膵がん、膵嚢胞といった膵臓の病気の可能性があります。

リパーゼの活動を正常に保つ方法

リパーゼの活動を正常に保つには、膵臓に負担がかからない食事・生活習慣をすることが大切です。そのためには、次のようなことに気をつけましょう。

膵臓に負担がかからない食習慣

・リパーゼが多く必要となるような脂質の多い食べ物(揚げ物、洋菓子、肉類の加工品、脂肪の多い肉類・魚類、中華料理)は控えめにする
・消化液を分泌し、膵臓の負担を軽減できる消化の良い食べ物を選ぶ
・香辛料やコーヒー、冷たいものや熱すぎるもの、味が極度に濃いものといった刺激の強い食べ物を控える
・暴飲暴食は避ける

膵臓に負担がかからない生活習慣

・規則正しい生活をして、十分な睡眠をとる
・暴飲暴食や睡眠不足のきっかけとなるストレスと上手につきあう
・膵臓の病気と密接な関係があるタバコはやめる

脂肪を分解してくれる「リパーゼ」

リパーゼは、膵臓の外部泌部に存在する腺房細胞で作られる消化酵素です。脂肪を分解し消化を助ける役割があることから、私たちの体には必要不可欠なものといえます。脂質を分解する酵素を含む食べ物を摂取し、健康的な消化を促す食生活、膵臓に負担がかからない生活習慣を心がけるようにしましょう。

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